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投稿日:2025年01月21日 投稿者:株式会社富士経済

イムノアッセイ市場を調査

第24103号

イムノアッセイ市場を調査

― 2029年予測(2023年比) ―
■国内イムノアッセイ市場 3,110億円(10.4%増)
これまで市場をけん引してきた感染症領域が急激に落ち込み2023年は縮小。
2024年以降は感染症領域も伸長に転じ、堅調に拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、医療施設などで行われる検体(採取・排出された血液や尿、便など)検査のうち、ヒトの免疫反応の働きを応用して、抗原や抗体の有無や量を調べるイムノアッセイ(免疫血清検査)の市場を調査した。その結果を「イムノアッセイ&注目POC検査市場 2024」にまとめた。

この調査では、感染症領域94項目、ホルモン領域60項目、がん領域43項目、自己免疫領域27項目、血漿蛋白領域38項目、輸血領域6項目、TDM領域31項目、その他22項目、合計321項目の検査に使用される診断薬の売上(メーカー出荷ベース)をイムノアッセイ市場とし、測定方法別に分析するとともに、使用される装置の市場についても現状と将来を予想した。また、イムノアッセイ診断薬受託製造の市場、イムノアッセイによるPOC検査や新型コロナウイルス関連検査の市場についても分析した。

◆調査結果の概要

■イムノアッセイ市場

イムノアッセイ市場

イムノアッセイ市場は2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行により大きく変動した。特に、感染症領域が大きく伸長したことにより拡大してきた。2023年は各領域共に伸長したが、感染症領域が急激に落ち込み前年比縮小となった。2024年は感染症領域も伸長して拡大するとみられる。以降、イムノアッセイ市場は堅調な拡大が予想される。

イムノアッセイ市場において構成比が最も高いのが感染症領域である。感染症領域は、2020年以降、特に新型コロナウイルス関連検査の伸長により拡大してきた。2023年は5月に新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられ、かかわる医療費補助が終了、検査費用が患者負担となり、新型コロナウイルス検査の需要が低下したことから急激に落ち込んだ。なお、新型コロナウイルス感染症流行時に下火になっていたインフルエンザウイルス感染症をはじめとする呼吸器感染症の感染者数が2023年以降、衛生管理意識の低下もあり増加している。これまで市場をけん引してきた新型コロナウイルス関連検査は、新型コロナウイルス抗原検査であったが、症状の似ている呼吸器感染症との鑑別需要が高まり、インフルエンザウイルス抗原やRSウイルス抗原などを同時に検出するコンボ検査に需要がシフトしている。今後はコンボ検査がけん引し、市場は拡大すると予想される。

ホルモン領域は、性腺刺激ホルモン関連であるLHやFSH、女性ホルモン関連であるE2やプロゲステロンなどの検査が2022年4月に不妊治療の保険適用となったこと、心不全関連であるBNPやNT-proBNP、敗血症関連であるプロカルシトニンの検査が高齢化に伴い患者数が増加していることから伸びている。また、甲状腺ホルモン関連であるTSH、FT3、FT4の化学発光法において、上位企業が販売実績を伸ばしている。

がん領域は、検診や診療で行われるCEA、AFP、PA/PSA、CA19-9などの検査や健診で行われる便潜血などの検査が市場の主な構成項目である。市場は新型コロナウイルス感染症流行時に健診や検診、診療の受診控えの影響を受け伸び悩んだが、2022年以降は堅調に推移している。各検査項目とも健診や検診での需要のほかにがん患者のモニタリング検査での需要があることから、今後高齢化が進むにつれて患者数が増加すると共に、市場は拡大推移が予想される。

自己免疫領域は、アレルギー関連である総IgEと特異IgEといった検査が市場の過半を占める。次いで、リウマチ関連の検査が大きい。市場は特に、特異IgEにおいて化学発光法の上位企業が大きく実績を伸ばしていることから拡大推移している。リウマチ関連の検査は、高齢者人口の増加に伴う患者数の増加、抗体医薬などの効果の高い治療薬が発売され普及が進んでいることから、微増推移となっている。なお、甲状腺疾患や膠原病などの特殊な検査項目は、限定されるものの、需要は安定している。

輸血領域、血漿蛋白領域、TDM(薬物血中濃度モニタリング)領域は安定した市場となっており、今後も微増推移が予想される。その他では、骨粗鬆症関連である25-ヒドロキシビタミンDやアルツハイマー型認知症関連であるβ-アミロイドといった検査が近年伸びている。今後も高齢化に伴う患者数の増加により伸長するとみられる。

◆注目市場

1.イムノアッセイ診断薬受託製造市場

イムノアッセイ診断薬受託製造市場

ここでは充填済みのイムノアッセイ診断薬の受託製造を対象とし、抗体やバッファーなど材料の受託製造は対象外とする。受託メーカーは専業ではなく、イムノアッセイ診断薬メーカーが受託するケースが多い。そのため市場上位企業は診断薬メーカーである。中長期的には製薬企業やベンチャー企業などの参入が予想される。

2024年の市場は、前年比3.0%増の69億円が見込まれ、2029年には2023年比22.4%増の82億円が予測される。受託メーカーは開発段階から請け負うケースが一般的である。一方で開発段階から受託するような新規項目はそれほど多くないため市場は微増となっている。また、外資メーカーの日本向け製品を受託するケースが市場の一定割合を占めている。

製薬企業が診断薬部門を再度設立する動きが広がっているほか、人やペットを対象とした検査サービスなどの新規参入企業が増えればノウハウを有する診断薬メーカーに委託するケースも増加すると予想されることから、市場拡大が期待される。

2.POC検査市場

POC検査市場

イムノアッセイによるPOC検査は、CG法(=Immunochromatography法。ここでは金コロイド法、簡易EIA法も含めた)の用手法(手作用で行う検査)を対象とする。市場の9割を感染症領域の検査項目が占める。

市場は2020年以降新型コロナウイルスを検出する検査が加わったことで大きく拡大した。2023年は5月から検査費用が患者負担になったことなどから、新型コロナウイルス検査の需要が低下し、急激に縮小したが、2024年はインフルエンザウイルスやアデノウイルス、マイコプラズマ肺炎など、その他の感染症領域の検査項目が伸びており、拡大するとみられる。感染症の大きな流行を考慮しなければ、今後市場は2029年に向けて年平均2%程度の成長が予測される。

市場は新型コロナウイルス抗原検査、新型コロナウイルス抗原とインフルエンザウイルス抗原を1キットで同時に検出するコンボ検査が上位を占めている。2020年以降市場をけん引してきたのは新型コロナウイルス抗原検査であったが、需要はコンボ検査に移行しており、今後はコンボ検査が市場をけん引すると予想される。

◆調査対象

領 域
・感染症領域94項目
・ホルモン領域60項目
・がん領域43項目
・自己免疫領域27項目
・血漿蛋白領域38項目
・輸血領域6項目
・TDM領域31項目
・その他22項目

測定方法
・化学発光法
・CG法
・EIA法
・LA定量法
・LA凝集法
・FIA法
・TIA法
・赤血球凝集法
・PA法
・RIA法
・NIA法
・凝集法(輸血検査)
・その他

2024/11/7

お問い合わせ先

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