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イベントレポート

WOMB Business Incubator -2020-#1「Why this?Why now?Why you?起業の前に考える3つのWhy」を開催(5/19)

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本イベントは、本年度より10回のシリーズとして実施されるWOMB Business Incubatorの第一回公開セッションとして、5月19 日(火)に行ったオンラインイベント(Zoomウェビナー)です。(LINK-J共催)

  • WOMB Business Incubatorとは
    WOMB Business Incubator(ウーム・ビジネス・インキュベーター)は、広義の健康「ウェルビーイング(Well-being)」の社会課題の解決を目指す起業家を支援するプログラムです。

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起業に対する必要な知識だけでなく、ヘルスケア・ウェルビーイング領域の起業に必要である事業理念の作り方や業界特有のティップスなど、講師のセッションを中心に、1年後に事業を生み出す「覚悟」と「基盤」を作り上げます。 同領域に特化したビジネスインキュベーターは、日本初となります。

WOMBは、英語で「子宮」―生命を育む場所―という意味です。健康についての課題は、誰しもが直観で感じているものの、法的課題のクリアや安全基準の整備、倫理面の議論が不可欠で、一人の力だけで成し遂げるのはとても難しい分野であり、挑戦する方も対象とされている社会課題も限られていることに着目し、多くの人と関わりながら、見守られながら、じっくりと時間をかけて、起業家から見た健康(ウェルビーイング)と、社会が考える健康(ウェルビーイング)をしっかりと紡いでいってほしい。そのような想いをもとに、19名のチャレンジャーが新しい事業を生み出すまで、10か月の長期間にわたって伴走するプログラムです。

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設立の想いやプログラムの説明(公式note)

講師セッション/起業前に問いかけるべきこと

WOMB Business Incubatorの公開セッションは、起業家向けに行う講義(録画)を中心に、起業家が実際に挑んでいる社会課題やビジネスについて、プログラムのメンター・アドバイザーとのテーマトーク等、実践的な内容を、ウェビナー形式で一般の方にお伝えするイベントです。

1回は、「事業の理念」-ビジネスの核となる"DNA"を意識することがテーマでした。

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海外のイノベーションカンファランスやアクセレレーターの仕掛け人であり、WOMB Business IncubatorFounderでもある奥田浩美氏より、事業の根源となる想いは理念について深く掘り下げるポイントをお伝えしました。

「失敗」と「挫折」から得られた学び ~海外留学、新しい事業を経て~

奥田浩美(以下、奥田) "今日は、皆さんがなぜ自分がこのビジネスに向かおうと思ったか、どう思っているかということを深く考えるために、自分の経験をもとに話をしたいと思います。"

日本の大学を卒業してから、インドの大学院に進みました。社会福祉の修士です。想像を超える社会の課題に面して、私は、その2年間、全く何も課題が解決できないな・・・と思って、帰ってきました。インドまで渡ったのはいいけれども、何もできなかった罪悪感とかそういう気持ちを抱えて。

その頃、 IT というものが世界を席巻し、その IT の世界の人たちがこう言っていました。「私たちはこの IT というツールを使って新しい世界で格差をなくす、そして、どんな人も幸せにする社会をつくる」と。1991年のことでした。こういう発明のようなもので社会を支えられればいいなと思い、その世界に飛び込みました。それから、30年になりますね。

でも、親の介護に面したときに気づきました。私の親は地方(九州)にいるんですけれども、まだ FAX や電話が中心の世界。「私たちは・・・誰の役に立つ製品を作っているのだろう?」と思い始めました。人と人の距離が広がらない、地方の高齢者たちとでも何か寄り添うような製品づくりをしましょう・・・と、最初に取り組んだのが、高齢者がちゃんとIT製品が使えるようにしましょうという活動(ワークショップ)でした。

