元樟生技(AMS BioteQ)は2018年、蔡宜儒博士(以下「蔡博士」)によって設立され、創薬研究及び革新医療器材の開発に取り組んでいます。台湾固有の天然資源をベースとし、世界の抗感染症薬市場への展開に成功しました。蔡博士の研究の初志は彼自身の経験によるものであり、彼は薬剤耐性の脅威に対し、強い危機感を抱くようになりました。チームと共に研究を行い、人類の天敵である「感染症」と戦うことを目指しています。
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研究の初志:個人の経験から社会への挑戦
AMS BioteQ社の設立背景には、董事長本人の物語及び、世界の健康問題への強い使命感があります。蔡博士は中興大学にて病理学の博士課程に在籍していた2014年に、『Nature』雑誌に掲載されたある記事に注目しました。その記事によりますと、細菌の薬剤耐性が世界の健康に対し、大きな脅威になりつつあることが強調されていました。細菌の薬剤耐性が進化することで、一般的な抗生物質が次第にその効力が無くなることを意味し、医療システムに深刻な課題をもたらすことになります。この発見により、蔡博士は抗菌及び抗ウイルス分野の突破口となりうる天然物、特に台湾本土固有の真菌資源から解決策を探せないかと思案し始めました。
蔡博士の研究に対する情熱は、学術的な興味に留まらず、その多くの啓発は、彼が家庭にて自ら体験した困難から来ています。彼の祖父は肝臓ガンの末期に、薬剤耐性黄色ブドウ球菌に感染して亡くなりました。また、祖母も長期間の寝たきり生活による褥瘡感染症が原因で命を落としました。これらの経験により、彼は既有の抗生物質の限界を痛感し、同じような悲劇がほかの家庭で起らぬよう、新しい抗感染薬の開発に人生を捧げる決意を固めました。
蔡博士は研究過程において、特に台湾固有の真菌である-牛樟芝(Antrodia camphorata) に強く心が惹かれました。牛樟芝は、豊富な生物活性により注目を集めており、一部の成分には抗ガン効果が顕著にあることが証明されています。だからこそ、当時の研究において、牛樟芝は主に抗ガン分野で利用されていたが、逆に抗菌や抗ウイルス分野における可能性を探る科学者はほぼいませんでした。よって、蔡博士は牛樟芝に秘める抗菌や抗ウイルス作用に効く新しい成分を見つけようと、研究を始めました。
長年にわたる努力の結果、蔡博士とそのチームは、牛樟芝より二種類の特殊な活性を持つ化合物-YUAN-01とYUAN-03の分離に成功しました。これらの化合物は、実験室での抗菌試験において優れた結果を出しており、院内感染の主な病原体である黄色ブドウ球菌を含み、特に薬剤耐性菌に対し顕著な抑制効果を示しました。これらの研究成果は、AMS BioteQ社の設立における技術的な基盤となりました。
抗ウイルス薬の突破:新型コロナウイルスと天然物薬物の台頭
2019年に突如発生した新型コロナウイルス感染症は、世界の医療システムにかつてない挑戦をもたらしました。各国こぞって効果的な治療法や予防策を模索しましたが、当時市場にはSARS-CoV-2に対する特効薬が欠乏していました。この状況を受け、AMS BioteQ社は直ちにこの分野の研究を開始し、蔡博士と彼の研究チームは、台湾大学医学院の張淑媛教授と協力し、自社が保有する天然物化合物ライブラリーより、新型コロナウイルスを有効的に抑制できる可能性のある成分をスクリーニングしました。
台湾大学医学院との共同研究において、AMS BioteQ社は新型コロナウイルスに対し、潜在的な治療効果を持つ2種類の化合物YUAN-01とYUAN-03を発見しました。これらの化合物は細胞実験において、顕著にウイルスの複製を抑制する効果を示し、特にYUAN-03はSARS-CoV-2を強力に抑制する効果が表れました。AMS BioteQ社の研究成果は業界から評価されただけでなく、2021年には資本市場への参入を果たし、傘下の薬剤開発の進捗をさらに加速させるきっかけとなりました。
新型コロナウイルスのほかにも、AMS BioteQ社は更にデングウイルス(Dengue Virus)、ジカウイルス(Zika Virus)、鳥インフルエンザウイルス(Avian Influenza Virus)などを含む、困難なウイルスにまで研究範囲を拡大しました。 これらのウイルスは人類の健康に脅威を与え続けているにも関わらず、現在のところ普遍的に有効なワクチンや治療薬が存在しないという問題を抱えています。よって、AMS BioteQ社は独自に保有する豊富な天然物化合物ライブラリーの中から、これらのウイルスに対して大規模なスクリーニングとテストを行った結果、抗ウイルスに強力な効果を持つ化合物AMS-2140を発見しました。
動物実験において、AMS-2140は複数のウイルスに対し優れた抑制効果を示し、特にデング熱と鳥インフルエンザの実験における成果が顕著なものでした。これらの成果を受けて、AMS BioteQ社はAMS-2140の臨床試験を行い、国際パートナーと共に、この化合物の更なる臨床試験における適応症での潜在的な応用を探索しようと決めました。
