COVID-19 の流行当初には、日本発の国産治療薬として期待が寄せられたアビガンの承認のあり方をめぐり様々な論争が交わされたほか、その後のワクチンの国内供給にあたっても既に国外で承認されているワクチンについてあらためて国内臨床試験(第Ⅲ相試験)まで行う必要があるのかがひとつの争点となりました。また、最新の国産初の治療薬承認をめぐってはエビデンスの取り扱いをめぐり多くの賛否を呼んだことも記憶に新しいところです。こうした早期のワクチンや治療方法の提供という観点において、どのような取り扱いをすることが望ましいのでしょうか。
こうした対応方法は、科学的な基準や妥当性の観点のみで決定することは困難です。患者や市民を含む多様なステークホルダーの関与のもとに検討される必要があります。新たな製品・新たな治療法が登場するプロセスにおいては、研究開発を推進する側から安全性・有効性に関するエビデンスが提示されることが重要であることは言うまでもありませんが、同時にその効用とともにリスクを引き受けることになる患者や市民が研究開発段階や意思決定のプロセスに参画することで、その声が届けられることが重要です。PPI(Patient and Public Involvement)に代表されるこうした患者・市民参画の取り組みは、不確実で不透明な状況であるからこそより一層重要な意義を帯びつつあるといえます。第2回の公開講座では、スピーカーによる基調講演を踏まえつつ、パネルディスカッションを通じてこの問題について掘り下げていきます。
プログラム
時間 | 内容 |
17:30 - 17:35 | Opening Remarks 昌子 久仁子 神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科 副研究科長 教授 |
17:35 - 18:05 | Keynote1 菱山 豊 徳島大学 副学長、順天堂大学 客員教授、国立循環器病研究センター 理事長特命補佐 「科学技術政策による研究開発の推進と ELSI(仮)」 |
18:05 - 18:35 | Keynote2 加藤 和人 大阪大学大学院医学系研究科医の倫理と公共政策学 教授 「患者参画型の政策形成(仮)」 |
18:35 - 19:05 | Panel discussion テーマ:「レギュラトリーサイエンスとエンゲージメント」 モデレータ:黒河 昭雄 イノベ―ション政策研究センター 研究員 パネリスト: 菱山 豊 加藤 和人 Q&A |
19:05 - 19:10 | Closing Remarks 昌子 久仁子 |
対象者
ヘルスイノベーションに関心がある方、製薬・医療機器・再生医療関連企業、ヘルスケア企業、ライフサイエンスベンチャー、行政機関、大学・研究機関における研究者等
参加費
無料
主催
主催:神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科(SHI)
共催:神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター(CIP)
協力:LINK-J
お問い合わせ先
公立大学法人 神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーション研究科(SHI) 〒210-0821 神奈川県川崎市川崎区殿町3-25-10 Research Gate Building TONOMACHI 2-A棟 2・3階 TEL: 044-589-8100/FAX: 044-589-8188 Email: health-innovation@kuhs.ac.jp