なぜ、作る人と使う人の距離を縮めたかったか。

私がいつも言っていたのが「ため息からのものづくり」というキーワードです。コロナ禍で気づいた方もいるかと思いますが、逆に言うと、大変な時にしか気づけなかったこと。「周囲に溢れるため息」に課題が隠れていると思っています。でも、今までの会社ってどうでしょうか。今までの会社って素敵なカフェがあって、オフィスデザインもものすごく素敵で、そこには、お漏らしする子供もいなければ、徘徊するおじいちゃんやおばあちゃんもいない。そんな中で、社会が本質的に求めるものが作れるのだろうか?生活の場を近づけることでサービスづくりは相当進むのではないかということを言ってきました。

重要なのは、「喜怒哀楽」です。世の中は、この四つの感情が基本になっていると思うのですけれども、皆さんが、この緊急事態宣言の前にいた会社ではどうでしょうか。喜怒哀楽の中で、楽しいこととか喜ばしいことを、会社に一番求められているのではないでしょうか。悲しいこととか怒りが仮にあったとしても、会社では表に出しちゃいけない、と。悲しみとか怒りみたいなのは会社にはあってはならないものといった扱いをされていたんじゃないかと思います。

この活動は、失敗しました。(中略)私たちはその時にブログで実情を発信したのです。

「実を言うと、大失敗をしました」、と。何か物を作っている人と物を使う人との間のその格差があり、浸透しない。その大失敗を公表すると、Facebook上に、6400件の「いいね!」が来ました。ブログにも、たくさんのコメントがきました。「こういう風に行ったらもっといいものが出来るんじゃないか」とか、「こういう失敗を私たちもしたので一緒に活動をしましょう」、と。

失敗しながら、事業としては拡大を続けてきました。まずは、お金が増える速度よりも仲間が先に増えました。私たちの中心に何か課題を解決したいとか思いとかがあればそれを解決するためっていうことと人が集まってどうやったら解決できるんだろう、どういう風に自分は協力できるんだろうっていう楽しさでつながるコミュニティというのができたからです。

事業を起こすときに問うべきもの ~それはビジネスモデルではなく~

"ここからは私の活動の紹介を終えて、皆さんも自分の心の中に自分にどんな性質があるのかなと思って聞いていただきたいんですけれども・・・一体、私は何のサービスを作ってきたのか?世の中に何を届けてきたのか?何でお金をもらっているのか?何で人を惹きつけているのか?
実は、シンプルです。私が売っているもの、人を惹きつけているもの、そして私がこの体を使って社会に生み出したいものっていうのは、わずか、二つの言葉です。 

自分がやってきたことを点と点をつないで、あらゆる角度から自分のことを分析してみると、純粋に自分の中心にあるものは、「愛」と「希望」なんですね。必ず私は何かの事業を生み出す時に、「この事業は世の中に愛を増やしますか」「この事業は世の中に希望を増やしますか」と、自社サービスではなく、受託事業であったにしても、それを問います。

事業を始める時の「3つのWHY」 ~問い方・自分自身の身の置き方~

「なぜ:Why this ?」「なぜ:Why Now」「なぜ:Why You?」という、この3つのWhyですけれども、(スライドをみながら)このWHYの文字の大きさの違い、気づいていますか。どんどん文字が大きくなっていますね。

5年前に社会に刺さらないことも今日刺さることがある。これが、「Why now?」ですよね。皆さんが考える課題っていうのは、今と、1年後でも捉え方が大きく変わりますし、5年後、10年後、大きく変わってくると思います。それを考えて、これから一年で自分が考えていることが、なぜ今、あるいは、なぜ今までに無くてなぜこれから作る必要があるのかってことを考えることがとてもいいことです。

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そして、一番最後にある「Why You?」がすごく大きいですよね。

私も、決して器用にずっとビジネスをやってきたわけではありません。いっぱいの失敗をしても、そして、自分が作ったものを別の人に盗まれたりしても成し遂げたい分野があることを伝えたかった。

