2023年、日本政府が議長国となりG7広島サミットが5月19日から21日にかけて開催されました。そして、各国首脳によるG7広島サミットやG7長崎保健大臣会合など関連閣僚会合の開催に向けて、様々なステークホルダーから提言活動などが行われました。
今回、日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)では、G7広島サミットなどに向けた活動を概観し、9月にニューヨークの国連本部で開催される「パンデミック予防・備え・対応(PPR: Prevention, Preparedness, and Response)」「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC: Universal Health Coverage)」そして「結核ハイレベル会合」の3つの保健課題を取り扱う国連総会ハイレベル会合やインドが議長国として主導しているG20を含む今後のグローバルヘルスに関する国際社会の動きを捉え、12月末までG7の議長国である日本に求められる役割や今後のグローバルヘルス課題について考えることを目的としてHGPIセミナーを開催いたします。
現在、国際社会は紛争や気候変動など、数々の危機に直面しています。国連開発計画(UNDP: United Nations Development Programme)は「人間の安全保障に関する特別報告書~人新世の時代における人間の安全保障への新たな脅威~」において、人類を襲う新世代型の脅威として「健康への脅威」を挙げており、国際社会にとって保健課題の解決が重要な要素として再認識しています。また、グローバルヘルスは、新型コロナウイルス感染症の蔓延を契機に大きな転換点を迎えているといわれています。保健医療政策が国際政治の影響を大きく受けることが明らかになり、これまでの公衆衛生政策における議論だけでなく、安全保障政策、経済政策、財政政策、科学技術振興政策など様々な関連領域と密接な連携が求められます。こうした中、国内外においてワクチンをはじめとした革新的医薬品の開発と平等な供給やUHCの推進、グローバルヘルスアーキテクチャ(GHA: Global Health Architecture)のあり方、PPRなど、幅広い議論が行われています。
そこで、今回のHGPIセミナーではHGPIシニアマネージャーの坂元晴香より、現在のグローバルヘルスが置かれている状況についてお話しさせていただきます。坂元はG7広島サミットにおけるアジェンダ検討のための厚生労働科学特別研究事業である「2023年G7保健関連会合における我が国の効果的なプレゼンスの確立および国際保健政策に資する研究」、東京財団政策研究所における「ポストコロナ時代を見据えたグローバル・ヘルス政策に関する研究」、そして日本国際交流センターによる「2023年G7グローバルヘルス・タスクフォース」などにも関わり、日本のグローバルヘルスにおける議論をリードしています。G7における議論からグローバルヘルスの現在の潮流、そして9月に開催が迫った国連総会ハイレベル会合に向けて今日本に求められている役割について考える機会としたいと思います。
■登壇者プロフィール:
坂元 晴香(日本医療政策機構 シニアマネージャー)
医師、博士(公衆衛生学)。札幌医科大学医学部卒業後、聖路加国際病院で内科医として勤務。その後、厚生労働省国際課及び母子保健課に勤務。国連総会や、世界保健機関(WHO: World Health Organization)総会など各種国際会議へ日本代表として参加した他、2016年にはG7伊勢志摩サミットやG7神戸保健大臣会合の会合運営にも関わる。2014年には、世界銀行より奨学金を受けハーバード大学公衆衛生大学院にて公衆衛生学修士(MPH: Master of Public Health)を、2021年には東京大学にて公衆衛生学博士を取得。現在は、東京女子医科大学国際環境熱帯医学講座准教授、東京大学国際保健政策学教室特任研究員、WHO西太平洋事務局コンサルタント、東京財団政策研究所主任研究員を併任。
>> 詳細はこちら
参加費
無料