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イベントレポート

「コロナ禍の今こそ求められる、「ウェルビーイング」とは? ~L x T bridgeニューフロンティア編vol.6」を開催(10/21)

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20211021日(木)にオンラインにて「コロナ禍の今こそ求められる、「ウェルビーイング」とは? ~L x T bridgeニューフロンティア編vol.6」を開催いたしました。(主催:LINK-J

本イベントは、ウェルビーイングをキーワードに、新たな医療政策の提言を行い新型コロナ感染症の医療に従事する医師、ウェルビーイングテクノロジーを推進するシリコンバレーの投資家、ウェルビーイングを軸に取り組む企業というそれぞれの立場から、日本の現状や海外との比較、課題や改善策についてやビジネスへのヒントも含めてディスカッションを行いました。

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ウェビナーアーカイブ視聴申込はこちらから (申込期限2022年10月17日(月)まで)

【登壇者】
渋谷 健司 氏
(相馬市新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター長、元キングズ・カレッジ・ロンドン教授)
奥本 直子 氏
(アンバー・ブリッジ・パートナーズ CEO、ニレミア・コレクティブ ジェネラル・パートナー)
青木 幹夫 氏
(サントリーホールディングス株式会社 未来事業開発部 部長)
LINK-J常務理事 曽山 明彦
(厚生労働省医療系ベンチャー振興推進会議構成員、東北大学客員特任教授)

日本の医療の社会システム化は新型コロナによって加速するか?

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はじめに相馬市新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター長、元キングズ・カレッジ・ロンドン教授の渋谷 健司先生より「日本の医療の社会システム化は新型コロナによって加速するか?」と題してご講演いただきました。
ウェルビーイングとは、WHOが提示したように「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」で、特別なことではなく「健康」と同義です。
ただ、コロナ禍の日本の現状はうつ病や神経病が20-30代で増え、ウェルビーイングの崩壊といっても過言ではない状態です。またコロナ以前でも2000年以降平均寿命も鈍化し、健康寿命という観点では県別格差は広がっています。渋谷先生はこの状況を医療の質等が原因ではなく、そもそも保険医療という枠組みで健康寿命を延ばすことに限界があるからと分析しています。つまり、すまいや環境、仕事といった社会的環境や活動の中で健康を志向していく「健康の社会的決定(Social determinants of health)」が大切で、医療を社会システムとして転換していくことがこれからの日本に必要だと説明されました。渋谷先生は、既に2015年の「新しいビジョン 保険医療2035」や厚労省と経産省が共に取り組んだ2040年を見据えた「未来ビジョンワーキンググループ」での議論によって考えをまとめられています。世界的な流れとして、民間も含めた形でウェルビーイングをケアしていくよう変化しつつある中、ウェルビーイングへの意識の高まりや既存機関での健康管理の限界を感じるコロナ禍の今こそ、日本は医療を社会システム化していくチャンスではないかと問題提起し、講演を終えられました。

ウェルビーイングテクノロジーと米国の状況

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次にアンバー・ブリッジ・パートナーズ CEOであり、ニレミア・コレクティブ ジェネラル・パートナーの奥本直子様よりウェルビーイングテクノロジーと米国の状況についてご講演頂きました。
奥本様は、25年以上に渡るシリコンバレーでの日本とアメリカ、日本とアジアを繋ぐクロスボーダー事業の経験を活かし、「WellbeingTechスタートアップを通して、すべての人が健康的、精神的、社会的に満たされた状態で自己の状態を最大限に発揮できる社会の実現を目指す」ファンド、ニレミア・コレクティブ ジェネラル・パートナーを経営しています。
「ウェルビーイングテクノロジー」はなぜ今世界的に話題となっているのか、奥本様は4つの要素があると説明します。1点目は、コロナ禍による生活様式の変化や企業を人格化しウェルビーイングの優れた企業に投機していくESG投資の観点が、企業のウェルビーイングの需要を急増させていることです。2点目は、パーソナルデータとイノベーションが発達し、新たなテック・カテゴリーが誕生するというテクノロジーによるディスラプションが起きている点。3点目に、米国においてZ世代・ミレニアム世代のウェルビーイング志向の高まりで起業が増え、アメリカだけで400兆円規模の市場が拡大している状況があることです。4点目はこのような潮流を受け、投資先としてのウェルビーイングテックのスタートアップの投資には高リターンが期待できる点です。
「デジタルテクノロジー+科学的に立証されたアプローチ+個人データによって行動変容を促すプロダクト&サービス」であるウェルビーイングテクノロジーの分野は「健康&ウェルネス」といった基本から「新しい働き方」「人間中心の街環境」まで多岐に渡ります。米国における400兆円の内訳は「メンタル&エモーショナル」に関する市場が160兆円、「職場、学校など社会における対人関係のウェルネス」130兆円、「自己実現とパフォーマンスの向上」90兆円と言われていますが、その規模は広がりを見せており、奥本様は具体例を交えながら各市場の特徴を説明されました。

サントリーホールディングス株式会社の取り組み

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最後のご講演として、サントリーホールディングス株式会社 未来事業開発部 部長の青木様よりウェルビーイングの観点から見た企業の取り組みについてお話頂きました。未来事業開発部は新たな事業領域を創造するための部署であり、社内外の知見・ビジネスモデルを取り入れながら出資や協業を通じて、アイディアを短期間で事業化することを目標にしています。その中で1つの軸となるのがウェルビーイングの観点です。時代に応じた生活・飲食文化を創造し、文化としての潤い、豊かさを提供してきたサントリーは、単に物質的に提供してきたわけではなく、社会的な幸せ=ウェルビーイングそのものを提供してきた、と考えます。コロナ禍を経てより一層社会が大きく変化する中で、サントリーが提供できるウェルビーイングも変化していくとし、青木様は個人・コミュニティ・社会という3つの階層とセロトニン系(離れる/解放/自由/オフ)・ドーパミン系(没入する/集中/興奮/オン)という2つの軸に展開される、4つの領域の事業について説明されました。1つ目の領域は、睡眠に着目しデータを募り、アスリートだけでなくビジネスパーソンのパフォーマンスの最大化を目指すことです。2つ目は味覚や嗅覚のデータを観測し、多様な感情や五感の刺激を体験できるプラットフォームを作ることです。3つ目は、人と人のつながりの中で素の自分を解放し、最適な関係を体現する場を企画・運営することで孤独を解消することです。4つ目はよりよい社会に向かっていくという実感が湧く消費活動を提供し、持続可能性に貢献できる食文化を作ることとしています。どの領域もデータサイエンスやテクノロジーのとの融合により実現可能となるものであり、視聴者の方々とも協業していければと話し、講演を終えられました。

質疑応答+パネルディスカッション

続いて、登壇者の三名に加え、モデレーターとしてLINK-Jの曽山も交えて、パネルディスカッションを行ないました。
話題のテーマとして「日本のウェルビーイングの現状」「日本市場のポテンシャルは大きいのか」、「医療、ヘルスケア、ライフサイエンスのプレイヤーがウェルビーイングに関して果たせる役割とは」等、熱い意見交換が行われました。
また、会終了後にはオンラインネットワーキングとして、参加者からのダイレクトな質疑応答の時間も設けました。パネルディスカッションを深掘りしていく質問も多く、参加者と共にウェルビーイングについて考え、多くの気づきのある時間となりました。

イベントにご参加の皆様、ご登壇者の皆様、誠にありがとうございました。

なお、今回のWebinar詳細については、URL にてご登録いただければ録画をご視聴いただけますので、是非ご覧ください。

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