シリーズ第3回 「世界」を踏まえた日本の未来と取り組み
プレコンセプションケア(preconception care/preconception health and care)の推進は、2006年に国家政策として米国で初めて勧告され、2012年には世界保健機関(WHO)が政策提言を行っている。プレコンセプションケアは、「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義され、対象者の健康状態を改善し、母子健康アウトカムに影響しうる行動や個人的・環境要因を減らすことで、短期的・長期的母子健康転帰を改善することが目的である。不妊症やハイリスク妊娠である合併症妊娠の増加等、現代社会においてプレコンセプションケアの欠如が引き起こす問題は、世界中で問題となっている。日本ではプレコンセプションケアの欠如だけではなく、国際セクシュアリティ教育の非標準化、ヘルスリテラシーの低さ、ジェンダー格差等も加わり、特有の問題を抱えている。
以前よりプレコンセプションケアを普及させるためには、医師・助産師などの医療者だけではなく、教育・地域保健・職域の改革、そしてソーシャルマーケティングなど各分野を巻き込んだ改革が必要であることが示されている。しかし国・地域の特性等から、必ずしもその黄金律が確立されているとは言い難い状況である。そこで本セミナーで、世界のプレコンセプションケアの好事例を知り、活用方法を検討することで、最終的には本邦のプレコンセプションケア力の底上げを目的として行う。
第3回はプレコンセプションケア推進のために、日本ではどのような取り組みが今後必要なのか、「医療」「保健・行政」「産業・職域」それぞれの分野のステークホルダーの皆様とともに考察を行い、プレコンセプションケア推進とともに、より良い未来につながる第一歩となることを目指す。
◆イベントの雰囲気を知りたい方は、過去のイベントやレポートをご覧ください。
参加方法
本イベントにはZoomウェビナーを使用します。ウェビナーにて参加の方は、セッション中の質疑応答やアンケートにご参加いただけます。事前にpeatixにて参加登録をお済ませください。
・参加申込後の視聴ページに視聴用リンク・パスワードを掲載しておりますので、ご確認いただき、視聴時間になりましたら「チケット表示」→「イベントに参加」ボタンよりお入りください。(専用URLとなりますので、他者との共有はお控えください)
ウェビナーの操作方法等はご自身で事前にご確認をお願いいたします。
プログラム
総合司会:村上 幸司(国立成育医療研究センター企画戦略局 広報企画室) | |
17:00~17:10 | Opening remarks「シリーズ第1回・第2回総括」 荒田 尚子(国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター母性内科 診療部長) |
17:10~17:20 | 「当事者の声 - ライフプランとキャリアプランを両立するために企業・行政に求めること -」 エシカル就活 -ETHICAL SHUKATSU- 勝見 仁泰(株式会社 Allesgood 代表取締役CEO) |
17:20~17:30 | 「日本で一番母子にやさしい、市民が主役のまちづくり」北海道岩見沢市での取り組み 吉野 正則(北海道大学 COI『食と健康の達人』拠点 プロジェクトリーダー) |
17:30~17:40 | 「会社でプレコンセプションケアを学ぶ」企業での取り組み 小林 正忠(楽天グループ株式会社 常務執行役員 CWO (Chief Well-Being Officer) ) |
17:40~17:50 | 「プレコンセプションケアを支える枠組みについて」中央行政での取り組み 荒田 尚子(国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター母性内科 診療部長) |
17:50~18:30 | ディスカッション ファシリテーター:村上 幸司/岡崎 有香 パネリスト: ・勝見 仁泰(株式会社 Allesgood 代表取締役CEO) ・吉野 正則(北海道大学 COI『食と健康の達人』拠点 プロジェクトリーダー) ・小林 正忠(楽天グループ株式会社 常務執行役員、CWO) ・清元 秀泰 (姫路市長) ・陳 莉玲(NPO法人妊婦のくらし 理事長) ・荒田 尚子(国立成育医療研究センター) 総括 Closing remarks |
略歴
荒田 尚子 国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター母性内科 診療部長 瀬戸内海でゆったり育ち、大学卒業後は東京で生活。妄想にひたりながら同じ思いの仲間と未来を語るのが大好きです。2003年から成育医療研究センターで妊娠の前後の女性の健康に携わっています。2015年にプレコンセプションケアの大切さから、成育医療研究センター内にプレコンセプションケアセンターをみなで立ち上げました。 やっと、成育基本法のもと、この国でも若いひとたちに政策の目が届き始めたと思います。世の中に、若者の健康、ウェルビーイングをもっとあたりまえに考えられる世の中になって、将来の子どもたちの健康もよりよくなるように、プレコンセプションケアを広めていけたらと思います。 |
