日本医療政策機構では、患者やその家族の生活の質(QOL: Quality of Life)を著しく損なう痛みを重要な政策課題と捉え、2022年度より痛み対策について議論を重ねてまいりました。疼痛診療には、病態に応じて様々な診療科による薬物療法、非薬物療法の有効性が報告されており、病態に適した介入を提供するためには、診療科間や多職種間の連携に基づく包括的な疼痛診療体制の整備が求められます。
さまざまな疾患に伴う痛みへの支援のうち、特に「生命を脅かす疾患」に伴う痛みへの診療・ケアとして緩和ケアが推進されています。緩和ケアは2002年の世界保健機関(WHO: World Health Organization)の定義の改定により、それまでの終末期を対象とした緩和ケアから、診断後早期から治療や回復・経過観察段階における苦痛を含むものへと発展してきました。
日本においては、がん領域を中心に緩和ケアが発展してきました。WHOの定義する緩和ケアの概念の広がりに沿って、2007年からの第1期がん対策基本計画では「治療の初期段階からの緩和ケア」、2012年からの第2期以降では「がんと診断された時からの緩和ケア」として、患者・家族の苦痛への対応がより幅広い段階で提供されています。
そこで、今回のHGPIセミナーでは東京大学附属病院 緩和ケア診療科部長の住谷昌彦氏を講師に迎え、国内外での緩和ケアの現状、特に診断直後から経過観察やリハビリテーション、終末期までを包括した緩和ケアの提供に向けた取り組みや、緩和ケアの今後の展望についてご講演をいただきます。
■登壇者プロフィール:
住谷 昌彦 氏(東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部 部長/同大学医学部 准教授)
筑波大学医学専門学群卒。2007年大阪大学大学院医学系研究科修了(医学博士取得)。2008年東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター助教、2012年同病院医療機器管理部 部長/医学部講師、2014年~現職。
日本疼痛学会理事、日本医療機器学会理事、日本学術会議連携会員(2020~)、日本麻酔科学会指導医/専門医、日本緩和医療学会専門医、日本ペインクリニック学会認定医(学術委員会委員)、国際疼痛学会Chapter & Membership Committee委員、国際疼痛学会CRPS分科会Scientific Committee委員を務める。日本麻酔科学会発足以来、初の日本麻酔科学会若手奨励賞(2007年)、日本臨床麻酔学会若手奨励賞(2010年)、日本麻酔科学会山村記念賞(2017年)、日本臨床麻酔学会小坂二度見記念賞(2017年)の4大賞を受賞。
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参加費
無料