ライフサイエンスはあらゆる科学の複合領域
外部の専門家との積極的な協業が重要

理事長

岡野 栄之

生命科学(ライフサイエンス)の発展は、人々の健康へとつながっています。がんや難病など根治的な治療法が確立していない疾患やグローバルヘルスの課題でもある感染症に多くの人々が苦しんでいます。これらの疾患を克服し、さらには疾病を未然に防ぐことができる社会の実現に向けて人類は歩み続けているのです。

この領域で日本は、世界でも有数の基礎研究のレベルを誇ってきましたが、一方で、基礎研究の成果が実用化になかなかつながらないという課題が指摘されています。再生医療分野では実用化に向けて産官学の連携が急速に進んでおり、ライフサイエンスの他の分野においても実用化の動きを推し進めていく好機であると考えています。

また、ライフサイエンスはあらゆる科学の複合領域です。医学をはじめ、理学や工学、ICTやAIなどの新たなテクノロジー、社会科学や倫理まで、対象は広範に及びます。専門性を突き詰めて見つかった新たな問題に対して、異なる分野からのアプローチが思わぬ解決の糸口となることも珍しくありません。一人の人間で可能なことは限られており、問題解決のためには、積極的に外部の専門家との協業を進めていくことが重要です。

この度、医薬品産業をはじめとするライフサイエンス産業が集積する東京・日本橋の地に一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)が設立されたことで、まさに分野を超えて、人と人とのリアルな交流を生み出す最適な環境が生まれました。大学、学会、公的機関、スタートアップから世界的な大手企業に至る様々な企業やその業界団体、海外機関などの主要なプレイヤーが、創薬を含め医療機器やデジタルヘルスなど多岐にわたる分野で、集い、交わり、刺激しあうことで、ここから新たな価値が創造されていくでしょう。私もLINK-Jの理事長として世界の人々がより健康に暮らしていけるよう貢献してまいります。