独自のゲノム編集技術であるCRISPR-Cas3技術の社会実装を目指すC4U株式会社(以下「C4U」といいます。)は、今般、株式会社RACTHERA(以下「RACTHERA」といいます。)と、C4Uが独占的通常実施権を有するCRISPR-Cas3技術に関する特許(以下「本特許」といいます。)について実施許諾するライセンス契約(以下「本契約」といいます。)を締結いたしましたのでお知らせします。
C4Uは、2021年以来、住友ファーマ株式会社(以下「住友ファーマ」といいます。)と、また2025年2月以降は住友ファーマから再生・細胞医薬事業を承継したRACTHERAと再生医療等製品のターゲットとなる細胞及び遺伝子について、CRISPR-Cas3を用いた共同研究を実施しております。そのうち、先行していた中枢神経系疾患を対象とした細胞及び遺伝子に関する共同研究では目標とする結果が得られ、2024年3月にライセンス契約の締結に至りました。(詳しくは、2024年4月10日付「住友ファーマとのライセンス契約締結のお知らせ」をご覧ください。)
今般、先行プロジェクトに続き2件目の共同研究においても一定の成果が得られ、RACTHERAが本特許の実施許諾を希望したため、本共同研究内容にて対象とした細胞及び遺伝子に関するライセンス契約の締結に至りました。
本契約締結について、C4Uの代表取締役平井昭光は以下のように述べています。
「RACTHERAとの2件目のライセンス契約締結に至りましたこと、大変嬉しく思っております。再生・細胞医薬の推進に強くコミットされるRACTHERAにおいて、複数の研究開発でCRISPR-Cas3技術が選択されることは、今後のCRISPR-Cas3技術を用いた新たな治療法の実現を一層加速するものと期待しております。引き続きRACTHERAと協働してまいります。」
C4U概要
C4Uは、ゲノム編集技術CRISPR-Cas3を用いて、遺伝性疾患を始めとする様々な疾患に対する新規の治療法等の開発を自社及び他社との提携により推進すると同時に、幅広い産業への応用に向けたプラットフォーム展開に取り組んでおります。
CRISPR-Cas3技術は、C4Uの創業メンバーである東京大学医科学研究所先進動物ゲノム研究分野の真下知士教授、大阪大学微生物病研究所の竹田潤二招へい教授らの研究成果を基に開発されたCRISPR-Cas3を用いた独自のゲノム編集技術です。CRISPR-Cas3技術は、現在までにオフターゲット変異は認められておらず高い安全性が期待できることや、ターゲット遺伝子とその周辺を広く削ることができるといった特徴を有し、現在世界中で研究が先行しているCRISPR-Cas9の複雑な特許状況に影響されないことから、CRISPR-Cas9に対抗し得る有望なゲノム編集技術として注目を浴びています。
URL:https://www.crispr4u.jp/
RACTHERA概要
RACTHERAは、再生・細胞医薬事業の研究開発の推進を目的に、2024年11月に住友化学株式会社と住友ファーマ株式会社(以下「住友ファーマ」といいます。)により設立された合弁会社です。住友ファーマ株式会社から再生・細胞医薬事業(再生・細胞医薬製造プラントに関する事業を除く)を2025年2月1日付けで承継しました。RACTHERA設立に伴い、C4Uと住友ファーマとの契約はRACTHERAに移管されています。
URL:https://www.racthera.co.jp/
<用語の解説>
ゲノム編集技術:人工的にデザインしたDNA切断酵素などを細胞に導入し、ゲノムの局所を選択的に切断、改変する技術です。
CRISPR-Cas3: CRISPR-Cas9同様に二本鎖DNAを切断しますが、crRNA(ガイド)認識配列が長い(27塩基のガイド配列)ことから、ゲノム配列の認識特異性が高く、オフターゲット変異(狙った部分以外の変異)誘導リスクが少ない、より安全なゲノム編集ツールです。また、大きな欠失を起こすことも可能なため、遺伝子の改変に加えて、その機能を失わせることや、疾患原因となる遺伝子変異を含む領域を大きく削除することも得意としています。
CRISPR-Cas9: 現在広く利用されるゲノム編集技術の一種で、Cas9がガイドRNAと結合し、ガイドRNAの一部(20塩基のガイド配列)と相補的なDNAを選択的に切断します。ガイド配列を変更することにより、様々な塩基配列をもつDNAを選択的に切断することができます。欧米の複数の研究者らによって開発され、複雑に入り組んだ多数の特許背景を持ち、現在でも米国等で特許抗争裁判が継続中です。
お問い合わせ先
C4U株式会社
大阪府吹田市山田丘2番8号
E-mail:info@crispr4u.com