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イベントレポート

「第3回 早稲田大学ネットワーキング・ナイト~スポーツXライフサイエンスXベンチャー・キャピタル~」を開催(12/12)

12月12日(木)、日本橋ライフサイエンスハブにて、「第41回 LINK-J ネットワーキング・ナイト WITH SUPPORTERS 第3回早稲田大学ネットワーキング・ナイト~スポーツ x ライフサイエンス x ベンチャー・キャピタル @早稲田~」を開催いたしました。本イベントは、「早稲田大学発スタートアップ企業育成の舞台裏(1/17開催)」「東京女子医大×早稲田大学 ~TWInsに見るライフサイエンスのコマーシャリゼ―ション(5/23開催)」に次ぐ、3回目のネットワーキング・ナイトとなります。

今回は、スポーツをテーマに国内外のスポーツビジネスの最前線についてご講演頂き、同大学で活躍されているスタートアップの立場から3名の方に発表頂きました。

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【挨拶】
笠原 博徳 早稲田大学 副総長(研究推進、情報化推進担当)理工学術院 基幹理工学部 情報理工学科 教授

【基調講演】
原田 宗彦  早稲田大学スポーツ科学学術院教授/一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構代表理事
司会:秋本 崇之  早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授

【ショートピッチ&パネルディスカッション】
宮田 拓弥 Scrum Ventures創業者/ジェネラルパートナー
丸井 朱里 早稲田大学人間科学学術院 助教/株式会社HERBIO 共同創業者兼CRO
田村 恵彦 株式会社biima 代表取締役CEO
諸留 卓  早稲田大学大学院スポーツ科学研究科 修士課程1年次生/日本体操協会男子体操競技1種公認審判員
モデレーター:朝日 透 早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 生命医科学科 教授 グローバル科学知融合研究所 所長
モデレーター:樋原 伸彦 早稲田大学ビジネススクール 准教授/LINK-Jサポーター

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冒頭挨拶として、笠原副総長から「早稲田オープン・イノベーション・フォーラム2020」(2020年3月10日開催予定)についてご紹介頂きました。会場となっている早稲田アリーナは、スポーツのメッカであり、6千人収容の体育館に一堂が集まる場所であること、スポーツは早稲田大学にとって重要な要素であり、全学の力を結集したものであると強調されました。イノベーションの中でもスポーツ科学を発展させ、「産学連携」にて世界で戦える産業を育てたいと述べられました。

基調講演

「スポーツビジネスの最前線」

原田氏より、スポーツビジネスやスポーツ産業の国内外の状況、今後の発展についてご講演頂きました。

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40年前はスポーツビジネスといった言葉は存在せず、「スポーツサービスとしての情報産業」「スポーツ用品産業」「スポーツ施設としての空間産業」の三つのカテゴリがそれぞれに存在していました。現在はこれらの複合領域が発展し、「スポーツ関連流通産業」、「スポーツ施設・空間マネジメント産業」、全てを統合した「スポーツハイブリッド産業」が生まれ、周辺産業である多様な分野への発展が進んでいると述べられました。

スポーツを観戦するために旅行をするスポーツツーリズムは、2016年の世界市場が約153兆円となり、2021年には約4倍に成長すると予想されています。その理由は、スポーツコンテンツの増大にあるとされています。スポーツイベントがファンとスポンサーとの新しい関係やコミュニケーションを確立していることを紹介されました。昭和のスポーツ文化が、「企業と行政が主導の実業団スポーツ」だったのに対し、令和のスポーツ文化は、「地域密着型の社会課題を解決するベクトルを持つ」と原田氏は強調されました。その上で、「スポーツホスピタリティ」が重要であり、新しい公民連携の動きや、アリーナビジネスの構想、「まちづくり」の軸を加えたプロジェクトを進行していること、総合的なメディア企業となっているE-スポーツチームの飛躍についてもご紹介頂きました。

ショートピッチ&パネルディスカッション

「VCが期待するスポーツビジネス」

シリコンバレーと東京に拠点を置き、約70社に投資を行っているベンチャー・キャピタルScrum Venturesの宮田氏より、投資家からみたスポーツビジネスについてお話し頂きました。

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スポーツ市場全体は50兆円といわれ、エンターテイメントやヘルスケアなど周辺産業への展開も期待されており、全体として拡大傾向にあるといわれています。中でも宮田氏が注目しているのは、スポーツとテクノロジーの領域「スポーツテック」であり、アジアを中心に大きな成長市場であることが紹介されました。

さらに、(株)電通と取り組まれているスポーツをテーマとしたアクセラレーションプログラム「SPORTS TECH TOKYO(スポーツテック東京)」についても紹介されました。そこでは、主に3つのカテゴリに含まれる方々を集めるコミュニティづくりを行ったことを述べられました。その3つとは、チーム/アスリート、ベンチャー企業(33か国から159社を選出)、メンター(エキスパートとして110人以上が情報と人脈を提供)です。8月にサンフランシスコでWorld Demo Dayを開催し、12社を選出し、8社がパートナーシップを締結したことをアピールされました。「Co-Creationモデルを重視し、様々な人を巻き込こんでいきたい」と締めくくられました。

「ウェアラブル体温デバイスを活用した女性アスリート支援」

早稲田大学人間科学研究科に在籍中に(株)HERBIOの代表者に出会い、共同創業者となった丸井氏より、体調管理をサポートする事業内容についてご紹介頂きました。

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同社は、基礎体温・体調管理アプリの開発を軸に事業を展開しており、先日アプリβ版をリリースしています。基礎体温は安静状態の体温のことであり、これを把握することで自己の体調管理をすることができます。通常、基礎体温は舌下で測定するところを、おへそで測定することで、舌下と同様のリズムを測定できることを示されました。また、おへそで測定したデータは直腸温度との相関もあることが示されました。睡眠中におへそで体温を測定することで、男女問わず、翌日のパフォーマンスレベルを予測できることを述べられました。

