2026年1月28日(水)、 LINK-J は『LINK-J×BCG Biopharma R&D Seminar 製薬R&Dを巡るトレンドと生産性向上への取組み vol.4「臨床開発におけるAI/デジタル活用の最新動向」を開催(1/28)』を日本橋ライフサイエンスハブにて開催しました。
当日は49名の方にご参加頂きました。
【登壇者(左から)】
・曽山 明彦(LINK-J 常務理事、東北大学特任教授)
・早田 和哲 氏(株式会社セールスフォース・ジャパン インダストリーアドバイザー本部 ライフサイエンス業界担当 シニアマネジャー)
・AUVARO PHILIPPE 氏(メディカル・データ・ビジョン株式会社 執行役員 海外事業開発室 ゼネラルマネージャ)
・鹿野 洋 氏(ボストン・コンサルティング・グループ マネージング・ディレクター&パートナー)
・岡田 貴裕 氏(ボストン・コンサルティング・グループ プリンシパル)
・中村 健 氏(ボストン・コンサルティング・グループ マネージング・ディレクター&パートナー)
冒頭、LINK-J曽山よりご挨拶させて頂き、ボストン・コンサルティング・グループ中村氏より本イベントの概要についてご説明頂きました。
講演「臨床開発におけるAI/デジタル活用の最新動向」
鹿野 洋 氏(ボストン・コンサルティング・グループ マネージング・ディレクター&パートナー)
岡田 貴裕 氏(ボストン・コンサルティング・グループ プリンシパル)
講演「Accelerating Clinical Trials with Agentic AI」
早田 和哲 氏(株式会社セールスフォース・ジャパン インダストリーアドバイザー本部 ライフサイエンス業界担当 シニアマネジャー)
【早田氏講演要旨】
ライフサエンス企業のR&Dの領域の中で、Clinical向けのAgentic AIのUse Caseについてご紹介をします。今回は、特に大きな課題になっております被験者の募集の課題に対して、被験者の募集やスクリーニングから、臨床試験への組込み、Real World Dataを活用したSite(臨床試験施設)選定など、臨床試験をより加速させるためのソリューションを実際のデモ画面をご覧いただきながらご紹介させて頂きます。
講演「製薬業界における規制プロセスを支援するリアルワールドエビデンスの利用に関する将来展望」
AUVARO PHILIPPE 氏(メディカル・データ・ビジョン株式会社 執行役員 海外事業開発室 ゼネラルマネージャ)
【PHILIPPE氏講演要旨】
2025年10月にサンディエゴで開催されたDIA Real-World Evidence Conference では、リアルワールドデータ(RWD)とリアルワールドエビデンス(RWE)の規制プロセスへの活用が活発に議論された。本講演では、これらのプレゼンテーションから得た洞察を基に、製薬業界の将来展望を考察する。主に、規制当局のガイドライン進化、データ品質の向上、AI統合、グローバルハーモナイゼーションの観点から、RWEが新薬承認、安全性評価、臨床試験設計をどのように支援するかを概観する。
まず、PMDA(日本医薬品医療機器総合機構)の視点から、RWDの活用事例が示された。HER2陽性大腸癌に対するトラスツズマブ/ペルツズマブの承認では、臨床試験データを補完する形で患者レジストリRWDが用いられ、客観的奏効率の閾値を上回る有効性を支持した。ただし、患者数の限界や背景バイアスが課題として指摘され、規制目的の前向きレジストリのデータ品質確保が重要視された。将来的には、薬剤安全性評価(ファーマコビジランス)でRWDを活用し、AIによるシグナル検出の頻度向上や国際規制当局との連携が期待される。2014年から2023年にかけてのガイドライン整備(例: データベース研究のバリデーション原則)が基盤となり、2025年以降のRWE活用を加速させる。
FDAの規制視点では、21st Century Cures Act以降のガイドライン進化が強調された。電子健康記録(EHR)や請求データの信頼性評価が鍵で、データライフサイクル全体のスポンサー責任を明確化。ICH E6(R3)では、RWDの適合性を検査可能とするリスクベースアプローチを推奨し、規制決定の信頼性を高める。課題として、データ相互運用性の欠如やプライバシー法の制約が挙げられ、将来的にハーモナイズドスタンダードの確立が求められる。新規ガイドラインE23(RWEに関するICH指針)は、2025年以降のキックオフが予定され、RWEを開発ライフサイクル全体に統合する枠組みを提供する。
さらに、ハイブリッド臨床試験設計でのRWE活用が注目された。外部コントロールアーム(ECA)のケーススタディでは、統計シミュレーションとRWDを組み合わせ、希少疾患のPhase 3戦略を最適化。OMOP CDMのような標準化ツールやOHDSIネットワークが、多様なデータセットからの高速RWE生成を可能にし、コスト削減とサンプルサイズ拡大を実現する。アフリカのPANGHEA構想やEUのDARWIN EUのように、地域を超えたデータネットワークが拡大し、精密腫瘍学や試験募集の効率化を促進する。
AIの統合は、将来のブレークスルーとして議論された。自然言語処理による非構造化データの分析や、予測モデル(例: 腎疾患患者のヘモグロビン予測)が、ファーマコビジランスの精度を向上。EMAのNIS RWE反射紙では、ガバナンスと透明性の重要性を強調し、バイアス軽減のためのツール(HARPERプロトコルテンプレート)や登録制度(RWE Registry)の採用を推奨。低品質研究の公表を防ぐ多層的アプローチ(教育、ピアレビュー、データ共有)が、RWEの信頼性を支える。
結論として、製薬業界はRWEを規制プロセスの基幹ツールとして位置づけ、データ品質向上と国際協調を推進すべきである。AIとネットワークの進化により、2025年以降は患者中心の迅速な意思決定が可能となり、公衆衛生の向上に寄与する。ただし、バイアス管理と倫理的考慮が不可欠だ。将来的には、ICHのハーモナイゼーションがグローバルスタンダードを確立し、革新的医薬品開発を加速させるだろう。
パネルディスカッションでは、中村氏がモデレーターとして加わりご登壇の皆様と熱い議論を交わしました。会場からも多くの質問が寄せられ非常に盛り上がりました。
講演後はホワイエにて登壇者および参加者間の交流を目的としたネットワーキングを行いました。 ネットワーキングでは、名刺交換や情報交換が積極的に行われました。
参加者からは「AIを利用した開発についての現時点の状況を理解することが出来ました。」「AIがどのように医学の発展に繋がるのかが良くわかりました。」「パネルディスカッションで非常に具体的かつ実践的なお話が聞けたことが良かったです。」といった感想を頂きました。
ご参加頂いた皆様には心より御礼を申し上げます。