大村智博士は、ゴルフ場の土から分離した微生物(放線菌)が生産する天然化合物から寄生虫感染症の治療薬として優れた効能を有するイベルメクチンを開発しました。この功績が高く評価され、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
本イベントでは、低分子から中分子をカバーする大村天然化合物ライブラリーを用いた創薬への展開、希少放線菌ライブラリーの構築と充実について(第一部)、また多剤耐性菌への挑戦、慢性疼痛に対するミクログリア制御の新たな治療戦略、天然成分を利用したアレルギー疾患の予防や治療の可能性について(第二部)、その最前線の状況も含めて講演いたします。講演後にはネットワーキングセッションもございますので、ぜひ会場にお越し下さい。
「大村記念微生物資源研究フロウティラ」は、大村博士にゆかりのある山梨大学と北里大学が連携して創薬研究を行うことを目的として2024年4月に山梨大学に設置しました。大村博士には特別顧問として参画していただき、「大村イズム」のもと研究を推進しています。また、フロウティラがきかっけとなり、今年、両大学は包括的連携協定を結んでおります。両大学の強みを掛け合わせた創薬プロジェクトにより、日本発のライフサイエンスイノベーションを世界に発信すべく挑戦しています。
フロウティラでは、年2回の定期シンポジウムを開催しています。第3回のシンポジウムとなる今回は「創薬研究における天然資源の新展開」ということで、山梨大学と北里大学の連携研究組織「フロウティラ」における「創薬研究」の一端を紹介したいと思います。本セミナーがライフサイエンス分野に関わる多くの皆さまと新たな連携のきっかけとなることを期待しております。
日時: 2025年7月3日(木)17:30-20:00(受付開始17:15~,リアル会場ネットワーキング19:05~)
日本橋ライフサイエンスビルディング2階 201大会議室、オンライン(Zoom Webinar)
(外部サイトが開きます)
申込締切
会場参加:2025年7月3日(木)9時 / オンライン:2025年7月3日(木)18時まで
参加費
会場
会員:無料
非会員:1,000円
(要事前登録)
オンライン
無料
プログラム
時間 | 内容 |
17:15 | 開場 |
17:30-17:40 | Opening Remarks 本シンポジウムの位置づけ 本シンポジウムの趣旨・フロウティラ紹介 |
17:40-18:10 | 第一部:天然物化合物ライブラリーの創薬研究への活用について AMED・BINDS事業における大村天然物ライブラリーの活用 希少放線菌ライブラリーの活用 |
18:10-18:55 | 第二部:天然物化合物の新たな創薬への取組み 多剤耐性菌の解析最前線: 人類の存続をかけた挑戦 微生物由来天然化合物を基盤とした疼痛創薬研究 アレルギー疾患の予防や治療における天然成分のポテンシャル |
18:55-19:05 | Closing Remarks 花木 秀明 氏(北里大学 大村智記念研究所 特任教授 / 山梨大学 大村記念微生物資源研究フロウティラ 特任教授) |
19:05-20:00 | リアル会場でのネットワーキングタイム |
20:00 | クロージング |
※内容が変更になる場合がございますがご了承ください。
登壇者
登壇者プロフィール | |
![]() | 黒澤 尋 氏 山梨大学理事(フロウティラ統括) 山梨大学大工学部教授(2009.10) 山梨大学生命環境学部教授(2012.4) 山梨大学 理事・副学長(2023.4) 2024年4月より、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智先生を記念する研究組織「大村記念微生物資源研究フロウティラ」の統括責任を務める。 専門:生物化学工学、生命工学 |
![]() | 廣瀬 友靖 氏 北里大学 大村智記念研究所 教授 北里大学大村智記念研究所では微生物グループ、生物活性評価グループ、活性物質の単離、構造解析グループ、薬理評価グループの共同体制で天然物創薬研究を推進しています。その中で、私の専門は有機合成化学で、北里大学で見出された天然物を中心にその誘導化や、全合成研究を行っています。大村智記念研究所の研究グループでは医薬の種となる特徴的で他に類をみない天然有機化合物ライブラリー、またそれらの生産菌を含む糸状菌、放線菌の微生物ライブラリーを保有しております。現在、AMED、BINDSの研究の一環で、本化合物ライブラリーを、学内外の優れた生物活性評価系を構築されている先生に提供し、創薬のシードとなる活性化合物の探索支援を推進しております。さらに、見出された有望な創薬シード化合物については、誘導体展開を実施し、創薬リード化合物の創製を試みておりまづ。学内外の先生にBINDSを広く活用していただき、日本発の薬に繋がる研究を進めていければと思います。 |
