第25120号
POC検査薬、ゲノム関連検査の国内市場を調査
― 2030年市場予測(2024年比) ―
■POC検査薬の国内市場 1,643億円(100.1%)
CG法やマルチプレックスPCR、化学発光が伸長
■臨床検査薬市場 5,103億円(104.9%)
健康診断や検診の受診率向上、呼吸器感染におけるマルチプレックスPCR検査浸透などで拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、今後の普及が予想されるゲノム関連検査や、健康診断や検診の受診率向上による検査数増加や、呼吸器感染症におけるマルチプレックスPCR法の浸透によって伸びが予想される臨床検査薬の国内市場を調査した。その結果を「2025年版 IVD&臨床検査市場データブック」にまとめた。
この調査では、検査分野ごとに調査を行った臨床検査薬市場を総括するとともに、POC検査43品目の市場を明らかにした。また、ゲノム関連検査として、NGS(次世代シーケンサー)法で実施されるコンパニオン診断、がんゲノムプロファイリング検査、全ゲノム検査/全エクソン検査、NIPTについても整理した。
◆調査結果の概要
■POC検査薬の国内市場

診療にあたり、患者の傍らで医療従事者が行うPOC(Point of care)検査の検査薬(検査キット)を対象とする。
2025年の市場は、新型コロナ単体の検査が大幅に減少し、新型コロナとインフルエンザの同時検査は伸びている。検査数ベースで大半を占める血糖自己測定も糖尿病治療の多様化で需要が少なくなっている。
2026年以降は、CG法の新型コロナとインフルエンザの同時検査、また、マルチプレックスPCR法の呼吸器感染症パネル検査、化学発光法のアレルギー検査薬の伸びにより、市場は拡大推移し、2030年には1,643億円が予測される。
■ゲノム関連検査の国内市場

2025年の市場は、がんゲノムプロファイリング検査、NIPT、NGS法で実施されるコンパニオン診断、全ゲノム/全エクソン検査の4品目すべてが大幅に伸長している。特に、がんゲノムプロファイリング検査は「FoundationOne」シリーズ(中外製薬)が、大きく伸びている。また、NIPTは2022年に年齢制限が撤廃されたことで、受診する妊婦の数が増えていることが要因である。
今後は、NIPTの受診者数が引き続き増えるとみられるほか、がんゲノムプロファイリング検査においては検査結果を基に専門家が患者に最適な治療法を検討するエキスパートパネルを開催できる施設数が増えており検査数が増加していることも市場の拡大を後押しする。また、NGS法で実施されるコンパニオン診断の新パネルの発売や、現状、参入企業が少ない全ゲノム/全エクソン検査市場への新規参入などが予想され、2030年の市場は2024年比55.3%増の399億円が予測される。
■臨床検査薬の国内市場

2024年に新型コロナの検査が単価の高い遺伝子検査法から安価なCG法へ引き続き移行しており、2025年の市場は前年比1.9%減が見込まれる。
2026年以降は、健康診断や検診の受診率向上による生化学検査の増加や、呼吸器感染症におけるマルチプレックスPCR検査の浸透によって、市場拡大が予想される。特に、市場の6割弱を占める免疫血清検査の堅調な伸びが市場をけん引するとみられる。また、病理検査薬において、免疫染色体検査の新たなコンパニオン診断薬の発売や浸透が進み、免疫染色を中心とする伸長が予想される。
◆注目市場
●新型コロナウイルス+インフルエンザウイルス簡易検査

新型コロナウイルス抗原とインフルエンザウイルス抗原を簡易かつ15分以内に、同時測定できるキットを対象とする。
新型コロナとインフルエンザの症状が似ていることから、2024年にこれらを同時測定できるキットの需要が高まった。2025年も前年以上に需要が高まっているため、市場は前年比30.6%増の405億円が見込まれる。
2026年以降は、伸びがやや緩やかになるものの、需要の高まりは続き、市場拡大が予想される。
●コンパニオン診断

がんゲノムプロファイリング検査を除くNGS法の製品を対象とする。
「オンコマインDx Target Test マルチCDxシステム」(ライフテクノロジーズジャパン)や、「BRACAnalysis診断システム」(ミリアド・ジェネティクス)が市場拡大をけん引している。2024年には「オンコマインDx Target Test マルチCDxシステム」においてMET遺伝子エクソン14スキッピング変異適応の追加や「遺伝子解析プログラムMINtS Analyzer」(栄研化学)の提供開始など製品ラインアップの拡充が進んでおり、2025年の市場は、前年比11.9%増が見込まれる。
今後は、大腸がんや乳がんなど新たながん検査に対応が進むことや新製品の発売で市場拡大が予想される。2025年7月には、乳がんなどで使用可能なコンパニオン診断システムである「オンコマインDx Express Test マルチCDxシステム」の医療機器製造販売承認申請が行われており、発売が期待されることなどから、2030年の市場は2024年比71.4%増が予測される。
◆調査対象
臨床検査・体外診断用医薬品
・免疫血清検査(試薬・装置)
・生化学検査(試薬・装置)
・血液検査(試薬・装置)
・遺伝子検査(試薬・装置)
・病理検査(試薬・装置)
・細菌検査(試薬・装置)
POC検査
・新型コロナウイルス簡易検査
・新型コロナウイルス+インフルエンザウイルス簡易検査
・新型コロナウイルス+RSV簡易検査
・新型コロナウイルス+インフルエンザウイルス+RSV簡易検査
・インフルエンザウイルス簡易検査
・インフルエンザウイルス+RSV簡易検査
・RSV簡易検査
・RSV+アデノウイルス簡易検査
・RSV+ヒトメタニューモウイルス簡易検査
・ヒトメタニューモウイルス簡易検査
・A群β連鎖球菌簡易検査
・アデノウイルス簡易検査
・ロタウイルス+アデノウイルス簡易検査
・ロタウイルス簡易検査
・マイコプラズマ菌簡易検査
・百日咳菌簡易検査
・肺炎球菌簡易検査
・レジオネラ菌簡易検査
・肺炎球菌+レジオネラ菌簡易検査
・肺炎クラミドフィラ菌簡易検査
・STI関連簡易検査(梅毒・淋菌・クラミジア)
・ノロウイルス簡易検査
・単純ヘルペスウイルス簡易検査
・水痘・帯状疱疹ウイルス簡易検査
・白癬菌簡易検査
・HBs簡易検査
・HCV簡易検査
・ヘリコバクターピロリ菌簡易検査
・急性膵炎簡易検査
・HCG簡易検査
・LH簡易検査
・敗血症簡易検査
・アレルギー簡易検査
・OTC検査薬(尿・妊娠・排卵予知・新型コロナウイルス)
・尿検査(試薬・装置)
・尿中アルブミン簡易検査
・便潜血検査(試薬・装置)
・糖尿病簡易検査(試薬・装置)
・血糖自己測定(試薬・装置)
・多項目簡易検査(試薬・装置)
・デンシトメトリー装置
・心筋マーカー簡易検査(試薬・装置)
・CRP測定簡易検査(試薬・装置)
ゲノム関連検査
・コンパニオン診断(がんゲノムプロファイリング検査を除くNGS製品)
・がんゲノムプロファイリング検査
・全ゲノム検査/全エクソン検査
・NIPT(新型出生前診断)
お問い合わせ先
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