ビジネスモデルは結局誰かが真似できますし、誰かが盗んじゃったりします。でも、起業家の志とか、企業そのものの本質、つまり志は盗めない。・・・であれば、まず自分が自分の志に一番最初に気づいて、大切にしてあげることが大切だと思います。

私は、インドで、マザーテレサの施設でずっと活動していた頃がありました。その頃に、これから社会をどうしていきたいのだろう?この子達にどうしてあげたらいいのだろう?って思っていたんですけれども、最後に思ったことは、「どうしてあげたい」ではなく、「私が見たい世界の登場人物に自分が最初になる」、「私が見たいと思う世界の変化に自分自身がなる」ということでした。

インドのガンジーの言葉ですけれども、こうなったらいいなっていう世界は自分で作って、そこに登場しようと常に意識しています。

ビジネスって言うと何か人に売れるとか、何か新しいもの作れるってまずは考えがちですけれども、

  • あなたの存在そのものは何の変化になるのか?
  • 今日と明日の何の変化になるのか

考えてみてください。皆さんそれぞれ自分が大切にしている価値、あるいは自分が世界にもたらせる価値は何か、つまり、自分が一人この世の中に生まれてきた時にあなたの人生の存在と言うか、あなたが存在することで何がこの地球上に増えますかっていうような問いで自分の核は見つかると思うのです。

プログラム説明/今回参加するチャレンジャー(起業家)は?

WOMB Co-Chairmanの竹之下、横山より、プログラムおよび参加している起業家(チャレンジャー)の紹介を行いました。 コロナ感染症の影響で完全オンラインでの開催になったため、国内外から、歯科医師、ソーシャルワーカー、アーティスト、ベンチャー出身者等、幅広いバックグランドをもつ方がプログラムに参加しています。身体的な健康にとどまらず、社会的な健康にフォーカスした19つの課題を解決することをお伝えしました。また、5/10に行った起業家向けセッションで、「自分が大切にしていること(gift)」について、2名の対話でお互いに伝え合うというシンプルなワークショップで得た気づきや変化を共有いただきました。

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※起業家の具体的な気づきは、WOMBの公式note(公開予定)に掲載します。

対談 不確実性の高いときに求められる起業家の「資質」とは?

後半のパネルディスカッションでは、本荘氏(多摩大学客員教授)、曽山氏(一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)理事、奥田氏で、スタートアップならではのマインドセット、ウェルビーイングやヘルスケアにおける商機など、コロナ禍で情勢や個人の価値観が目まぐるしく変わる中で事業を起こす起業家へのアドバイスを頂きました。

奥田 私たち3人は、厚生労働省のヘルスケアベンチャーサミット(JVHS)の委員をやっておりまして、WOMBというこのプロジェクトは、JVHSからのスピンアウトの企画として生まれたものです。

本荘 厚労省の医療系ベンチャー振興推進会議の座長を4年数ヶ月前からやっています。スピンオフして、プロジェクトが生まれています。その一つが、L×T BridgeLINK-Jいうヘルスケア領域のエコシステムの中心組織が主催で、厚労省の協力を仰ぎながらやっております。

曽山 LINK-Jは、ちょうど4年前にできた、ライフサイエンス領域のネットワークやエコシステムを構築し、イノベーションを作る組織です。LINK-Jがある日本橋エリアには江戸時代以来、製薬企業がいっぱい集まっております。そこに、11か所のLINK-J関連拠点があり、昨年一年間で518回のライフサイエンス関連のオープンイベント(30人以上の人が参加するイベント)が開催されています。ライフサイエンス領域は、たくさんの分野に分かれており、非常にわかりづらい。縦割りの壁を破って繋ぐ役割だと思っています。L x T bridgeシリーズは、ライフサイエンスの分野と、テクノロジーの分野をブリッジすることを目的として、本荘さんと一緒に、最近はオンラインイベントを中心にやっているものです。

