公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)は、マラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)の治療薬、診断薬の製品開発6件に合計約28.6億円の投資(助成)を決定しました*1。
マラリア予防の持続性注射剤の前臨床開発に約9.1億の投資
マラリアは世界で年間約2億8千万人が罹患し、約61万人が命を落としている深刻な感染症です *2。薬剤耐性の問題や、薬を正しく服用し続ける難しさ、さらには各家庭へ定期的に薬を届けるための人手や費用など今なお多くの課題が山積しています。
これらの課題を解決するため、GHIT Fundは、塩野義製薬、長崎大学、Medicines for Malaria Venture(MMV)が進める、マラリア予防を目的とした「持続性注射剤」の前臨床開発のプロジェクトに約9.1億円の投資をすることを決定しました。今回は、2023年に約3.3億円を投資したプロジェクト*3 の継続投資となります。本プロジェクトでは、薬の製造方法や製剤の検討、必要な原薬・治験薬の製造、安全性を検証する非臨床試験を行い、臨床開発に向けた申請準備を整える予定です。1回の注射により長期間にわたって予防効果を発揮する革新的な持続性注射剤の開発を通じ、マラリア予防の体制を強化することで、将来的なマラリア撲滅への貢献が期待されます。
内臓リーシュマニア症・皮膚リーシュマニア症に対する経口治療薬候補の開発に約7.7億円を投資
リーシュマニア症は、サシチョウバエに刺されることで感染する顧みられない熱帯病の一つであり、主に3つの型に分けられます。内臓リーシュマニア症は世界で毎年推定約5~9万人の新規患者が発生し、その70%以上が東アフリカの地域に集中しており、約半数が15歳未満の子どもです。また皮膚リーシュマニア症 は命にかかわる病気ではないものの、年間約60万人の新たな症例が発生しており、大きな公衆衛生上の課題となっています。
内臓リーシュマニア症の現在の治療薬の課題である副作用の懸念、コールドチェーン(低温物流)の必要性、治療期間の長さ、薬剤耐性といった課題を解決するために、GHIT Fundは、Drugs for Neglected Diseases initiative (DNDi) とエーザイ株式会社が推進する内臓リーシュマニア症および皮膚リーシュマニア症に対する経口治療薬候補「DNDI‑6174」の開発に約7.7億円の投資を行います。今回は、2021年に投資した約6.1億円のプロジェクト *4 の継続投資となります。革新的な作用機序を持つ経口治療薬候補の開発で、投与期間が短く、遠隔地や医療資源が限られた環境にも適した治療選択肢となることが期待されています。
その他にも、以下の4つの研究開発プロジェクトに対して、合計約11.7億円の投資を決定しました。
(1) アメリカ・シアトルに本部を置く国際的なグローバルヘルスの非営利団体であるPATH 、愛媛大学、GlaxoSmithKline (GSK)による熱帯熱マラリアの予防薬開発を目指すモノクローナル抗体の第1相臨床試験プロジェクト
(2) スウェーデンのAIスタートアップであるEnaiblers、新潟薬科大学、新潟大学、旭川医科大学、オーストラリアの医学研究機関QIMRベルクホーファー医学研究所による人工知能デジタル病理学による土壌媒介蠕虫症・住血吸虫症の統合診断
(3) エーザイ株式会社、Drugs for Neglected Diseases initiative (DNDi)、国立健康危機管理研究機構 (JIHS)によるフラビウイルス感染症治療薬創出に向けた新規抗ウイルス活性ヒット化合物の最適化研究
(4) 新潟大学およびthe Global Alliance for TB Drug Development, Inc. (TB Alliance)による休眠結核菌に作用する抗結核薬リードの創出プロジェクト
各プロジェクトの概要や開発段階など、詳しくは別紙1をご覧ください。
2026年6月19日時点で46件のプロジェクトが進行しており、その内訳は21件の標的・探索研究、13件の非臨床試験、12件の臨床試験 *5となります。GHIT Fundのこれまでの累積投資金額は約468億円となります(別紙2)。
注記
1 これらの案件は、公募RFP2025-002(標的研究プログラム、スクリーニング、ヒット・トゥ・リードプログラム、製品開発プログラム)の中から選定され、承認されたものです。
2 WHO(世界保健機関)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/malaria参照
3 プロジェクト詳細: G2023-218 https://www.ghitfund.org/investment/portfoliodetail/detail/221/jp
4 プロジェクト詳細: G2020-116 https://www.ghitfund.org/investment/portfoliodetail/detail/181/jp
5 薬事申請の段階にある案件を含みます。診断薬開発において、途上国における患者サンプルを使用した臨床的妥当性の評価を行う段階に入った案件については、表現の便宜上、臨床試験として扱っています。
【グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について】
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画が参画する国際的な官民パートナーシップです。世界の最貧困層の健康を脅かすマラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症と闘うための新薬開発への投資を行っています。治療薬、ワクチン、診断薬を開発するために、GHIT Fundは日本の製薬企業、大学、研究機関の製品開発への参画と、海外の機関との連携を促進しています。詳しくは、https://www.ghitfund.org/jpをご覧ください。
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GHIT Fund に関するお問い合わせ先
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金 麦谷
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