新規ゲノム編集技術であるCRISPR-Cas3技術の社会実装を目指すC4U株式会社(以下「C4U」といいます。)は、当社の進める「CRISPR-Cas3ゲノム編集技術を用いた原発性免疫不全症に対する造血幹細胞移植治療法の開発」について、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する「創薬ベンチャーエコシステム強化事業(創薬ベンチャー公募)」(第8回)に採択されましたのでお知らせいたします。
AMEDの「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」は、日本の創薬ベンチャーエコシステムの強化のため、創薬に特化したハンズオンによる事業化サポートを行うベンチャーキャピタル(VC)を認定し、その認定したVC(以下「認定VC」という。)による出資を要件として、創薬ベンチャーが実施する創薬開発を支援する制度です。
当社は、これまでの資金調達におけるリード投資家であるDCIパートナーズ株式会社をリード認定VC、三菱UFJキャピタル株式会社をフォロワー認定VCとして本事業に申請しておりました。今後、2社を含む認定VCからの出資額に対して、その2倍に相当する金額の支援をAMEDから得ることで総額最大約30億円となる資金を活用し、CRISPR-Cas3ゲノム編集技術を用いた原発性免疫不全症に対する造血幹細胞移植治療法の臨床試験における安全性および有効性の実証を目指してまいります。
本研究開発の推進により、自家造血幹細胞ゲノム編集医療がプラットフォーム技術として確立され、さまざまな疾患に対してex vivoゲノム編集治療への応用可能性が広がることが期待されます。加えて、オフターゲット評価などの安全性評価の体系化により、CRISPR-Cas3技術を基盤とした治療法の安全性の担保にも貢献できると考えております。
C4U概要
C4Uは、新規ゲノム編集技術CRISPR-Cas3を用いて、遺伝性疾患を始めとする様々な疾患に対する新規の治療法等の開発を自社及び他社との提携により推進すると同時に、幅広い産業への応用に向けたプラットフォーム展開に取り組んでおります。
CRISPR-Cas3技術は、C4Uの創業メンバーである東京大学医科学研究所先進動物ゲノム研究分野の真下知士教授、大阪大学微生物病研究所の竹田潤二招へい教授らの研究成果を基に開発されたCRISPR-Cas3を用いた新しいゲノム編集技術です。CRISPR-Cas3技術は、現在までにオフターゲット変異は認められておらず高い安全性が期待できることや、ターゲット遺伝子とその周辺を広く削ることができるといった特徴を有し、現在世界中で研究が先行しているCRISPR-Cas9の複雑な特許状況に影響されない、これに対抗し得る有望なゲノム編集技術として注目を浴びています。
<用語の解説>
ゲノム編集技術: DNA切断酵素と人工的にデザインしたRNAなどを細胞に導入し、ゲノムの局所を選択的に切断、改変する技術です。
CRISPR-Cas3: CRISPR-Cas9同様に二本鎖DNAを切断しますが、crRNA(ガイド)認識配列が長い(27塩基のガイド配列)ことから、特異性が高く、オフターゲット変異(狙った部分以外の変異)がない、より安全なゲノム編集ツールです。また、大きな欠失を起こすことも可能なため、遺伝子の改変に加えてその機能を失わせることも得意としています。
CRISPR-Cas9: 現在広く利用されるゲノム編集技術の一種で、Cas9がガイドRNAと結合し、ガイドRNAの一部(20塩基のガイド配列)と相補的なDNAを選択的に切断します。ガイド配列を変更することにより、様々な塩基配列をもつDNAを選択的に切断することができます。
ex vivoゲノム編集治療:体外に取り出した細胞に生体外(ex vivo)で遺伝子編集を実施した後、再度体内に戻して治療を行う方法。
お問い合わせ先
C4U株式会社
大阪府吹田市山田丘2番8号
E-mail:info@crispr4u.com