世界の公衆衛生への挑戦:デング熱と鳥インフルエンザの開発戦略
デング熱(Dengue Fever)と鳥インフルエンザ(Avian Influenza)は、常にAMS BioteQ社の研究と布石の焦点であり、この二種類のウイルスは、特に熱帯と亜熱帯地域の公衆衛生に対する脅威は巨大なものです。東南アジア地域では、毎年数百万人がデング熱に感染し、重症化により死亡されています。特にタイやブラジルなどでは、年々テング熱感染者数が絶えず増加しており、地域住民の健康を脅かすだけでなく、世界の公衆衛生システムにも大きなプレッシャーを与えています。
AMS BioteQ社はタイのマヒドン大学(Mahidol University)及びチュラーロンコーン大学(Chulalongkorn University)と提携し、デングウイルス血清型1-4(Dengue Virus Serotype 1-4)について研究を行っています。AGB6マウスモデルを使用して、人類がデング熱による出血症状を模擬しました。AMS-2140はいずれも優れた抗ウイルス効果を示し、マウスの死亡率を大幅に低下させ、デング熱治療薬の開発に向け、重要な基盤を築きました。
鳥インフルエンザの研究において、AMS BioteQ社は高雄医学大学及びタイのマヒドン大学(Mahidol University)と提携し、H5N1やH7N9など高病原性の鳥インフルエンザウイルス株について詳細な研究を行っています。鳥インフルエンザは家禽の健康に影響を与えるだけでなく、接触することで人間にも感染する(人畜共通感染症)リスクがあり、そこから大規模なパンデミックを引き起こす可能性があります。AMS BioteQ社のAMS-2140は動物実験において、同様に優れた抗ウイルス効果を示しており、この化合物で治療を受けたマウスは、高病原性鳥インフルエンザに感染後の生存率が顕著に向上しており、この実験結果は、AMS-2140が医療分野における潜在力があることを示すだけでなく、鳥インフルエンザの流行拡大を防止する一つの新しい解決策にもなります。
蔡博士によりますと、タイ政府はデング熱と鳥インフルエンザの予防対策を特に重視しており、過去にも感染拡大を防ぐために、家禽の全面的に殺処分を行う方法が主流でした。しかし、この方法は膨大なコストがかかるうえ、農家の生活にも深刻な影響を与えていました。AMS BioteQ社は、AMS-2140を予防的治療手段とする提案を行い、より効果的かつ経済的な方法で感染症を制御し、農家への影響を軽減することを期待しています。この開発戦略は、感染症による経済的損失を減らすだけでなく、公衆衛生上の課題に対応する能力も明らかに向上します。
早期ライセンスアウト:小規模企業の生きる道
AMS BioteQ社は、早期ライセンスアウト戦略をコアに展開する新興バイオテクノロジー企業です。いわゆる「早期ライセンスアウト」とは、薬物開発の初期段階で得られた研究成果を、大手製薬会社にライセンスの使用許諾を供与する代わりに、資金支援及び技術提携を受けることです。2024年のJPモルガンの研究報告によると、早期ライセンスアウトは投資回数と特許使用許諾での価値はまさに増加しており、2024年上半期では、これらの特許価値が2,400万ドルから4,700万ドルに達しています。台湾のバイオテクノロジー企業にとって、早期ライセンスアウト戦略は一般的ではないが、AMS BioteQ社はこのやり方に拘っています。
AMS BioteQ社を設立した初志は、限られた資源を集め、最大の影響を生み出すことです。蔡博士にとって、早期ライセンスアウトはバイオテクノロジー企業にとって、非常に堅実的な生きる道であると考えています。薬物開発から販売許可を得るまでに、通常10年から15年の時間が費やされますが、資本の限られた小規模な企業にとっては大きなチャレンジです。台湾の資本市場はバイオテクノロジー企業に対し、大きな期待を寄せていますが、全ての企業が十分な資金支持が得られているわけではありません。従って、資金と研究成果はバイオテクノロジー企業の存続に関わる二大要素であり、充実な資金と研究の成功を同時に進行できてこそ、会社が確実に長期的に発展していけます。
特にAMS BioteQ社のような新興企業にとって、早期ライセンスアウトは投資家を惹きつける有効的な手段であると蔡博士は考えています。海外ではこの方法は既に普及しており、多くのバイオテクノロジー企業は良き研究成果を得た際に、大手製薬会社にライセンスを供与し、時には共同開発を行うことが多々あります。この方法は迅速に会社の収益を上げることができると共に、製薬会社との提携関係を築くため、企業発展の可能性を高めることができます。蔡博士は多くの有名バイオテクノロジー企業を訪問し、国光生技の詹啓賢会長の経験から啓発を受けました。詹会長は:「誰も通ってない道だからといって、その道は通れないというわけではない」と。この言葉を聞いた蔡博士は、AMS BioteQ社は自社の道を歩むべきだと確信を持つようになり、早期ライセンスアウトを通じて、資金と研究リソースのネックを突破し、会社のために、持続可能な成長のチャンスを探します。
