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インタビュー・コラム

MIYAMAN's column vol.12 製薬産業が世界最大の産業になる

製薬産業が世界最大の産業になる

生命科学の研究者やベンチャー企業、つまり皆さんの責任はますます重くなってきた。  

2022年までに自動車産業を抜いて、製薬産業が世界最大の産業となることが確実になってきたからだ。これからの地球の成長エンジンは、新薬や革新的な予防薬、そして健康寿命を延伸するヘルスケア産業が担うだろう。自動車産業は電気自動車やカーシェアリングなどの台頭によって、市場の縮小を余儀なくされる。家電・AV、そして半導体産業が国際的な競争力を失い、自動車と国内のサービス産業に依存してGDP(国内総生産)を細々と維持してきた我が国が、製薬産業の国際競争力を立て直さない限り、豊かな超高齢化社会を享受することはできない。  

経済産業省の調査では、いずれも2012年度の数字だが、世界の自動車産業は182兆円、医薬産業は114兆円を全世界で売り上げた。この68兆円も差が、2022年までには逆転するというのだ。その理由は両産業の成長率の差にある。今回の調査では自動車産業の平均成長率年率3%に対して、製薬産業は8%と推定、2022年には自動車産業を2兆円、医薬産業が凌駕して246兆円まで成長すると予測したのだ。製薬産業の高成長率の根拠は、世界保健機関が過去10年間、世界の医療費が年率8%成長したという調査結果である。今後、先進国の高齢化、そして中国を初めとする中進国や発展途上国の高齢化や富裕化によって、世界の医薬品・ワクチンの市場は間違いなく増大する。斜陽の自動車産業を追い越す日はそう遠くない。  

加えて、イノベーションの連鎖が製薬産業で起こっている。抗体医薬に始まり、遺伝子治療、再生医療、核酸医薬、デジタルセラピューティックスなど新モダリティが続々と商品化しつつある。我が国の医療費の伸びの3分の1以上は技術革新によるもの。技術革新が進めば進むほど医療費も高騰する悪循環だ。だからこそ、治験と販売・製造コスト削減など持続可能なビジネスモデル開発への挑戦も不可欠なのだ。

miyata.png 宮田 満 氏
東京大学理学系大学院植物学修士課程修了後、1979年に日本経済新聞社入社。日経メディカル編集部を経て、日経バイオテク創刊に携わる。1985年に日経バイオテク編集長に就任し、2012年より現職。厚生労働省厚生科学審議会科学技術部会委員、日本医療研究開発機構(AMED)革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業評価委員など、様々な公的活動に従事。

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