これまで日本の保健医療政策は世界の模範とされてきました。その基盤となるのが国民皆保険制度です。しかしこの制度は日本人による日本人のための医療政策という側面が強く、日本人というマジョリティ間の平等性(Equality)は相当に達成できた一方で、マイノリティである外国籍住民との平等性をはじめ、すべての人に対する公平性(Equity)が十分に議論され達成されてきたとは言い難い事実があります。そうした長年にわたるマイノリティへの差別もしくは区別が、マジョリティの枠に入らない人びとへの根強い偏見や無知、無関心などを生み出し続けているのかもしれません。
本研究シンポジウムでは日本につながる移民として、在日コリアン、中国帰国者そしてハワイ在住日系人を取り上げます。歴史と文化をひも解き、日本社会に繋がるマージナルな人びとの健康そしてそれを支える医療について、学際的な視野で学びあうことが「だれひとりとり残されない」これからの日本の医療のあり方を考えることにつながるという思いをもって、本シンポジウムを企画しました。
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移民研究シンポチラシfinal.pdf日時:2024年3月10日(日)13:30~16:30(13:00開場)
日本橋ライフサイエンスビルディング9階 912・913会議室
(外部サイトが開きます)
プログラム
13:30~ 開始のあいさつ
13:40~ 話題提供① 李 錦純 氏(関西医科大学看護学研究科 在宅看護学領域 教授)
在日コリアン高齢者の医療と介護を支える地域包括ケアシステム
~多様なライフコースをふまえて~
14:10~ 話題提供② リトル 奈々重 氏(甲南女子大学看護学研究科 博士後期課程)
ハワイ在住日系移民高齢者のヘルスリテラシーと文化的影響に関する研究
14:40~ ストレッチ休憩
14:45~ 話題提供③ 小笠原 理恵 氏(大阪大学医学系研究科/国際医療センター 特任講師)
中国帰国者にみる日本で生き抜くためのストラテジー
~従順という戦略とその脆弱性~
15:15~ 指定発言 木下貴雄(王栄)氏
(高齢者と介護の橋渡しプロジェクト代表、中国帰国者2世)
15:20~ 休憩
15:30~ パネルディスカッション「移民を受け入れる日本社会への提言」
ファシリテーター:中村 安秀 氏(日本WHO協会 理事長)
特別ゲスト:本田 徹 氏 (いいたてクリニック 医師)
16:30 終了
参加費
無料
定員
60名 ※ご参加には事前登録が必要ですが、当日参加も可能です。
主催
大阪大学大学院医学系研究科 国際未来医療学講座/国際医療センター
共催:大阪大学ユネスコチェア「グローバル時代の健康と教育」
後援:公益社団法人日本WHO協会、日本国際保健医療学会「移民の健康委員会」