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イベントレポート

「Regenerative Medicine Crossroad® in Tokyo #11」を開催(2/6)

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2020年2月6日(木)、日本橋ライフサイエンスビルディング201大会議室にて「Regenerative Medicine Crossroad® in Tokyo #11」を開催いたしました。(主催:一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)、経済産業省関東経済産業局、共催:LINK-J)
日本においては、再生医療の産業化を加速する為の課題の一つとして、国内シーズの掘り起こしや海外パイプラインの誘致が挙げられています。本イベントはこの課題解決の一助として、再生医療に関わるシーズやパイプラインを保有する企業と国内企業とのパートナリングを加速・推進する為に、セミナーとOne-on-One partnering meetingを並行して実施しています。今回で11回目の開催で、当日は、製薬・バイオ・再生医療等に関連する国内企業・団体・機関等から98 名の皆さまにご参加いただきました。

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セミナー

LINK-J事務局長の曽山 明彦氏から開会の挨拶があり、続いて、FIRM事務局主幹の森 冬比古氏から本イベントの趣旨などが説明されました。その後、今回登壇の6社が質疑応答を含めて各社30分間で順次プレゼンテーションを行いました。

IMG_3046.JPG1)Videregen, Ltd.(UK)

脱細胞化組織を足場に自家骨髄由来幹細胞を播種・増殖することで作製する移植用の臓器
登壇者:Steve Bloor氏(CEO)
同社が取り組む「移植用の臓器(組織)を作製する生物工学的な技術プラットフォーム」が紹介されました。このプラットフォームでは、まず最初に、臓器提供者の臓器を脱細胞化してuniversal donor scaffold(非免疫原性の足場)を作製し、次にその足場に臓器移植を待つ患者さんの骨髄由来幹細胞を播種し増殖させて、その患者さん用の移植組織を作製します。現在は、このプラットフォームで作製した気管支修復用の組織を気管支瘻の治療を適応として臨床開発を行う準備を進めているとのことです。

Progenicyte_P2063763.JPG2)ProgeniCyte Japan(ProgeniCyte(USA)の日本法人)

多能性幹細胞の作製技術など、最先端の再生医療技術
登壇者:菅谷 公伸 氏(Chair&CSO)
セントラルフロリダ大学医学部の教授でもある菅谷氏は癌遺伝子を用いずに成人幹細胞から多能性幹細胞を作製する技術を開発し、同社を創設されました。同社は、この技術で作製した多能性幹細胞をバンキングする技術や、この多能性幹細胞を分化誘導して目的細胞を作製する技術なども有しています。また同社は、内因性の幹細胞を増殖させる化合物を幾つか見出していること、そのうちの一つであるKS-217をアルツハイマー病のモデルマウスにアミロイド前駆タンパク質の産生を抑制する薬物と併用投与すると、脳内の神経幹細胞と神経細胞を顕著に増加することを示し、KS-217がアルツハイマー病の治療薬になる可能性を紹介されました。

IMG_3054.JPG3)ToolGen, Inc.(Republic of Korea)

CRISPR/Cas9をベースに新たに開発したゲノム編集技術
登壇者:Seokjoong Kim氏(Executive Director)
同社はCRISPER/Cas9をベースに、Cas9を改良した新たなゲノム編集技術の開発に取り組んでいます。このゲノム編集に関わる技術の幾つかは世界各国で既に特許を取得しています。このゲノム編集技術の活用例として、癌免疫治療に使われるCAR-Tなどの免疫細胞にゲノム編集を加えた次世代型免疫細胞の作製などが紹介されました。また、このゲノム編集技術によって、遺伝子異常による末梢神経疾患(難病)のシャルコー・マリー・トゥース(1A型)病を治療できる可能性を動物実験等のデータを用いて示されました。

IMG_3062.JPG4)Stempeutics Research Pvt. Ltd.(India)

他家骨髄由来間葉系間質細胞によるバージャー病起因の重症下肢虚血の治療
登壇者:BN Manohar氏(Managing Director&CEO)
同社は成人の幹細胞を活用して新たな治療法を開発することに特化した企業です。主力製品であるStempeucel®は、バージャー病による重症下肢虚血を適応症として2017年にインドの規制当局(インドFDA)から条件付きで承認を得ました。現在はPhase4/PMSの臨床試験を進めています。Stempeucel®は健常人の骨髄から採取・培養し、プールした間葉系間質細胞から製造される製品で、その作用メカニズムは免疫調節や成長因子を介した血管新生に基づくことが推定されています。同社では、同製品の日本における共同開発パートナーを探しているとのことです。

Treefrog_P2063823.JPG5)TreeFrog Therapeutics SAS(France)

iPS細胞などの多能性幹細胞の大量生産を可能にする細胞カプセル封入技術
登壇者:Maxim Feyeux氏(President/CEO)
同社は、従来型のバイオリアクター(3次元細胞培養装置)を用いて幹細胞の大量生産と分化誘導を可能とする「幹細胞をカプセル内に効率的に封入(カプセル化)する技術」を開発し、この技術(C-Stem™)を特許化しています。C-Stem™を用いてカプセル化された幹細胞は、カプセル内で自己組織化幹細胞シスト(3次元嚢胞構造)を形成します。この幹細胞シストは、カプセルによってバイオリアクター内の環境から保護される為、高品質を維持しながら高速的に増殖や分化することが可能となります。現在、C-Stem™を用いてGMP基準下で幹細胞を大量生産する方法を検証中とのことです。

EUTILEX_P2063840.JPG6)EUTILEX Co., Ltd.(Republic of Korea)

癌に対する革新的なT細胞免疫療法:3つのプラットフォームとそのパイプライン
登壇者:Jeonghoon Han氏(Vice President & CTO)
同社は、癌に対する革新的な免疫療法の研究開発に3つのプラットフォームを通じて取り組んでいます。一つ目は、4-1BBやAITRなどのT細胞上の受容体を刺激することでT細胞を活性化させる抗体を用いる治療法で、二つ目は、体内に存在する1億種のT細胞の中から「標的とする癌」を特異的に攻撃するキラーT細胞を抽出し、体外で増殖させた後に体内へ戻すT細胞療法。三つ目はCAR-T細胞治療です。このCAR-T細胞治療プラットフォームのパイプラインの一つとして、CD19を標的とする従来型のCAR-Tとは異なり、悪性B細胞に高発現するHLA-DRを標的とするMVR CAR-Tが紹介されました。

One-on-One partnering meeting

セミナーと同時並行で、登壇企業と日本の再生医療関連企業との間で32 件の個別面談が実施されました。

Networking&Reception

セミナーと個別面談が終了した後に開催されたネットワーキング(懇親会)には登壇者を始め多くの方々にご参加いただき、盛会のうちに本イベントは閉会となりました。

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