2024年度は3兆6,721億円の見込み。
大型製品のジェネリック医薬品発売や薬価引き下げの影響から、近年縮小傾向
■MR数と一人当たりの売上(各年11月時点)
MR数は2019年2.5万人から2023年2.0万人。
一方で、一人当たりの売上は2019年1.5億円から2023年1.8億円へ
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、営業面では生産性の向上や営業体制の効率化、開発面では注力領域を中心に国内外のバイオベンチャーから新薬候補の導入や創薬活動の加速化などを図る日系製薬企業の動向を調査した。その結果を「製薬企業の新・事業ポートフォリオ戦略 2024 No.2 国内企業編」にまとめた。
この調査では、大手製薬企業からバイオベンチャーまで、日系製薬企業・創薬企業57社を対象に、直近のトピックスや医療用医薬品の国内売上、営業体制、提携状況、研究開発状況などを明らかにし、各社の事業戦略の現状と今後を展望した。なお、グローバル展開する大規模な企業や日本への市場展開を目指す外資系製薬企業42社についての調査結果の概要については、2024年7月30日に公開している。
◆調査結果の概要
1.日系製薬企業57社の医療用医薬品国内売上
日系製薬企業・創薬企業57社における医療用医薬品の国内売上は、生活習慣病領域などプライマリー(一般内科・クリニック向け)領域の大型製品のジェネリック医薬品発売や薬価引き下げの影響から、近年は縮小傾向にある。
2021年度は、当時、武田薬品工業が流通・販売を担当していたCOVID-19ワクチン「スパイクバックス」(モデルナ・ジャパン)の実績が加わったことや、「オプジーボ」や「フォシーガ」(いずれも小野薬品工業)の伸長により一時的に拡大したが、2022年度は縮小した。
2023年度は、抗がん剤や希少疾患治療剤などの伸長があったものの、微減となった。2024年度も微減が続くとみられる。
2022年度は中枢神経/疼痛領域を売上上位の疾患領域とする企業が一番多かったが、2023年度はがん・がん関連領域とする企業が一番多かった。中枢神経/疼痛領域は、「レクサプロ」(持田製薬)のジェネリック医薬品が発売されたことなどが影響している。
2.MR数と一人当たりの売上(各年11月時点)
主力製品のジェネリック医薬品発売による注力度低下や、2020年より希望退職を募る企業がみられたため、MR数は減少している。なお、疾患領域専門MR、また、直近ではデジタルプロモーション専任MRを配置している企業が増えている。デジタルプロモーション専任MRは、中枢神経領域や抗がん剤などスペシャリティ領域(専門性の高い領域)の製品担当としている企業が多い。
プライマリー領域に注力する企業も一定数みられるが、希少疾患治療剤や抗がん剤などスペシャリティ領域に注力する企業が増加している。スペシャリティ領域の製品については高薬価であることもあり、MRの営業生産性は高まっている。
3.領域別開発企業数(各年8月時点)
2022年、2024年ともに、開発企業数1位はがんである。2024年は中枢神経系疾患も同数1位である。
2022年と比較すると2024年はがん、代謝系疾患の開発企業数が減少している。一方で中枢神経系疾患や自己免疫疾患、希少疾患の開発に取り組む企業が増加している。
<調査対象>
・日系製薬企業・創薬企業57社(ケーススタディ53社)