奥田 LINK-Jを舞台に私たちのプロジェクトもリアルイベントでやろうということで立ち上げたんですけれども、結果的にはオンラインになって、他の国から参加できたり、地方から参加できたり・・・と。引き続きサポートいただけていて、非常に嬉しいです。

今日のパネルディスカッションのテーマが、「不確実性の時代に求められる起業家の資質」みたいなテーマでしたので・・・お二人にメールで投げたところ、もうすぐに反応が来て、「そんなのチャンスしかないじゃない!」みたいなお言葉をいただきまして(笑)。

WOMB_06.jpg本荘 起業家は何のために存在するのか。「問題を解決する人」「本来ならできないことをやる人」。これがイノベーションです。コロナ禍という大問題が降ってきて、いまや問題だらけです。これは、起業家、そして、起業活動にとっては大チャンスで、やることが山盛りあります。今までやりたくてもできなかったこと・・・例えば、「判子をなくす」「教育をオンライン化する」みたいなことも、大問題が降ってくると自由に動きますよね。素晴らしいチャンスにしたい。しなきゃいけないです。危機の下、国民の半分以上は、マイナスの方に向かっているのではないでしょうか。その中で、生命エネルギーのある起業家、アントレプレナシップがある方々が動き始めるのではないかと思います。

曽山 コロナ禍で大変な騒ぎになっていますが、こういう先を読めない状況の中で起業していたとしましょう。起業家への選択肢としてはこれをポジティブに捉えるしかないと思うんです。そんな中で、こういうことが起きるのではないか。自分がどう成功するかというよりも、何に貢献できるのか。と考える。結果として起業家として成功する、みたいなのが凄いのではないかと思っています。

奥田 たくさんの起業家の方と話していて、(ヘルスケア・ウェルビーイングでは)、どの領域・分野が今回のチャンスがあると思われますか?

曽山 先ほどお話しした L x T bridgeシリーズで、4月に、スタンフォード大学の池野先生をお招きしたセッションをやりました。例えば、遠隔医療の領域で、スタートアップで取り組まれていたが、様々な規制で進んでいなかった。ところが今、「いよいよ壁が崩れてチャンス」なんて話もありました。中長期的にみるとすごいチャンスだと言えます。オンラインイベントにシフトし、気づきがたくさんありました。リアルだったら東京に集まれる人しか来ないけど、オンラインにすることで日本全国や海外の人も見てくれる。そうなると、リアルの良さはもちろんさておき、より広がったスコープでできることにチャレンジしていこうかなとわれわれの活動でも思っています。

奥田 いいですね。遠隔医療など、今までは規制がかかっていたところに、どんどん良い変化があるなっていう風に感じているんですけれども・・・他には、どの辺りの分野に、良い変化が起きはじめてますか?

WOMB_07.jpg曽山 いっぱいあります・・・たとえば、コロナ絡みでいうと、創薬とかワクチンとか。今日も、LINK-Jのセッションで、MiCAN Technologies (マイキャンテクノロジーズ)というスタートアップの話が出ました。マラリアや感染症の治療薬やそのための細胞を再生医療(技術)で創る会社です。海外のベンチャーでいうと、オックスフォードナノポアテクノロジーという次世代シーケンサーを作っている会社。これは画期的で、今まで数億円した機器とほぼ同等のことを、10万円台の機器でできるのです。まさしく感染症の最先端の領域はいろんなニーズがあると思います。

奥田 振り返ってみると、自分が起業した時代が不況だったり、リーマンショックだったり・・・危機の時に新しいビジネスを立ち上げたなっていうのが今振り返ってみて自分でも思いました。今までのものを何か失うときって、何か新しいものが自然と落ちてくるみたいな感覚があります。拾っていこうみたいな。そういう空気が、起業家の中にすごくあるなと。私の周りは、逆にアドレナリンがいっぱいですぎて「やらなきゃ」みたいな感じで動いてる人が多いのです。こういう時、チャンスと捉える起業家の特質とか、どういうマインドがあったらいいよみたいな、何かアドバイスするとしたら・・どういうことがありますかね。

