講演要旨:
科学研究は、研究者の関心、研究資金、技術的制約、経済合理性などによって、その対象が限定されてきた。その結果、科学的・社会的に重要でありながら、十分な研究資源が投入されてこなかった問題が数多く存在する。希少疾患、個人差の大きな病態、地域固有の健康課題などは、その典型例である。これらは、いわば「科学のロングテール」を形成している。
人工知能(AI)は、この構造を根本から変える可能性を持つ。AI は人間の研究活動を支援する道具から、自律的に仮説を生成し、実験を設計・実行し、科学的発見を生み出す存在へと進化しつつある。ノーベル賞級の科学的発見を自律的に行う AI の実現を目指す「Nobel Turing Challenge」 は、その方向性を示す取り組みである。
AI Scientist や研究室の自動化が進展すれば、科学的探索のコストは大幅に低下し、研究開発の経済性そのものが変化する可能性がある。従来は研究資源や市場規模の制約によって取り組むことが難しかった膨大な問題群が、新たな科学的探索の対象となり得る。これは単なる研究の効率化ではなく、研究課題の選択や資源配分、さらには科学的発見から社会実装に至るイノベーションの構造そのものを変える可能性を意味する。
本講演では、AI による自律的科学発見の進展を踏まえ、科学研究の経済性がどのように変化し得るのか、そして、その変化が従来は見過ごされてきた多様な課題への取り組みを可能にする「ロングテール・イノベーション」をいかに生み出すのかを展望する。医療・健康・ウェルビーイングを含む幅広い領域で、科学とイノベーションの新たな可能性を考察する。
CRIK信濃町は「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」および「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)JPJS00420230005」の助成を受けています。
日時: 2026年11月10日(火) 18:00-19:00
東京都新宿区信濃町35
慶應義塾大学信濃町キャンパス2号館9階
CRIK信濃町ラウンジ+Zoom(ハイブリッド開催)
(外部サイトが開きます)
申込締切
現地参加者は先着順
プログラム
プログラム・オンライン参加方法等:追ってご連絡差し上げます
登壇者
北野宏明 Ph.D(Hiroaki KITANO)
沖縄科学技術大学院大学・教授/
特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構・会長/
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所・代表取締役社長
参加費
無料
定員
80名 ※定員に達した場合は、オンライン参加にてご案内させていただきます
主催
JST共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT):誰もが参加し繋がることでウェルビーイングを実現する都市型ヘルスコモンズ共創拠点


