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イベントレポート

第21回 LINK-Jネットワーキング・ナイト「死の谷の果てに見た希望 アキュメン社のメンバーが語る失敗事例」を開催(11/1)

11月1日(木)、日本橋ライフサイエンスハブにて第21回目となるLINK-Jネットワーキング・ナイト~死の谷の果てに見た希望 アキュメン社のメンバーが語る失敗事例~を開催いたしました。 本イベントは、2005年に九州大学発のベンチャー企業として設立されたアキュメン社の創業に関わった3名の方にご登壇いただき、アキュメン社在籍時代の"失敗事例"を語っていただきました。

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【講演】 鍵本 忠尚(株式会社ヘリオス 代表執行役社長CEO)
     石倉 大樹(株式会社 日本医療機器開発機構(JOMDD)取締役CBO)
     勝田 和一郎(シンクサイト株式会社 代表取締役)【Skype登壇】

死の谷の果てに見た希望

まず鍵本氏より、ヘリオス社の事業紹介と、アキュメン社でのご経験についてお話し頂きました。鍵本氏は、九州大学病院にて眼科医として勤務した後、2005年から経営の道を歩み始めました。アキュメン社を設立してから半年後にはアメリカに子会社を作り、BBG250を利用した眼科手術補助剤について治験を開始、現在では欧米市場ではデファクトスタンダード製品となる地位を獲得しました。

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鍵本氏からの失敗事例として、ビジネス経験が無く、経営方針について創業者との間で意見の食い違った際に意思決定が滞るという会社のガバナンスの問題に直面したこと、また、資本政策を十分に考えていなかったために、発注先でのミスで品質データの不備が生じた際に、製品導出先が見つかるまで資金難で身動きがとれなくなったことなど、様々なエピソードについてお話頂きました。一方で、製品の臨床試験の結果が良好だったことや、唯一の特許を欧米で勝ち取った経験が大きな強みになったことを語られました。 2012年からは、ヘリオス社の社長に就任され、現在はパイプラインを増やし、積極的に事業に取り組んでおられます。今後も過去の経験を活かして、現在の事業を推進して行きたいと述べられました。

スタートアップ経験から学んだ3つのレッスン

次に登壇された石倉氏は、アキュメン社の創業時に取締役として活躍されました。 四年間に及ぶアキュメン社の経験や、エムスリー社における新規事業の立ち上げなどに関わられた経験から、3つの教訓についてお話いただきました。石倉氏は、「スタートアップの場合は人が集まりにくく、集まったチームで戦略を考えるため、『柔軟性』を持つことが非常に重要。既存のマーケットのプレーヤーの中で先だって動き、大企業が興味を持っていない領域を攻めることが大切である」と述べられました。 また、「スタートアップが大企業と戦うためには『スピード』が重要であり、そのために強いチームが必要である」と解説され、最適なメンバーづくりとして昔話の桃太郎を例に挙げられました。

「失敗から何を学び取ったかがとても重要で、レジリエンスがあれば、どんなに失敗しても回復することができる」と3つ目の要点をまとめられました。


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キャリアとしてのバイオベンチャー:リアルなその後

勝田氏は現在、東京大学及び大阪大学発スタートアップのシンクサイト株式会社の代表取締役として、先端光学や機械学習を融合した新しい細胞分析分離システムの開発をされています。アキュメン社には、大学卒業後に新卒で入社され、社員の立場としてどう見えていたかについてお話頂きました。

「鍵本氏や石倉氏の考え方やその時のネットワーク、実務経験として、多くのことを学ぶ機会があり、2年半という短い時間の中でしたが、現在の事業にも8割方活かされている」と述べられました。また、当時の仲間たちがアキュメンを離れた後も、そのスキルや経験を活かして、活躍の場を広げられていることなどをご紹介いただきました。

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失敗経験を振り返ることの意義

後半は会場からの質問に対して各登壇者からの回答を頂きました。

Q:ベンチャーを経営する上で注意した方がいいポイントなどアドバイスを頂きたい。

鍵本氏:失敗経験も大切ですが、経験を消化することが最も重要です。何が原因だったのか、どのポイントで修正すべきだったかなど、過去を振り返る時間が必要です。
勝田氏:一般的に知られている失敗事例などの知見を確認されるのも良いと思います。初期の段階でエンジェル投資家の方に入って頂き、相談するといった方法もあります。
石倉氏:100%思い描いている通りに進むことはないため、そういう前提でビジョンを描くのがよいと思います。

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Q:スタートアップが大企業と戦うために、先を読む必要があるというお話がありましたが、そのためにどのようなことが必要でしょうか。

石倉氏:ステークホルダーとなる方などに現在興味を持たれていることについてヒアリングし、自分では思い込みを持たないようにしています。
勝田氏:その分野の有名な方にお話しを聞くなど、先端分野への知見を持つ方へのヒアリングが重要だと思います。研究開発では、論文や学会などの情報も有効です。
鍵本氏:再生医療では「本質的かどうか」ということを考えています。本質的に意味がある技術であり、エンドユーザ(医師や患者)に対して価値があるものであれば、ハードルがあっても取り組むべきです。
石倉氏:現在、医療機器系の投資事業をしていますが、現場の先生の意見だけでなく、他の意見も聞くようにしています。プロトタイプがあれば、反応について確認できますし、多くの人に意見を聞くことで傾向が見えてきます。


Q:海外ではなく日本に本社を置き、起業することの意味について。

鍵本氏:米国には市場はありますが、ある意味飽和しているともいえます。商売はギャップがあるところで儲かると思うので、日本で起業する意味はあると思います。リスクに対する資金額は低いですが、日本の技術レベルは高いと思いますし、自分を含め起業家が成長し、人が育ってきたこれからが成長期だと考えています。
勝田氏:私は日本での起業がやりづらいと感じはしませんでした。大学からも手厚いサポートがありましたし、経験者からのアドバイスを受けられたと感じています。米国に市場はありますが、文化の違いや言語の壁などで、バックグラウンド的にも日本の方が事業をやりやすいと感じています。


懇親会では、各登壇者と参加者によるネットワーキングが積極的に行われました。当日は、約70名の方にご参加いただきました。
参加者からは「元メンバーの多くが自らバイオベンチャーの社長として活躍しているのは素晴らしい」、「日本の生命科学技術の事業化に心強さを感じた」、「このような生々しい生きたテーマは実務へのフィードバックが可能で、非常に有益であった」などのご意見を頂き、大変盛況なイベントとなりました。

ご参加いただいた皆様、登壇者の皆様、誠にありがとうございました。次回のLINK-Jのネットワーキングイベントへのご参加もお待ちしております。

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