開催趣旨
近年の計測技術のめざましい進展により、科学分野においては膨大な情報の取得が可能になり、これらの情報の解析を介した知識発見やデータ駆動的な予測がこれまで以上に重要になっている。生命科学においては、ヒトゲノム解読以降、さまざまなオミクス情報、分子構造情報、細胞や個体のイメージング情報などの生命情報ビッグデータが容易に取得できるようになり、個々の細胞の動作や相互作用から、疾患や行動パターンに至るまで、幅広いレベルでの理解や予測が進んでいる。人工知能(AI)技術の急速な発展は、これらの複雑なデータから新たな知見を引き出すための強力なツールとなっており、AIとデータ駆動の生命科学の融合は、医学や生物学の研究に革新をもたらし、社会全体にわたる影響を与える可能性がある。
本公開シンポジウムでは、「一細胞から人の流れまで:データ駆動の生命科学、人工知能で生命を解く」というテーマのもと、生命科学とAIの融合による最新の研究成果や今後の展望について議論する。生命科学と情報科学・AIの研究者が一堂に会し、異分野間の連携による新たな研究領域の開拓を目指す。
プログラム
時間 | 内容 |
13:00-13:10 | 開会挨拶 有田正規(国立遺伝学研究所 教授) |
第一部:分子から細胞まで(各30分、質疑含) 司会 岡田眞里子(大阪大学 蛋白質研究所 教授) | |
13:10-13:40 | 異形配偶子の成立機構の解明 林克彦(大阪大学 大学院医学系研究科・医学部 教授) |
13:40-14:10 | ライブイメージングで紐解く細胞の運命決定 小長谷有美(理化学研究所 生命機能科学研究センター チームリーダー) |
14:10-14:40 | データ駆動による生命システムの薬物応答解析 山西芳裕(名古屋大学 大学院情報学研究科・複雑系科学専攻 教授) |
14:40-14:50 | 休憩 |
第二部:個体から集団まで(各30分、質疑含) 司会 塚田信吾(NTT物性科学基礎研究所/大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点 フェロー) | |
14:50-15:20 | 生命システムの研究に理論は必要か? 池上高志(東京大学 大学院総合文化研究科 教授) |
15:20-15:50 | データ駆動で実現する、人と企業のマッチング 仲暁子(ウォンテッドリー株式会社 代表取締役CEO)・市村千晃(同エンジニア) |
15:50-16:20 | 生成AIを用いた脳内情報処理の解明と解読 小林一郎(お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 教授) |
16:20-16:30 | 休憩 |
16:30-17:30 | パネル討論 池上高志(東京大学 大学院総合文化研究科 教授) 市村千晃(ウォンテッドリー株式会社 エンジニア) 小長谷有美(理化学研究所 生命機能科学研究センター チームリーダー) 小林一郎(お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 教授) 林克彦(大阪大学 大学院医学系研究科・医学部 教授) 坂内博子(早稲田大学 理工学術院 教授) 山西芳裕(名古屋大学 大学院情報学研究科・複雑系科学専攻 教授) |
17:30-17:40 | 閉会挨拶 野地博行(東京大学 大学院工学系研究科 教授) |
参加費
無料
主催
日本学術会議統合生物学委員会・基礎生物学委員会・農学委員会・基礎医学委員会・薬学委員会・情報学委員会合同バイオインフォマティクス分科会、IUPAB分科会、生物物理学分科会
共催:大阪大学蛋白質研究所
お問い合わせ先
大阪大学 蛋白質研究所 細胞システム研究室
mokada*protein.osaka-u.ac.jp (*は@)