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イベントレポート

H³ 第26回:地域包括ケアシステム超入門<イベントレポート>

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「地域包括ケア」をテーマに第26回目のHealthcare Hackathon Hubを2019年10月17日(木)に開催いたしました。

デジタルヘルスコミュニティHealthcare Hackathon Hub(H3)では、ヘルスケア/デジタル業界のトピックを「浅く」「広く」カバーする超入門講座&ワークショップを通じて、今さら聞きにくい初級者向けの情報、専門家が紹介する効率よい勉強法、気軽に聞ける各業界の知り合いとのコミュニティ作りを支援します。

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今回は、臨床、行政、アプリ開発、サブカルチャーなど様々な取り組みをされている医師 石井洋介氏を講師にお迎えして、地域包括ケアの基礎をレクチャーして頂きました。21名の方にお申し込み頂きました。

石井先生には初年度から本テーマで講師をお願いしており、3回目のご登壇でした。冒頭、医療は「臨床、経営、政策」の3つのレイヤーから医療は成り立っており、相互に関係しあっている。『厚労省は医療の現場がわかっていない』と言われることもあるが、厚労省には厚労省の現場がある。」とお話がありました。そして地域包括ケアの前提知識としての社会保障の歴史から、医療のステークホルダー、法律・政策を理解するポイントまで幅広く語って頂きました。

地域包括ケアシステムについては、「昔は大病院だったら何でも対応していたが、現在は大病院ではない中小病院にも手術の症例が分散している状態である。それは必ずしも医療体制の効率性ひいては全体としての質の向上に繋がらない。そこで、手術できる病院は地域のなかで限られた病院だけ、それ以外は回復期とかやりましょうという議論を、データを元に始めればいいのでは、というのが地域医療構想の背景にある。入院医療のニーズはマクロ的には減っていくので、それに対応する提供体制の再構築を進めるのが地域医療構想となっている。」との解説がされました。

また今回も、会場からの質問が多く寄せられ、インタラクティブなQ&Aが展開されました。以下、一例ですが、会場からの質疑を抜粋します。

Q. 地域包括ケアで複数の法人や施設が連携しなければならなくなると思うのですが、うまく行っている例とうまく行っていない例をざっくり教えて下さい。


A. うまく行っている例は済生会熊本病院と付属する施設との連携。地域医療構想のモデルにもなっている有名な事例。うまく行っていないのは東京や大学病院が乱立している地域。大学病院同士で患者の取り合いとかをやりはじめるとうまく統合ができないというケースもある。

Q.行政、病院以外のステークホルダーの1つである保険者は、今後どのような変化が起こると考えられますか?

A. 実は今でも多くの変化が起きている。まず前提として国民健康保険と社会保険と共済保険は異なる運営者が担っており微妙に保険償還ルールが違っていてデータが断続している現状がある。健康保険組合自体もちゃんと価値を出せるかとか、 高コストなんじゃないかという議論も山積しており一筋縄ではいかない。そのような中で、診療報酬支払の審査もAIがやったほうがいいという議論も出てきている。

Q. 遠隔診療の広がる突破口はどの辺りにありそうか。

A. 臨床の質を保てるかが政策側の論点。遠隔診療ツールを使った診察でも質が落ちないか、確認できてから本格的に普及するのではないか。

今回は26回目の開催となり、ご後援頂いているLINK-J様には改めて感謝申し上げます。

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