本荘 女性起業家は「気がついたら行動していた」という人が多いですね。(芸術家の)岡本太郎さんが「情熱があるから行動するのではじゃない、行動するから情熱がわくのだ」って言っています。スタンフォード大学の研究者が科学的に調査研究したら、実際にそのような結果が出たんです。やってみて、それで考えて、またどんどんやってみて・・・っていう話ではないかと思います。

奥田 私も、動いたからそこにたくさんの愛を見つけられて、今花開いて「希望だ」って言っていられる気がします。行動してなければ自信を持って言えないって思いました。まさに、本荘さんが言った話のとおりだなと。なので、行動した中からしか、その人の本質の自信って生まれてこないなっていう気がしました。

曽山 面白いですね。まずはやってみよう。そして、そこから軌道修正していく。粗い仮説を立て、まず走ってみる。違っていたら、そこで軌道修正をする。こういうやり方が一番早く効率よくいく。「やってみたら」をショートサイクルで繰り返す。

奥田 私も同じようなことをSNSに投稿したんですね。今回のコロナ禍によってリモートワークが進んだけれども、「元に戻る会社」と「永遠に(今の)リモートワークを続ける会社」も現れてきましたよ、と。でも、「永久に(いまのまま)やります」っていっている会社って、やってみて、でも、結局「集まった方がいいよね」となったら、どんどん形を変えていくんだろうな、って。やらずに「やっぱり難しいよね」って言っている企業とは、どんどん開きが出てくるんだ、と。行ったことの実感から行動を変える。(WOMBの)チャレンジャー(起業家)に関しても、すごくいい言葉なんじゃないかなと思いました。

本荘 言うならば、「諦めが良いけど諦めない」っていう人ではないかと思います。「諦めが悪い人」って結構しんどいですよね。「とにかくこれで一生懸命やり切るぞ」と、突っ込む。

奥田 アクセラレーターでメンタリングをする時に、「素直で頑固であれ」ってよく言うんですね。でも素直で頑固、コーチャブル(cochable)であるというか、人の話をまず素直に聞いてでも色んなことやって、最後は、自分の決めたことには頑固であるっていうのが、今、本荘さんがおっしゃっていた言葉とまさに同じような意味なのかなって。やってみてまず何かを受け入れて、でも、これだけは譲れないっていうものを持つことが必要なんじゃないかなっていうふうに思います。

曽山 今奥田さんの話を聞いて質問があるのですけど・・・、今回の19人の方がプログラムを始められて卒業した時には、最初のコンセプトや構想とは全然違う中身になっていてもいいじゃないかなと。その点は、どんな感じでしょうか?

奥田 7月から8月ぐらいまでに、大体、事業の方針を決めればいいという、スローな歩みをするプログラムにしたんですね。「とにかく速度!」「とにかく規模!」「とにかく・・・」っていうように、大きなもの、早いものを目指している限り、本業を捨てない限りいつまでたっても、「ど真ん中」に来れないと思うのです。その人の背景を生かして、1年間かけて、「私が社会に貢献できる事っていうのはこれです」と。蛇行しながらでも、絶対自分の中心に何かを持っている人を選んだつもりでいます。例えば、「これで行くのです」って言っていても、プログラムの最後には、ビジネスモデルは全然違うものになっている可能性はあります。曽山さん、さすがですね。

人が思っている以上のものを、皆さんそれぞれが持っている。外から見たら価値がすごく高いのに、本人たちはこれをできるのはうちの業界だったら当たり前と思っている。そういう価値をもっと表に出したいと思います。

