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イベントレポート

中高生のための未来教室vol.1 「ホンネで語るライフサイエンスの道」(9/4開催)

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2019年9月4日(水)に開智日本橋学園中学・高等学校のライブラリ内で、LINK-J主催による初の中高生向けイベントを開催いたしました。
本イベントは、中高生たちが普段学習している理科やサイエンスといった学問の先に、どのような職業選択があるのか、その仕事が社会の中でどのように活用されているのか、といった観点から、研究者、企業研究員、大学生といった三つの立場から、中高生に向けて新たな視点をもたらすきっかけ作りを行いました。

【登壇者】

谷中冴子 氏(自然科学研究機構分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域 生体分子機能研究部門 助教)
田代洋平 氏(株式会社コカ・コーラ東京研究開発センター製品開発 ティーグループ サイエンティスト)
髙堰うらら 氏(NPO法人まらそん副理事/慶應義塾大学法学部政治学科4年)

抗体の構造研究から学ぶ、研究者ってどんな職業?

自然科学研究機構分子科学研究所で助教をされている谷中氏から、研究者とはどのような職業なのか、ご自身のご経験、研究内容を踏まえながら、お話し頂きました。

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谷中氏は、「どのような経緯で研究者になったのか」や、主要な「基礎科学研究機関」について紹介し、各研究所が異なるミッションを持っていることを説明されました。「どうしたら面白い研究ができるか?」といった話題では、「良いアイディアを出して企画するだけではなく、国や企業にアピールし、資金を得ることや成果を社会に発信することが重要」という話題が挙がりました。研究内容に関しては、「抗体」について説明。タンパク質がダイナミックに動く分子の中で混ざり合って働いている様子を高速原子力顕微鏡による観測で調べられていることなど、ご紹介頂きました。

ライフサイエンスとの出会いとその後

株式会社コカ・コーラ東京研究開発センターの田代氏からは、製品開発に関わる立場から、ご自身の経歴や製品開発の流れについてお話し頂きました。

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田代氏は大学では物質工学を学ばれ、バイオマテリアルの世界からライフサイエンス分野に関わるようになり、研究者の道を歩みました。研究者で一流になりたいという想いから渡米し、専門知識とコミュニケーション能力を磨きました。

現在はコカ・コーラ社において緑茶の製品開発に携わられています。「コカ・コーラのミッションは、製品を通じてお客様に、いつでも、どこでも、さわやかさとハッピーなひとときをお届けして、社会に価値ある前向きな変化をもたらすことだといいます。」製品が出来上がるまでの流れや、各プロセスでの役割についてご説明頂きました。原料の成分や味を解析するために分子生物学的手法が使われること、抽出温度と成分抽出には物理化学が関わるといった解説を頂きました。大学選びの考え方や、様々な分野の経験を現在の仕事に活かされていることを紹介いただきました。

なぜ異分野からライフサイエンス分野で社会課題の解決へ?


慶應義塾大学の法学部に在籍しながら、NPO法人まらそんの副理事長として、入院中の子供たちへ学習支援プロジェクト「Your school」を行っている髙堰氏から、現在の活動とバックグラウンドについてご紹介頂きました。

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「Your School」は、入院中の子どもたちへの学習支援事業です。子どもたちとの関わり方・病棟規則について学んだ医療系学部の学生が、病棟内の学習室やベッドサイドに出向き、一人ひとりの取り組みたいことに一緒に向き合います。学校の宿題だけでなく、クラスのみんなとできなかった家庭科の裁縫や、図工の工作などもサポートし、「誰かと一緒にできた」という喜びが1つでも多く子どもたちの心に残るよう、ともに過ごす"今"を、大切に積み重ねていきます。現在は、慶應義塾大学病院と駒木野病院で活動を展開しています。髙堰氏は海外での生活体験や、学校へ行かなかった時期などを経て、周囲の人がきっかけ作りをしてくれていたことに気が付きました。多くの好奇心を持つことにより「コミュニティ」や「生命科学」に興味関心を頂くようになったと語られました。

現在の活動は、代表の吉田氏がスタートアップ支援プログラムに参加され、髙堰氏が事業化するサポートをするうちに関わることになったとご説明頂きました。ファッションモデルから事業化支援まで、多くの経験を経たことについて、「異分野は多くの視点が増え世界の見方が楽しくなります」と締めくくられました。

講演後は、参加者の中高生と登壇者を囲んでQ&Aを行いました。

「研究者の道に進むうえで大切なことは?」「DNAに蛍光をつける仕組みを教えてほしい」「理科は好きだけど具体的にどういう道に進めばいいのかわからない」など登壇者を交えて質問が飛び交い、生徒たちにとっては中学・高校の理科の授業での学びと、研究やビジネスの実際とのつながりについて、登壇者に深く聞く機会となりました。

今回のイベントを開催するにあたり、開智日本橋学園の多羅尾沙織先生、佐久間貴之先生、および、LINK-Jサポーターの宇佐美篤氏、ご登壇にご協力頂きました三名の皆様には多大なるご協力を頂きまして、誠にありがとうございました。
LINK-Jでは今後も学生の方々へ向けたイベントを開催していく予定です。LINK-Jと一緒にイベントを開催させていただける学校や先生方、団体の方などいましたらぜひお声がけください!

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