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インタビュー・コラム

世界のライフサイエンス・エコシステムを歩く――欧州のライフサイエンス・エコシステムの魅力とは?(前編)

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Ikuo Hayashi

アメリカ、特にボストンのライフサイエンス・エコシステムが優れているのは衆目の一致するところ。では、欧州はどうだろう?日本のライフサイエンス・エコシステムはどこを参考にするべきだろう?

こんな質問を事前に設定して、今回欧州へと行ってきました。最初の目的地はドイツのミュンヘンで開催されたBio Europe 2023です。

BIO Europeは、欧州で最大規模のライフサイエンス分野のビジネス商談会です。今年(2023年)ドイツのミュンヘンで11月6~8日に開催されたBIO Europe2023に、LINK-Jとして初めて参加しました。

BIO Europe 2023では、欧州での新しい提携を模索するため、いくつかのバイオクラスター団体や創薬ベンチャー企業とOne-on-One面談でディスカッションを行いました。

BIO Europeには毎回多くのライフサイエンス関連企業がブースを出展しますが、今年の出展傾向で印象的だったのは、CRO(Contract Research Organization)とCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)の出展ブースの存在感です。開催地である欧州の主要製薬企業(Bayer, BI, Novartis, 独Merckなど)に加えて、多くのCRO・CDMOがブース出展しており、One-on-One面談でもCRO・CDMOと製薬企業・バイオテク企業のマッチングが多く行われているようでした。近年の創薬研究開発におけるアウトソースのトレンドや創薬のサプライチェーンの変化の現れなのかもしれません。

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今回のBIO Europeの参加者内訳をみると、開催国のドイツからの参加が最も多く、次いでイギリス、韓国の順でした。特に韓国からはCDMOの出展もあり、国を挙げてライフサイエンス分野に注力している様子が伺えました。ドイツの隣国フランスからの参加者は5番目に多かったのですが、地理的な近さに反して少ないと感じました。日本からはJETROの海外支援プログラムに参加したスタートアップ企業やアクセリード社の出展がありました。LINK-Jでは来年(2024年)ストックホルムで開催予定のBIO Europe 2024に出展する計画を進めています。

LINK-Jは、BIO Europe初日の夜に在ミュンヘン日本国領事館にてJapan Nightを開催しました。参加者は約80名で、在ミュンヘン日本国総領事館から別所総領事、JETROミュンヘン事務所から鷲澤所長にもご参加を頂きました。参加者の1/3は製薬会社から、1/3はスタートアップ、残りの1/3が官公庁やVCの方で、多様なバックグラウンドを持つ皆さんで立食をしながらのネットワーキングを行いました。「初日からBIO Europeへの参加者同士の交流を深める場があったことで、2日目、3日目の会場で挨拶しやすかった」など、開催者としてうれしいフィードバックも頂きました。

Japan Nightは世界各地で開催するシリーズとして今後も継続していきます。日本から参加している方同士のネットワーキングに加え、現地コミュニティとのつながりの強化、さらに日本企業の海外への情報発信の場として、今後も活用していただきたいと思っています。

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次回は、ドイツから英国に移動して、英国のエコシステムの話をしたいと思います。

欧州でビジネスをするのライフサイエンス・エコシステムの魅力とは?(後編)へ続く

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