金沢大学は、株式会社CrowdChem(以下、CrowdChem)と共同で、連合学習技術を活用した産学データ連携統合により、リグノセルロース系バイオマス素材開発の加速化および社会実装プロセスの最適化に向けた共同研究を開始しました。
【背景と課題】
植物由来のリグノセルロースを原料とするバイオマス素材は、サステナブル・GX素材として期待されています。 一方で、素材の諸物性には原料の多様性、化学修飾の多様性、複雑な加工プロセス等が相互に影響するため、産業界の求める物性を満たす素材の分子設計やプロセス設計には、多くの時間とコストを要することが課題となっています。 また、金沢大学などのアカデミアが有する高度な研究知見の多くは、十分に構造化されておらず、産学双方の生データを共有せずにAI活用を進めることも容易ではありません。この「安全に知見をつなぐ仕組み」の不足が、研究成果の社会実装を妨げる要因となっています。
【共同研究の主な取り組み】
本共同研究では、金沢大学が長年蓄積してきた植物バイオマス素材の研究開発知見と、CrowdChemのAIプラットフォームMI/PI研究開発基盤「LabDX」および、「連合学習とGNNを組み合わせた予測モデル(以下、本予測モデル)」の二つの技術をそれぞれ活用し、以下三つの課題に取り組みます。
- 実験データの構造化: 金沢大学がこれまでに蓄積してきた実験変数や物性データなどを、LabDX上でAIが活用できる形式に整理し、材料開発に活用可能なデータ基盤を構築します。
- AIによる関係解析・逆解析: 原料や反応・加工プロセスが最終物性に与える複雑な関係を解析し、予測精度の向上可能性を検証します。 さらに、目標とする材料特性から、最適な原料や配合、反応条件・加工条件を導き出す逆解析型の材料開発にも取り組みます。
- 連合学習を活用した産学データ連携モデルの実証:「LabDX」を用いたデータの構造化とは別アプローチとして、生データを共有することなく、金沢大学の実験知見と産業界の材料開発ニーズを安全に照合する技術・仕組みの初期検証、実証実験(PoC)を実施します。 本検証では、CrowdChemが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の助成事業(※)で開発中の「連合学習とGNNを組み合わせた予測モデル」(以下、本予測モデル)を用います。 ※詳細は文末参照
【今後の展望】
金沢大学は、本共同研究を通じて構築する産学データ連携モデルを起点として、新素材・新プロセス開発にとどまらず、用途探索や社会実装プロセスの高度化へと展開していきます。 さらに、連合学習を活用した安全なデータ連携により、大学や研究機関、素材・化学メーカーが知見を安全に共有・活用できる、新たな研究開発エコシステムの構築を目指します。
※本検証で使用する本予測モデルは、NEDOの「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業」の補助事業を通じて得られた成果を活用しています。 なお、金沢大学との共同研究は当該補助事業の対象ではなく、CrowdChemが自社事業として実施しています。

お問い合わせ先
金沢大学 理工研究域 生命理工学系 教授 高橋憲司
メールアドレス:ktkenji@staff.kanazawa-u.ac.jp
株式会社CrowdChem 広報担当
電話番号: 050-7111-1923
メールアドレス: info@crowdchem.net