![]() | 山村 英樹 氏 山梨大学生命環境学部生命工学科 教授 2004年山梨大学大学院博士後期課程修了、2004年(独)製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部研究職員、2007年山梨大学工学部生命工学科助教、2015年山梨大学生命環境学部准教授・2024年同教授 専門は放線菌の選択分離法の開発および分類学。放線菌は創薬リソースとして知られており、なかでも分離が非常に困難な希少放線菌の選択分離法の構築および分類学的研究を行っている。日本各地の土壌や落葉、様々な希少分離源から約4000株以上の放線菌を収集している。さらに東南アジアを中心とした地域から放線菌の分離経験を有しており、世界的にも珍しい超希少な放線菌の分離に成功している。これら分離株の一部からは新規生理活性物質が発見され、さらに40の新属新種の報告に携わってきた。 2013年日本放線菌学会浜田賞(研究奨励賞)を受賞 |
![]() | 阿部 章夫 氏 北里大学 大村智記念研究所 所長 教授 1986年に北里大学大学院薬学研究科修士課程を修了後、(社)北里研究所に入所。1991年に博士(薬学)号を取得。北里研究所在職中に、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学へ4年間留学し、分子細菌学の研究に従事した。2001年に北里研究所を退職し、北里大学大村智記念研究所教授に就任。2024年より同研究所・所長、および北里大学大学院感染制御科学府・学府長を兼務。 専門は分子細菌学であり、これまでに細菌の分泌装置、特にIII型分泌装置の構造と機能に関する研究を推進してきた。2018年以降は、人類にとって喫緊の課題である多剤耐性菌の研究に注力し、細菌ゲノムに着目した新規創薬標的の探索を進めている。現在はAMED創薬ブースターの支援のもと、細菌の転写制御に関する知見を応用し、次世代抗菌薬の戦略的開発に取り組んでいる。 |
![]() | 鈴木 堅太郎 氏 山梨大学 生命環境学部 教授 2001年 久留米大学大学院医学研究科博士課程修了 2001年 熊本大学・博士研究員 2009年 熊本大学発生医学研究所・助教 2012年 和歌山県立医科大学・先端医学研究所・講師 2019年 和歌山県立医科大学・先端医学研究所・准教授 2022年 山梨大学生命環境学部・教授 現在に至る。 |
![]() | 中尾 篤人 山梨大学医学部免疫学講座 教授 1989(平成元)年 千葉大学医学部卒業 千葉大学内科研修医(第二内科) 1991(平成3)年 国保旭中央病院内科医員 1995(平成7)年 スウェーデンウプサラ大学ルードウィック癌研究所研究員 2001(平成13)年 順天堂大学医学部アトピー疾患研究センター講師 2003(平成15)年 山梨大学医学部免疫学講座教授・順天堂大学医学部客員教授 2023(令和5)年 日本アレルギー学会理事 |
![]() | 花木 秀明 氏 北里大学 大村智記念研究所 特任教授/ 山梨大学 大村記念微生物資源研究フロウティラ 特任教授 北里大学の大村智先生の大学院を卒業後に藤井節郎先生のもとで抗がん剤S1の開発に従事すると共に抗MRSA薬の創薬研究を行い、cephem骨格で世界初の抗MRSA活性を有す化合物を見出した。順天堂大学に移籍後、MRSAの基礎と臨床の研究を行いながら、β-ラクタマーゼ検出試薬を開発した。北里研究所では、全国規模の三学会合同抗菌薬感受性サーベイランスを実施しながら、日本初の新規耐性菌の耐性機序の解明や院内感染などの調査を行って日本の疫学を世界にアピールした。またAMR用の創薬プロジェクトがAMED CiCLEに採択されて現在は第二相試験を実施中である。さらに天然物を用いたCD感染症の創薬では安全性試験からFirst in Humanに向けた試験を実施中である。2024年4月から山梨大学に設置された大村記念微生物研究フロウティラの実施責任者として北里大学と強力に連携しながら、希少放線菌からの有用物質の探索とイベルメクチン誘導体を用いた疼痛緩和や抗ガン効果などを目指した創薬研究を展開し、山梨大学での創薬研究の礎としてフロウティラを位置付けたいと考えている。 |
定員
リアル会場100名
*リアル会場は先着100名様となります。
*講演終了後、リアル会場のみネットワーキングの時間を設けます。
オンライン会場1000名
参加方法
・リアル会場にお申込みをされた方は当日会場にお越しください。
・オンライン会場はZoomウェビナーを使用します。事前に参加登録をお済ませください。
・参加申込後にメールにて視聴URLをお知らせいたします。(専用URLとなりますので、他者との共有はお控えください)
・ウェビナーの操作方法等はご自身で事前にご確認をお願いいたします。
参加費
会場
会員:無料
非会員:1,000円
(要事前登録)
※LINK-Jサポーター・LINK-J会員・プレスの方は割引コードをお伝えしますので、LINK-Jまでご連絡ください。
オンライン
無料
主催
主催:一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン、山梨大学
お問い合わせ先
LINK-J E-mail:contact@link-j.org