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インタビュー・コラム

日本のエクソソーム研究全体を底上げし、人類の健康・福祉への貢献を目指す株式会社アズフレイヤ

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株式会社アズフレイヤは、人間の体内で様々な生命現象に関わると同時に、癌をはじめとした多くの疾患の発症や進展で重要な役割を担う「エクソソーム」の研究・開発支援を中心に、開発した原料を使用した化粧品やサプリメント等の製造・販売、再生医療のコンサルティングなどを行っている企業です。現在はオープンイノベーションの精神で様々な企業との共同研究も進めています。事業内容と将来展望について、國木幸恵氏(代表取締役)、榎本滋氏(取締役社長)、千脇史子氏(主任研究員)にお話を伺いました。

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(左から)アズフレイヤ株式会社 榎本滋氏(取締役社長)、千脇史子氏(主任研究員)、國木幸恵氏(代表取締役)

エクソソーム研究の進展を支援し、製品化などを通じて社会実装していく

――まずは貴社の設立経緯と事業内容について教えてください

榎本 2017年に開催された再生医療学会で、東京医科大学医学総合研究所の落谷孝広教授によるプレゼンテーションを聞いたことがきっかけとなり、人間の体内にある「エクソソーム」という存在に注目したのが出発点になっています。この「エクソソーム」は、様々な細胞が分泌している直径50~150nm程度の大きさの物質で、その内包物が細胞間で受け渡されることにより、様々な生命現象に関わると同時に、癌をはじめとした多くの疾患の発症や進展で重要な役割を担っていることから、近年研究が盛んな分野です。そこで落谷先生を共同研究者として迎え、先生のエクソソーム研究の進展を支援し、製品化などを通じて社会実装していくことを目的に設立したのがアズフレイヤです。

國木 エクソソームが含有された化粧品開発からスタートして、オリジナル商品の製造・販売を行ってきました。現在は、自社開発した原料、例えば植物由来のエクソソームに着目した化粧品やサプリメントなど、各種製品のOEMやODMが主体となっています。他にも、再生医療の導入を検討されている医療機関様に向けて、提供計画書の作成から申請まで包括的に支援するコンサルティングサービスを提供しています。

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――貴社の事業の「強み」はどこにあるとお考えですか?

榎本 落谷先生はエクソソームを薬機法に基づく再生医療等製品ではなく、診断や治療に役立つ医薬品として開発しようと日々研究に邁進されています。私たちが関わることで、いろいろなライフサイエンス企業の研究を支援すると同時に自由な発想で様々なサイエンスを取り込み、医薬品はもちろん、化粧品やサプリメントなど、エクソソームに新たな価値を付加した製品を生み出していける点が強みではないかと考えています。

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日本のエクソソーム研究全体を底上げしたい

――三井リンクラボ新木場1に入居されました。ここでは、どのような研究をされているのでしょうか?

千脇 様々な取り組みを行っているうちの一つが、培養液や培養上清液に含まれるエクソソームが、間違いなくエクソソームであるということを証明する研究です。他には、エクソソームの存在が目で見てわかるように、ビジュアル化するためのデータを取得する研究なども行っています。

榎本 私たちは、自社の事業開発のためだけに研究を行うのではなく、日本のエクソソーム研究全体を底上げしたいという大きな志を持っています。そのためにも、オープンイノベーションの精神で、我々の取り組みに興味を持たれた様々な企業様からのお問い合わせに耳を傾け、協力しながら新たな技術を生み出していきたいと考えています。すでに、三井リンクラボに入居されている企業様との共同研究もスタートしています。

國木 落谷先生と共同研究をスタートし、様々な原料をベースに肌への試験をしながら研究を進めていたのですが、その際にプロダクトを輩出するためのラボを探していました。数多くの物件を調査しましたが、私たちが求める研究室を新規で準備しようと思うと、廃液の問題のような水回りの規制などがあり、都心から遠く離れたエリアに土地を確保し、そこにイチから建てでもしない限りは、なかなか適したものがないというのが現実でした。そうした中、東京駅からもそう遠くない好立地で、必要な設備が整っているこのラボをご紹介いただき、入居までスムーズに話が進みました。とてもありがたいですね。

――実際に入居をしてみて、どんな感想をお持ちですか?

千脇 ラボの広さが十分にあるため機器も問題なく設置できており、実験が非常に行いやすい環境です。また、入居企業向けに様々なセミナーが開催されていることもメリットだと感じています。私も入居直後に『環境法令基礎講座』を受講し、廃棄物に関する法律についての知見を得ることができ、大変参考になりました。興味のあるテーマがあれば、今後も受講したいと考えています。建物自体が新しいこともありトイレなども清潔感がありますし、カフェやコミュニケーションラウンジ、共用スペースなど、食事や休憩ができる場所があるのもうれしいですね。

榎本 P2対応区画なので、コンタミネーションが発生する心配もありません。研究を行う施設として適切な管理をしていただいている安心感は大きなメリットです。

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他企業との共同研究をさらに活性化し、世の中を驚かせる成果を出していきたい

――今後、さらに三井リンクラボやLINK-Jに対して期待することをお聞かせください

國木 すでに数社、他エリアへ入居中の企業様をご紹介いただき面談などにつながりました。このような出会いや交流を活性化する取り組みを増やしていただけるとうれしいですね。また、LINK-Jでは会員企業のプレスリリース発信のサポートや、タイアップイベントの実施などもしていただけるそうなので、そうした機会からも新たな出会いが生まれていくことを期待しています。

榎本 他社との共同研究が盛んになり、さらにスペースを増やしたいとお願いするような状況をつくれたらいいですね。

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――ありがとうございました。最後に、今後の展望についてもお聞かせください

國木 今、世の中で「エクソソーム」と記載された化粧品に使用されているのは一般的にはヒト由来の成分ですが、私たちが研究に力を入れている植物由来の成分は、皆さんが口にしている食品と何ら変わりはなく、様々な製品への展開が期待できます。私たちにお問い合わせくださるメーカー様の多くは、ブランディングで売るのではなく、製品としての実力があるものを売っていきたい意向をお持ちですので、植物由来成分の効果やそのエビデンスをしっかり示していきたいと考えています。

榎本 半年ほど前に入居したばかりですが、落谷先生の基礎研究がベースにあるおかげで、応用が期待される有望な研究がすでにいくつも立ち上がっています。得られたデータを基にした特許の出願も進んでおり、皆さんを驚かせるような、人類の健康・福祉に貢献する成果を今後、次々に公表できると考えていますのでぜひご期待ください。

プロフィール

榎本滋 氏(アズフレイヤ株式会社 取締役社長)
京都大学薬学部卒、スタンフォード大学院ビジネススクール卒。武田薬品工業株式会社に入社後、同社の医薬ライセンス部長、欧州武田医薬部長を務める。丸石製薬では、取締役上席執行役員事業戦略室長、アライアンス本部長。Valneva Toyama JapanのCEO & Representative Directorを経て現職。

國木幸恵 氏(アズフレイヤ株式会社 代表取締役)

千脇史子 氏(アズフレイヤ株式会社 主任研究員)
東京女子医大学の心臓血圧研究所、獨協医科大学の心血管・肺内科、国立がん研究センター研究所の創薬標的・シーズ探索部門を経て現職。

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