2023年11月に開催された大人気セミナー「皮膚ガスセミナー ~研究開発の最前線~」より下記2つの講演を配信いたします。
株式会社ガステック 技術部開発1グループ 中川 脩 様
「リストバンド型アンモニアパッシブインジケータ CID-3Fの紹介と測定事例」
= 要 旨 =
ヒトの皮膚から放散されるガスの一つであるアンモニアの放散量の測定は、GCMS等により行われ、比色による簡易測定法はなかった。我々は対象のガスと反応し、変色の長さから濃度を読み取る検知管の技術を応用し、アンモニアの判定量型パッシブ型インジケータを開発した。アンモニアの皮膚放散フラックスは数十~数千ng/cm²/hになると報告されており、その範囲での放散フラックスで変色させることができた。腕に固定する専用ホルダバンドを使用することで簡易的に測定が可能になり色見本との比較でどの程度アンモニアが皮膚から放散されているのか可能になった。皮膚ガス用アンモニアパッシブインジケータは非侵襲的に測定が可能であり、分析機器を必要とせず誰にでも気軽に使用することができ、疲労やストレスの度合いを知るツールとして健康管理に役立つと考えている。
森永乳業株式会社 研究本部 素材応用研究所 バイオプロセス研究室 境 洋平 様
「腸内環境の改善と皮膚ガスの変化
~ラクチュロースの摂取が皮膚ガスに及ぼす影響~」
= 要 旨 =
森永乳業では、健康をおなかから支えるべく、腸内細菌の研究に精力的に取り組んでいます。ビフィズス菌をはじめとした腸内細菌のエサとなることで健康に寄与する物質はプレバイオティクスと呼ばれ、乳に含まれる乳糖を原料に作られる難消化性オリゴ糖のラクチュロースはプレバイオティクスの一種です。腸内環境は血中成分に影響することが知られており、また血中成分は皮膚ガスに影響することが知られています。今回、東海大学関根研究室と一緒に取り組んだ研究で、4gのラクチュロースを2週間摂取すると、腸内のビフィズス菌を増やすと同時に、皮膚ガス中のアンモニアが減少し、また甘い芳香を有するラクトン類が増加することを観察しました。
申込締切:2024年7月31日(水)
参加費
無料