日本医療政策機構は、2022年8月24日に公開シンポジウム「特発性正常圧水頭症(iNPH)対策の課題と展望~治療で改善できる認知症へのフォーカス~」を会場(TKP東京駅大手町カンファレンスセンター)とオンラインによるハイブリッド形式にて開催いたします。
日本における認知症の人の数はまもなく700万人を超えるとされる現代において、高齢期においてもよりよい生活を送るためには、認知症に伴う症状の緩和や原因疾患の治療が望まれています。認知症の原因疾患の多くは治療が難しいとされる中で、特発性正常圧水頭症(iNPH: idiopathic normal pressure hydrocephalus)は「治療で改善できる認知症」とされ、その患者数は認知症の人の約5%程度の約37万人に上るとされています。また近年では認知症の主要な原因疾患とされるアルツハイマー病との併発も指摘されており、推計よりもさらに多くのiNPH患者の存在が指摘されているのが現状です。また、iNPHの適切な治療により得られる効果としても、寿命延伸のみならず、医療経済効果や転倒防止等、数多くのメリットが提起されつつあります。「治療可能な認知症に対する医療のあり方に関する調査研究事業」も厚生労働省老人保健健康増進等事業で実施される等、近年、政策的な重要性も徐々に高まっています。
一方で、iNPHの治療によって認知症の症状を改善させ、1人でも多くの当事者が質の高い生活を送るためには、多くの課題も散見されます。第一に、的確な早期診断が重要ですが、他の認知症諸領域に比べて、iNPHに対する市民社会および医療・介護提供者の認知度は決して高いとは言えないのが現状です。第二に、iNPHの場合、症状が多岐に渡るため、様々な診療科での診断を経た後、シャント術を行う脳神経外科医との連携等、専門領域をまたがる協働が必要となります。さらには、このような治療提供体制の拡充に向けては、地域格差も散見されるため、今後は全国均てん化も期待されます。
このような多岐にわたる課題を社会全体で解決していくべく、本シンポジウムでは、iNPHに関わる医療者、介護者、アカデミア、行政の他、患者当事者も含めたマルチステークホルダーと共に、現状の課題と必要な施策について議論を深めてまいります。
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時間 | プログラム(敬称略・五十音順) |
17:00-17:05 | 開会・趣旨説明 |
栗田 駿一郎(日本医療政策機構 マネージャー) | |
17:05-17:35 | 基調講演 「iNPHの概況と今後の課題」 |
數井 裕光(高知大学医学部 神経精神科学教室 教授/日本正常圧水頭症学会 理事長) | |
17:35-18:05 | リレートーク「私とiNPH-過去・現在・未来-」 |
石井 一成(近畿大学医学部 放射線医学教室 放射線診断学部門 主任教授) 伊関 千書(山形大学医学部 内科学第三講座 講師) 後藤 美千代(iNPH当事者) 中島 円(順天堂大学医学部 脳神経外科学講座 准教授) 山田 茂樹(滋賀医科大学 脳神経外科学講座 助教) |
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18:10-18:55 | パネルディスカッション「iNPH対策の進展に向けた地域における多職種連携体制の構築」 |
パネリスト: | |
大河内 章三(けあプラン鳴子 主任介護支援専門員/ケアクリエイター) 數井 裕光(高知大学医学部 神経精神科学教室 教授/日本正常圧水頭症学会 理事長) 長田 乾(医療法人社団緑成会 横浜総合病院 臨床研究センター センター長/横浜市認知症疾患医療センター センター長) 前田 達浩(医療法人社団山本・前田記念会 前田病院 副院長/東京都地域連携型認知症疾患医療センター長・正常圧水頭症センター長) |
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モデレーター: | |
河田 友紀子(日本医療政策機構 シニアアソシエイト) | |
指定発言: | |
中西 亜紀(厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課 課長補佐(医系技官)) | |
18:55-19:00 | 閉会の辞 |
熊野 正士(参議院議員/共生社会の実現に向けた認知症施策推進議員連盟 幹事) |
開催日:
2022年08月24日 (水)
時間:
17:00-19:00
会場:
- TKP東京駅大手町カンファレンスセンター(東京都千代田区大手町1-8-1 KDDI大手町ビル)
- オンライン(Zoomウェビナー)
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