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投稿日:2023年11月21日投稿者:国立成育医療研究センター

低出生体重による出生は心血管疾患や生活習慣病リスクを増加 ~日本初!出生体重と成人後期の生活習慣病の関連が明らかに~

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国立成育医療研究センター(東京都世田谷区、理事長:五十嵐 隆)の社会医学研究部の 森崎 菜穂、内分泌・代謝科の吉井 啓介らの研究グループは、国立がん研究センターなどと共同で行っている次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT[1]にて、出生体重と成人期後期(4074歳)の心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)リスク、および各種生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症・痛風)との関連を調べる研究を行いました。その結果、成人期後期の心血管疾患の罹患率は、出生体重[2]3kg台の方と比べて、低出生体重児(出生体重が2.5kg未満)の方は1.25倍、極低出生体重児(出生体重が1.5kg未満)の方は1.76倍と高いこと分かりました。(グラフ1

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また、心血管疾患のリスクとして知られている高血圧、糖尿病も出生体重が低いほど罹患率が高いことが分かりました。(グラフ23
この研究で、出生体重と成人期後期の生活習慣病の関連が日本で初めて明らかになりました。本研究成果は、疫学専門誌「Journal of Epidemiology」で発表されました(20231118Web先行公開)。

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[1] 次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT)=「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(国立がん研究センター)。日本人の生活習慣・生活環境が、がんなどの生活習慣病とどのように関わっているのかを明らかにすることを目的とした研究です。2011年に始まり7県16市町村の地域住民11.5万人(研究開始当時40-74歳)を対象として行われている。

[2] 出生体重の分類:4000g以上=高出生体重児、2500~4000g未満=正出生体重児、2500g未満=低出生体重児、1500g未満=極低出生体重児、1000g未満=超低出生体重児。

【プレスリリースのポイント】

  • 出生体重が小さい方ほど、成人後期に心血管疾患のリスクが高いことが分かりました。
  • 出生体重が小さい方ほど、成人後期に高血圧、糖尿病の生活習慣病になりやすいことも分かりました。
  • 出生体重と成人期後期の生活習慣病の関連を、日本で初めて明らかにした研究成果です。
  • 日本では10人に1人が出生体重5kg未満、100人に1人が出生体重1.5kg未満で生まれています。今後、低出生体重による出生が増えないための予防の取り組みや、低出生体重児として生まれた方の成人後の健康増進のために、本研究の知見が正しく周知され、予防医学の精度の向上に役立つことが期待されます。

【今後の展望・発表者のコメント】

本研究では、ヨーロッパを中心とした研究ですでに指摘されていた出生体重と生活習慣病との関連を、日本人で初めて調べました。その結果、低出生体重児や極低出生体重児として出生した方は、成人後期に心血管疾患を発症しやすく、また高血圧・糖尿病の生活習慣病を発症しやすいことが、日本人においても明らかになりました。
今後は、幼少期からの生活習慣への介入など、低出生体重児として生まれた方々の成人期の健康を最適化するための研究が必要です。低出生体重による出生を予防するために、妊娠前・妊娠中の母親の健康と適切なケアも重要です。将来の妊娠のための健康管理に関する情報提供を男女問わず推進するなど、プレコンセプションケアに関する体制整備をさらに進めることも求められています。

参考資料

お問い合わせ先

【研究に関する問い合わせ先】 国立成育医療研究センター 広報企画室 村上・神田 電話:03-3416-0181(代表) e-mail :koho@ncchd.go.jp 【次世代多目的コホート研究に関するお問い合わせ】 国立研究開発法人国立がん研究センター 予防研究グループ TEL:0120-220-510  e-mail:jphcadmin@ml.res.ncc.go.jp
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