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更なる高みへ:独創技術SIPSIPシリーズドレッシング材、高難度の日本市場に挑戦
AMS BioteQ社は創薬研究のみならず、特に慢性創傷と感染防止に関する製品開発について、革新的医療器材の研究開発にも積極的に取り組んでいます。「SIPSIP Foam」フォームドレッシング(Foam Dressing)が典型的な一つの例です。このフォームドレッシングは、AMS BioteQ社がまず日本市場をターゲットにし、特に高齢者向けの熱傷や慢性創傷に適しており、優れた吸水性と抗菌性を持ち、創傷の治癒を促進します。日本独立行政法人医薬品医療機器総合機構の統計によると、2024年にSIPSIP Foamは日本市場で目前唯一認証を獲得したフォームドレッシングであることで分かるように、その製品のクォリティと効果は市場で高く評価されています。
市場の布石において、AMS BioteQ社は革新的な医療器材の主要市場として日本を選び、現地のパートナーと提携して製品を医療流通ルートに導入しています。日本は世界的に高齢化が最も進んでいる国の1つであり、高品質な医療製品のニーズが非常に高く、AMS BioteQ社の製品シリーズはまさにそのニーズに応えるものです。現地のパートナーとの提携により、AMS BioteQ社は迅速に市場に参入できるだけでなく、パートナーの流通ルートを頼りに、製品を素早く普及させることが可能となっています。
更に、AMS BioteQ社は革新的医療器材の「SIPSIP Pro」ゼラチンドレッシング材も開発しています。この製品の目標は、現在市販中の価格がやや高いコラーゲン製品に代わる、効果的且つ経済的な深い創傷ケア製品を提供するものです。これらの革新的医療器材の開発は、AMS BioteQ社が医療器材分野での画期的な進歩だけでなく、世界市場での競争力を高める重要な一歩にもなります。
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今後の全体の布石及びクロス分野での提携戦略
AMS BioteQ社は、2026年までにフォームタイプ、ゼラチンタイプ、複合タイプ、止血タイプ、抗菌タイプなど、少なくとも5種類の異なる組合せのデザインの新しいドレッシング材製品を発表する予定です。医療器材の多機能性と実用性を向上し、様々な創傷のニーズに応えます。更に安定したキャッシュフローを確立するためにAMS BioteQ社は、化学療法や放射線療法を受けたガン患者のQOL向上を目指す「元気ドリンク」を開発しました。臨床実験の研究報告によると、元気ドリンクを3ヶ月間飲用後、患者は生理学的指標、感情、家族との交流及び健康指標など、全てにおいて顕著な改善が見られました。
AMS BioteQ社は目下、次の段階の臨床試験を実施中です。特に頭頸部のガン患者を対象に、元気ドリンクを飲用後に、放射線治療を行う効果を観察しています。細胞実験では、元気ドリンクによる前処理を行ったガン細胞に放射線を照射すると、ガン細胞の死亡率が著しく向上するのに対し、正常細胞には保護効果があることが確認されています。このほか、研究チームは緩和病棟の患者に対しても試験を行い、痛み止めの使用を減少させ、患者が人生最期の段階で意識を保ち、家族と良き時間を過ごせることを目指しています。当該臨床試験は義大病院のIRB審査によって承認されたことは、AMS BioteQ社と研究チームにとって大きな励みとなりました。
今後2年以内に、AMS BioteQ社はドレッシング材の臨床試験を完了し、販売地域の拡大を目指し、創傷ケアを必要とするより多くの患者の役に立ち、市場での影響力をさらに拡大することを目指します。革新的医療用ドレッシング材シリーズは、AMS BioteQ社の技術面での突破を示すだけでなく、世界の医療用ケアドレッシング材市場での競争力と将来性をも表しています。
総括しますと、AMS BioteQ社は革新的なドレッシング材技術、抗体薬物複合体 (ADC) 技術及びガン術後の栄養サポート製品における開発成果を通じて、日本市場の注目を集めるのに成功しました。今後日本製薬会社との提携交渉が進むにつれ、AMS BioteQ社は日本市場に根付くことを目指すと共に、その技術を世界に広め、更なる広範な市場影響力を実現することが期待されています。

お問い合わせ先
詳細な情報は、AMS BioteQ社の公式ウェブサイトやSNSをご覧ください。
AMS BioteQ社公式サイト:https://www.ams-bioteq.com/tw
お問い合わせ先:service@amsbioteq.com