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勝見 仁泰 株式会社Allesgood 代表取締役CEO 1998年東京生まれ。高校時代に訪れた東南アジアで先進国と途上国の経済格差に関心を持ち、社会課題解決を志す。フィリピンスラム街にて教育事業立ち上げ、現地法人へ事業譲渡。文科省主催「トビタテ留学Japan日本代表プロジェクト」に採択され、「持続可能性×ビジネス」をテーマにドイツ、コスタリカ、米国にビジネス留学する。途上国の特産品を活用した有機化粧品事業を現地ドイツ人と共同創業。帰国後に就活をするも、既存の就活に対する疑問から「エシカル就活」を立ち上げ、Allesgoodを創業。高千穂大学経営学部4年在学中 |
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吉野 正則 株式会社日立製作所 シニアプロジェクトマネージャー、北海道大学 客員教授 1980年 日立製作所入社、アメリカ駐在を経て、Audio/Visual の商品企画、マーケティング、事業企画を担当。インフラ、ヘルスケア等の新事業創出事業を推進。2015年から、文部科学省/JSTの北海道大学COI『食と健康の達人』拠点長、2016年 日立北大ラボ 初代ラボ長、2021年からCOI-NEXT(共創の場)で「こころとカラダのライフデザイン」プロジェクトリーダー。若者が”他者(ひと)とともに、自分らしくいきる社会”の実現を、学生、若者とともに創っていくことを目標としている。ヘルスリテラシーとジェンダー意識の低い日本で、プレコンセプションケアを自分事にできる研究開発、社会実装、人材育成を産学官地域連携でめざす。 |
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小林 正忠 楽天グループ株式会社 常務執行役員Chief Well-being Officer 1994年慶應義塾大学卒業(SFC1期生)。1997年の楽天創業から参画し、ショッピングモール事業責任者として営業本部、大阪支社、マーケティング部門、国際事業等の立ち上げを行う。その過程で、6人の日本人組織が、70カ国・地域を超える多国籍の人材を有する、100人、1,000人、10,000人、20,000人の組織に変化。現在までに世界30カ国・地域へと拠点を拡大して事業展開する中で、国内外のマネジメントの手法の違いを体験。2012年4月米国へ赴任し米州本社社長を務め、2014年9月シンガポールを拠点とするアジア本社の社長を歴任。グローバルマネジメントを体験した後、2017年末にアジア代表を離れ、現在は人々を幸せにする役割を担う「CWO:チーフウェルビーイングオフィサー」。2001年慶應義塾大学に「正忠奨学金」を創設するなど若者の育成に力を入れている。2011年世界経済フォーラムYoung Global Leadersにも選出。5児(息子2人娘3人)の父。 |
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清元 秀泰 姫路市長 国立香川医科大学卒業。医師免許・医学博士取得後、米テキサス大学学術研究員として留学。帰国後、香川大学医学部附属病院講師を経て、2010年10月東北大学医学部に異動、2012年2月より東北大学教授。被災地復興に専心し、文部科学大臣賞(科学技術賞理解増進部門)を受賞。2015年4月日本医療研究開発機構調査役・プログラムオフィサ―として出向。2018年5月東北大学を退職。2019年4月姫路市長に就任。 |
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陳 莉玲 NPO法人妊婦のくらし 理事長 財閥系大手シンクタンクにおいて、ヘルスケア政策の調査研究事業や医療機関のコンサルティング・プロジェクトを多数手がける。 調査・コンサルティングの仕事や、夫の単身海外留学をシングルマザーとして支えた経験から、妊娠・出産といったライフイベントが、未だ「当たり前」「しょうがない」と”あきらめ”の多い旧態依然とした世界であると痛感。 その解決に向けた思いから、独立後はC-suite合同会社を起業してデジタル活用を通じた健康経営の促進に加え、NPO法人妊婦のくらしを弁護士、助産師、MBAホルダーらと立ち上げ、NPO共同創業者の立場から女性起点の健康、キャリアの両立支援を提案。 慶應義塾大学大学院医学系研究科修了。薬剤師。北海道出身で2児の母。 |
参加費
無料
主催
主催:国立成育医療研究センター
共催:国立研究開発法人日本科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラム 『食と健康の達人』拠点 (北大COI)、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)
協力:NPO法人妊婦のくらし、 SUNDRED株式会社、プラチナ構想ネットワーク
後援:公益社団法人 日本医師会、公益社団法人 日本栄養士会、一般社団法人 日本家族計画協会、公益財団法人 日本学校保健会、公益社団法人 日本看護協会、一般社団法人 日本健康教育学会、特定非営利活動法人 健康経営研究会、公益社団法人 日本産婦人科医会、公益社団法人 日本産科婦人科学会、特定非営利活動法人 日本子宮内膜症啓発会議(JECIE)、公益社団法人 日本小児科医会、公益社団法人 日本小児科学会、公益社団法人 日本助産師会、一般社団法人 日本助産学会、一般社団法人 日本女性医学学会、一般社団法人 日本女性栄養・代謝学会、一般社団法人 日本生殖医学会、公益社団法人 全国大学保健管理協会、一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会、公益社団法人 日本母性衛生学会、日本母性内科学会
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