こういう場がなければ、一生、起業をしなかったかもしれない人達も参加してきてくれたことが嬉しいです。作り上げて生み出した時にすぐもうお金を生み出しなさいみたいなことを社会が言うじゃないですか。なぜ事業を生み出した瞬間から「歩け」って言うのだろうって。すごく支えてくれる人とか、支えてくれる他の会社があれば、5年ぐらい失敗してもゆっくりと歩き始めなさいみたいな。支え合いの起業みたいなものもあってもいいんじゃないかなって思って、長いスパンでやりたい人もどうぞという形を考えてます。

本荘 (私事ですが)第一子の生後1ヶ月ぐらいで、色々な人に「育児が大変だ」と弱音を吐いていたら、ある起業家が、赤ちゃんの生活のリズムを整えて育てるプロのコーチを紹介してくださり、救われたことがありました。「大変」「こう困っている」と、ふいに叫んだら「この人会ってみたら」となる。・・・緩やかでよいのですが、そういう関係性の中で助け合えたら素晴らしいのではないかと思います。

奥田 ありがとうございます。何か叫びたいことがまだ表に出てくるだけでも、実は社会にとってビジネスにとって価値があると思っています。最後に、先程紹介のあった19人のチャレンジャーに向けて、メッセージをそれぞれいただければ。お願いいたします。

本荘 「ハートで感じて、やるって思ったら行動する」。理屈だけじゃなくて、そして考え過ぎずに動くのが基本かなと思います。

曽山 かっこよくいうと、「自力活用」と「他力活用」。くるくる回しながらやるといいんじゃないかなと思っています。まず、やりたいことがあったら一生懸命考える、その後、いろんなエクスパティーズ(専門性)を持っている人に、意見を聞いてみる。フィードバックをもらって、また、自分で一生懸命考えて行動して・・・というのを繰り返すのが大事です。「叫ぶ」。助けを求めるのも恥ずかしがらずに図々しくどんどんやり続けることで、WOMBの参加者の人たちどうしが仲間になるといいと思います。奥田さんはさっき、失敗を重ねることによって仲間がどんどんいっぱい増えた、とおっしゃった。皆さんも、そういう素晴らしい仲間を増やしていくのがいいと思います。私もいつでもみなさんのお役に立ちたいです。

本荘 日本のアクセラレーターは、メンターと起業家が上下関係みたいに思ってしまうケースがある。メンターも人によって言うことが違うわけです。結局、決めるのは自分なんで。そういうつもりで、皆さんもフラットに付き合って下さい。

奥田 メンターとチャレンジャーを並行してやっている人もいて、私自身もこの1年間で何か事業をしっかり生み出そうと思いながらやっているので、「フラットさ」、大切にしていきたいなと思っています。

私は、WOMBプログラムっていうのを、ある意味の、私のネットワークの「生前贈与」と言っていまして・・・。ネットワークは独り占めしていても面白いものにならないので、ある一定の期間に若い人といろんな社会の人に回していけるプログラムが作れたいいなって思って、私はこのWOMBプログラムを生みだしました。今日お聞きいただいている方々というのは、実際には、単なる聴講者ではなくって、皆さんがサポーターであり、皆さんがもしかすると、来年の起業家であり・・・というふうに。フラットに、この10ヶ月を過ごしていきたいと思います。

イベントの反響/参加者の声

全国から70名を超える方にご参加いただき、大盛況のうちに終わりました。参加者からは、「解決したい社会課題を発信していたら、課題解決するために自然と人が集まってきて、楽しさでつながるコミュニティができたという言葉が響きました」「自分の説明書・自己紹介は、Super Powerつまり自分の価値。分が社会に打ち出したい価値はちゃんと相手に伝わっていますか?という言葉がとても心にささりました。」という声を頂きました。

イベントにご参加された方には、サポーター&チャレンジャーコミュニティ(非公開グループ)でのプロジェクトディスカッションに加わっていただき、事業を作り上げるまでの過程をご覧になっていただけます。次回から3か月にわたって、ビジネスの骨子を作るための本格的なセッションを行ってまいります。

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