株式会社テックドクター(代表取締役:湊 和修、本社:東京都中央区、以下、テックドクター)は、東京科学大学(Science Tokyo) 大学院医歯学総合研究科 膠原病・リウマチ内科学分野 細矢 匡 准教授が主導し、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)令和7年度「難治性疾患実用化研究事業(医療機器)」の支援のもとで実施される研究課題に、研究開発分担機関として参画します。
本研究は、全身性エリテマトーデス(SLE)を対象に、ウェアラブルデバイスから得られる生体データと患者報告アウトカム(PROs)を統合解析し、疾患の状態を客観的に示す指標である「デジタルバイオマーカー*」を創出・活用することで、治療の最適化や治療アドヒアランスの向上を目指します。
令和6年度の研究開発を通じて蓄積してきた知見を踏まえ、診療支援ツールとしての実用化を見据えたプログラム医療機器(SaMD)の研究開発に取り組みます。
テックドクターは本研究において、ウェアラブルデータ解析やAI/機械学習モデルの検討、および疾患活動性予測アルゴリズムを実装したプロトタイプの開発を担います。
■研究の背景と必要性
全身性エリテマトーデス(SLE)は、主に20~40代の女性に好発し、全身の様々な臓器に慢性的な炎症を引き起こす自己免疫性疾患です。膠原病の中では比較的患者数の多い疾患であり、国内の患者数は6~10万人程度と推定されています。近年の薬物治療の進歩により急性期の治療成績は向上している一方で、慢性期における再燃リスクの管理や、安全な薬剤減量・中止の判断は依然として臨床上の重要な課題として残されています。
SLEは症状や経過が患者ごとに大きく異なり、医師が診察時に把握できる情報には限界があり、疾患活動性の全体像を把握しきれない可能性が指摘されています。
こうした課題に対して、これまでの研究や取り組みを通じて、患者自身が報告する症状(PROs)や、ウェアラブルデバイスから得られる心拍・睡眠・活動などの連続的な生体データを活用することで、SLEの病状をより包括的かつ客観的に把握できる可能性が示されてきました。こうしたデータに基づく客観指標は、SLE診療におけるデジタルバイオマーカーとしての活用が期待されます。
本研究では、これらのデータを活用し、疾患活動性の可視化を通じて、治療判断の精度向上や、再燃リスクを見据えた治療最適化に資する診療支援のあり方を検討します。
■これまでの研究成果と国際学会発表
令和6年度AMED「医療機器等研究成果展開事業(チャレンジタイプ)、研究課題名:SLEの疾患活動性の可視化により安全かつ適切な治療管理を実現するソフトウェアの開発」の支援のもと、東京科学大学と実施してきた研究開発を通じて、本研究課題につながる基礎的な検討と知見の蓄積が進められてきました。
その過程で、診療の場で得られる医療情報に加えて、ウェアラブルデバイスから取得される生体データを患者報告アウトカム(PROs)等と組み合わせることで、SLEの疾患状態をより正確に把握できる可能性が示唆されました。
これらの研究成果は、欧州リウマチ学会の学術集会において発表され、高い関心を集めています。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000071267.html
本研究では、こうした知見を踏まえ、診療支援ツールとしての実用化を見据えたプログラム医療機器の研究開発に取り組みます。
■研究開発概要
日本医療研究開発機構(AMED) 令和7年度「難治性疾患実用化研究事業(医療機器)」
研究開発課題名:
ウェアラブルデバイスとパーソナルヘルスレコードを活用した SLE の診療ガイドプログラム医療機器の開発
(参考)公募情報
https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00112.html
研究開発代表者:
国立大学法人 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科
膠原病・リウマチ内科学分野
准教授 細矢 匡 先生
【本研究開発の目的】
本研究では、デジタルバイオマーカーを用いて、SLEの「疾患活動性」を定量的なスコアとして可視化し、診療を支援するプログラム医療機器の実現を目指します。
これにより、治療状況を客観的かつ医療者間で共有可能な形で評価できる仕組みの構築を図るとともに、SLEをモデルケースとして、将来的に他の指定難病にも展開可能なプラットフォームの実装可能性を検討します。
【方法】
新たに構築する患者コホートを用い、先行研究で得られた知見に基づく指標の外挿性や有用性を検証します。あわせて、疾患の安定度や増悪傾向を直感的に把握できる指標の開発を行います。
また、専門医の病勢判断との整合性を検証しながら、診療支援に資するプログラム医療機器プロトタイプの開発に取り組みます。
※本プログラムは開発中であり、現時点で診断や治療に用いることはできません。
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■社会的意義と今後の展望
本研究を通じて得られる知見をさらに深化させることで、将来的には、医師や患者に対して、SLEの再燃リスクや症状変動の見通しをより高い精度で提示できることが期待されます。これらの情報を医師・患者間で共有することにより、再燃前兆期における受診勧奨や早期治療の判断、さらには薬剤の最適かつ安全な減量といった、より計画的な治療介入が可能になると考えられます。
また、SLEでは維持療法中であっても倦怠感やメンタル不調、予測困難な症状変動等に悩まされることが少なくありません。本取り組みによる病状の可視化や将来予測は、患者が自身の状態を理解し、疾患と向き合いながら日常生活を送るための支えとなることも期待されます。
本研究で目指す診療支援の仕組みは、客観的なデータの裏付けに基づく質の高い医療を、より多くの医療現場で実践できるように支援するものです。SLE診療における不確実性を可視化し、医師と患者が情報を共有した上で治療方針を検討する「納得感のある治療参加(協調的意思決定, shared decision making)」へとつながる道筋を示すことを目指します。
テックドクターは、ウェアラブルデバイスを活用した生体データの解析を通じて、難病領域における客観的評価手法の可能性を探求し、データに基づく医療の発展に貢献してまいります。
【 テックドクターについて 】
株式会社テックドクターは「データで調子をよくする時代へ」をビジョンに掲げ、ウェアラブルデバイスをはじめとした日常のセンシングデータから健康に関するインサイトを導く「デジタルバイオマーカー*」の開発と、その社会実装を進めています。医療・製薬・食品関連企業や研究機関と連携し、データに基づくAI医療の実現を目指しています。
代表者 :湊 和修
代表医師 :泉 啓介
本社 :東京都中央区京橋二丁目2番1号 京橋エドグラン4階
設立 :2019年6月21日
事業内容 :デジタルバイオマーカー開発プラットフォーム「SelfBase」の開発および運用、デジタル
医療ソリューションの提供
URL :https://www.technology-doctor.com/
* デジタルバイオマーカー
デジタルバイオマーカーとは、スマートフォンやウェアラブルデバイスなどから取得される日常的な生体データをもとに、疾患の有無や病状の変化、治療の効果を連続的かつ客観的に評価する指標です。
従来のバイオマーカーは、医療機関で一時的に測定される「点のデータ」でしたが、デジタルバイオマーカーは日常生活の「線のデータ」を継続的に取得できる点が特徴です。運動、睡眠、心拍などの指標をもとに、病気の早期発見や治療の効果や安全性のモニタリング、さらには薬剤開発における新たなエンドポイントとしても期待されています。海外では2019年頃から開発が進み、国内でも注目が高まっています。
お問い合わせ先
株式会社テックドクター 広報担当 向坂(こうざか)
TEL:03-5476-8889
MAIL:pr@technology-doctor.com