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イベントレポート

「LINK-J Networking Reception~多臓器連携を含むOrgans-on-Chipのビジネス最前線~」を開催(6/19)

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6月19日(水)、日本橋ライフサイエンスハブにて「LINK-J Networking Reception~多臓器連携を含むOrgans-on-Chipのビジネス最前線~」を開催いたしました。(主催:一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)、共催:Biospire Japan Ltd.)

本イベントでは、BIOSPIRE代表の松永氏およびCN Bio社のDr. Kostrzewskiを囲んで、近年話題となっているOrgans-on-Chipをテーマとして、講演とネットワーキングが行われました。

登壇者
松永 昌之 氏(BIOSPIRE株式会社代表取締役)
Dr. Tomasz Kostrzewski (Director of Biology, CN Bio Innovations Ltd.)

英国から世界展開を

松永氏は、英国ケンブリッジのベンチャーに所属する立場から、大学とベンチャーにおける位置関係、起業家が経営に特化したプロであること、ベンチャー企業が企業ポートフォリオを自在に変化させている点等を説明されました。

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松永 昌之 氏(BIOSPIRE株式会社代表取締役)

ケンブリッジ・オックスフォードの起業家は、実はオックスフォード、ケンブリッジ出身とは限らず、多様性があり、トップダウンで物事を判断することが多いとのことです。
また、日本のベンチャーは、世界的にも優れた技術・特許力を持ちながらも、経営が国内向きになっている点に懸念を示し、早期にグローバル化を行うことが、全てのステークホルダーにとってプラスとなる点を強調されました。
その一方で、英国拠点のスタートアップは、英国がすでに「グローバル・ハブ」拠点として位置づけられており、マーケテイング戦略・用語、言語等がグローバルスタンダードであるため、米国・欧州へのステップアップが容易であり、さらに人材が豊富であるとの見解を述べられました。
また、Oxford大学のTech-transferの老舗コンサルであるOxentia社が提供するアクセラレーションプログラムが今後立ち上がり、日本のライフサイエンス系スタートアップに特化したピッチプログラムが開催されます。事業のグローバル化や、国際的な投資やネットワーキングを希望される日系企業様を歓迎します、という旨のアナウンスが行われました。

Organs-on-Chipの現状
Kostrzewski氏は、「Microphysiological Systems for Human Focused Drug Discovery.」というテーマで、Organs-on-Chipについて、基礎知識から具体的な活用事例を講演されました。

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Dr. Tomasz Kostrzewski (Director of Biology, CN Bio Innovations Ltd.)

近年MPSの研究が右肩上がりであるなか、直近10年間ではOrgans-on-Chipに関するビジネスが飛躍的に成長していることや、動物モデルがヒトの生理活性と異なる事実をデータと共に解説されました。
また、多臓器連携を含むヒト臓器における反応をチップ上で再現する方法を樹立、標準化することが、創薬における成功率を飛躍的に向上できる可能性があると述べ、CN Bio社が開発したOrgans-on-Chipについて事例を報告されました。
薬物代謝に必要な肝臓モデルは、肝臓を構成する複数の細胞を3次元的に配列することで、類洞構造を忠実に再現し、酸素濃度の高い培地が供給される環境を再現しました。同社は、多臓器連携では各臓器に供給される血液流路や圧力を個別に再現できる特殊な技術、および特許を有しています。また臓器間での「クロストーク」も再現され、多臓器モデルのみで再現できる臓器同士のシナジー等がデータとして蓄積されつつあることを発表されました。
さらに、NASH/NAFLD(非アルコール性脂肪肝/非アルコール性脂肪肝炎)を含む疾患モデルの再現、毒性評価、ADME活性等、多くの創薬ステージに活用が可能との解説があり、最後に開発中である薬剤投与量とその反応性を適切に再現した薬効薬理に特化した技術に関して述べられました。

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質疑応答では、「イギリスのアカデミックの先生方はどのようにビジネスに関わっているか」等、参加者より活発な質問がありました。

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質疑応答後には、懇親会が行われました。当日は民間企業、大学関係者など幅広い層の方から、90名を超える方にご参加いただき、大変盛況な会となりました。
当日会場には、Organs-on-Chipの実物が展示され、参加者は直接手に取って、興味深くご覧になっていました。

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