「21世紀型教育×スポーツ」における事業開発

(株)biimaの田村氏より、現在の事業と今後の展望についてお話いただきました。

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「biima sports(ビーマ・スポーツ)」は、3歳~10歳までの子どもを対象とした、スポーツスクールで、特定のスポーツに特化せず、総合的な「運動能力」や「非認知能力」を高めることを目的としています。早稲田大学の広瀬統一教授と前橋明教授とで共同開発されたプログラムを提供し、サービス開始3年で全国50拠点にまで教室を拡大しました。非認知能力の向上のため「教育者を育てる」「ビジネス研修プログラムを幼児教育に応用」というアプローチで実施されていることを述べられました。アシックス社との協業事業を開始し、保育園を設立するなど新たな展開も進められ、レジャー市場にも参入し、教育×スポーツの新たなコンテンツを展開していきたいと語られました。

「運動する子どものケガ予防と人間教育の両立」

早稲田大学スポーツ科学研究科に所属されている諸留氏には、スポーツ医科学とスポーツ教育の観点から、検討されている2つの新たなサービスについてご紹介頂きました。

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ご自身が、軟骨障害によって体操を続けることへの障害となった経験から、ケガで苦しむことなく、夢を追いかけることができるサービスを目指されています。一つ目は、「練習の過多によるオーバーユース障害の予防」を目的としたもので、ウェアラブルセンサを用いて疲労度や加わる負荷を定量化し、選手やコーチとの間でデータを共有するものです。もう一つとして、ライフコーチとスポーツ現場のマッチングや、選手の精神的な部分のコーチングなど定性的なサポートをする「スポーツを通した人間形成の支援」を検討されていることを発表されました。5年後に全国の1/4のスポーツクラブ等に導入していきたいと述べられました。

ディスカッションパートでは、プレゼンテーションの4名に加え、朝日氏と樋原氏によるモデレーターにて進行しました。

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朝日:スポーツを通じて医療へ貢献すること、予防のためのスポーツの活用、それらがビジネスにつながればと良いと考えています。例えば、5Gによってスポーツビジネスや、医療、ライフサイエンスへの革新的なことにつながる可能性についてはいかがでしょうか。

宮田:まだキラーは見つかっていません。「スポーツテック東京」のファイナリストの中で5Gに関連したものは、スマホを使って観客が見たい角度に回しながらリアルタイムにスポーツ観戦ができる技術がありました。今後も5Gについてビジネスチャンスは大いにあると思います。

朝日:スポーツと教育が田村氏と諸留氏の共通のキーワードかと思いますが、スポーツ選手を育てていくという中で乗り越えなければいけない課題についてはどうですか。いまこれをやらないと、と強調される部分はありますか。

田村:スポーツを使った教育をテーマに事業を進めていますが、スポーツは手段です。重要なのは、指導者の育成の部分だと考えています。良いコーチ、良い先生というのが漠然としていて、選手を指導する上で、言語化できるスキルが大事だと考えています。質問によって、選手の答えを導き出せるスキルが必要だと考えていまして、指導プログラムが未開拓だと感じています。

朝日:良い指導者によって、強くなる、試合に勝つとなると戦略を教えることになりますが、そこにフォーカスするとAIが主流になっていき、いかにAIで評価、戦略を立てることがうまくなるかという方向に行きそうですが。

田村:人のスキルやマネジメントはAI以外の仕事だと思います。短期的には指導された通りに動くことが結果を出しやすいかもしれませんが、長期的な教育の観点では、自分でどうすればわからない指導者になってしまうと思います。そこが教育とスポーツの違いだと思います。

諸留:勝利と人間的成長を融合させるというのは、答えが出ていませんが、重要な課題だと思います。

朝日:開発されたデバイスによって、女性が活躍していくといったことに影響はありますか。

丸井:デバイスを開発するために起業をしたわけではありません。女性が働きづらい世の中になっている中、自らマネジメントする方法として、体調を把握することが重要となっています。基礎体温を知る上で、現状では測りづらいという壁がありましたので、手段としてのデバイスを提供したいと考えています。

樋原:スポーツビジネスへの投資という視点に移します。米国とくらべ全体の投資額でみて、日本は1/10の差があります。宮田氏から見て、どのようなビジネスに注目されていますか。

宮田:アメリカンフットボールの選手にセンサーをつけて、選手の動きやスピードなどのデータをリアルタイムで取得し、解析することで、これまでにわからなかった情報が使えるようになるといった事例があります。選手は自ら考えてプレイをしますが、AIを使うことで、どこにボールを投げると成功するかなどを予測することができるわけです。
テクノロジーの発展によってスポーツが進化し、新しいエンゲージメントやビジネスが生まれます。特に、テクノロジー系の企業がスポーツビジネスに参入し、イノベーションの発想でスポーツ経営をはじめています。
注目している技術は、今まで取れていなかったデータを取り、可視化することです。あらゆるカテゴリで価値になると思います。

講演後は登壇者と参加者によるネットワーキングを行いました。当日は、約120名の方に参加頂きました。参加者からは、「最新のスポーツビジネスの情報が入手出来ました。」「思いもしなかった世界と、それを力強く推進する早稲田大学というFrameworkにワクワクしました。」「スポーツテックの大きな未来を感じた」といったご意見いただきました。

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