人と情報の交流掲示板

投稿日:2026.05.12 投稿者:株式会社マクロミルケアネット

【論文発表】日本の労働者約19万人のデータから解明:40種類の症状有訴とQOL・労働生産性との2つの異なる関連

■ 概要 
日本の労働者において、疲労感や不眠といった日常的な症状によるQOL(生活の質)の低下や生産性損失(プレゼンティーズム等)が課題となっています。しかし、多様な症状とこれらとの関連性を全国規模で包括的に解析した研究は限られていました。 
この度、本研究グループは、大規模な個人報告アウトカムデータベース(PRO-DB)の第1回調査(2024年6月)データを活用し、日本の労働者192,572人を対象に、40種類の自己申告症状とQOLおよび労働生産性損失の関連性を定量的に評価した論文を『日本衛生学雑誌』にて発表いたしました。

■ 主な研究結果のポイント
1) 労働者が抱える主な症状の実態
最も多く報告された症状は「疲れやすい・倦怠感」(37.0%)であり、次いで「肩こり・首こり・背中の痛み」(33.6%)、「腰痛・腹痛」(27.8%)など、日常的な不調が広くみられることが確認されました。
2)労働者が抱える「2つの異なる関連」の解明
各症状とQOL・労働生産性損失との関連を分析した結果、関連の大きさによって以下の2つの課題が存在することが明らかになりました。
-「個人」のQOLや生産性損失との関連が大きい症状
 「意識障害」や「幻覚・妄想・幻聴」などは、有訴者は少数であるものの、その症状を持つ個人では、QOL低下や生産性損失との強い関連がみられました。
-「社会全体(労働者集団)」での損失との関連が大きい症状
「疲れやすい・倦怠感」や「抑うつ気分・不安」などは、個人単位での障害は比較的小さいものの非常に多くの人が経験しており、労働者全体でみると、QOL低下や生産性損失との関連が大きいことが示唆されました。

■ 今後の展望と社会への提言
本研究は、労働者の健康と生産性を維持・向上させるためには、重篤な症状を有する「個人」への専門的・個別的な支援と、社会全体の損失に大きく寄与している「疲労」などに対する広範な予防的アプローチ(定期的な健康診断や働き方の見直し等)の、両面からの対策が必要であることを示唆しています。
本データベース(PRO-DB)は、今後も経年的なデータ収集を通じた縦断的な評価や、198種類に及ぶ疾患項目を活用した詳細な要因分析などを進めていく予定です。特定の疾患とQOL・生産性との関連の評価や、患者報告アウトカム(PRO)データの活用に関心をお持ちの企業・研究者の皆様は、ぜひ本論文の詳細をご覧ください。

【論文情報】
タイトル: アンケートに基づく大規模データベースを用いた,日本の労働者の症状有訴と生活の質(QOL)及び労働生産性における関連性の評価
著者: 岩崎勝彦, 正路章子, 大坂耕一郎, 宮下ちひろ, 徳田茂二, 得津慶, 小久保欣哉 
掲載誌: 日衛誌(Jpn. J. Hyg.) 2026; 81: 25011 
DOI: https://doi.org/10.1265/jjh.25011 

お問い合わせ先

株式会社マクロミルケアネット 担当:大坂
https://www.macromillcarenet.jp/form.php
 

pagetop