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投稿日:2025.11.13 投稿者:コスモ・バイオ株式会社

鶏卵バイオリアクターを用いた甘味タンパク質「ブラゼイン」の開発・製造に成功

コスモ・バイオ株式会社(以下「当社」)は、この度、「鶏卵バイオリアクター」技術を用いて、甘味タンパク質「ブラゼイン」の製造に成功したことをお知らせいたします。これはブラゼインの商業化における「競争力のある低コストでの大量生産」という主要課題に対し、解決へ向けた一つの有力なアプローチとなる成果であり、世界的な砂糖代替品市場において当社が優位に立つ可能性を広げるものです。

1.背景および成果
ブラゼインは、ニシアフリカイチゴから抽出され、54アミノ酸残基から構成される天然の植物由来タンパク質で、砂糖(スクロース)の500倍から2,000倍の強い甘味があります。熱安定性が高く(98℃で2時間安定)、広範なpH安定性(pH2.5~8)を兼ね備えていることから、加工食品・飲料分野の厳しい製造プロセスにおいて品質を維持でき、次世代甘味料として高い期待が寄せられています。
ニシアフリカイチゴは人工栽培が難しく、含まれるブラゼインも極微量で大量生産が困難です。近年では、ニホンコウジカビや酵母を利用して人工的に製造している事例もありますが、当社は、「鶏卵バイオリアクター」を利用して卵白内にブラゼインを安定的に発現させることを目指し、この開発・製造に成功しました。本成果は、「鶏卵バイオリアクター」という日本発の技術を用いた、次世代甘味料原料の低コストかつ大量生産に向けた大きな一歩となります。

2.ブラゼインの特徴・優位性
ブラゼインは、クリーンな甘味プロファイルにより、以下のとおり次世代の天然甘味料として高い市場将来性を持っています。
・健康志向への適合性
ブラゼインは、タンパク質として代謝・吸収されます。これにより、糖尿病や肥満の原因となる可能性が指摘される既存の糖質や、代謝メカニズムに懸念が残る人工甘味料に対し、一線を画す健康的な代替品としての地位を確立できます。
・巨大な競合市場
ブラゼインが代替を目指す市場は非常に巨大です。既存の主要な甘味料市場は、果糖ぶどう糖液糖が2024年に93億米ドル、人工甘味料が2023年に27億米ドルと、それぞれ巨大な市場規模を持っています。ブラゼインは、「タンパク質」であるという独自性により、人工甘味料のような代謝への懸念がなく、砂糖による糖質過多の原因にもなりません。この両面の優位性から、巨大な既存市場の一部を代替する大きな潜在力を秘めています。
・商業化の進展
近年、微生物等のタンパク質発現系由来のブラゼインは米国FDAから承認が得られており、既に組換えブラゼイン(人工的に製造したブラゼイン)を含んだ菓子が販売されるなど、商用化が加速しています。
以上のような特徴・優位性を持つブラゼインですが、次世代甘味料として商業化するためには、複雑な立体構造を維持した「機能的な」ブラゼインを、その製造工程で含まれる無数の不純物を除去したうえで、競争力のあるコストで大量生産することが必須です。これらの課題を解決するのが、当社の「鶏卵バイオリアクター」技術です。

3.鶏卵バイオリアクター技術によるタンパク質製造の特徴
当社の「鶏卵バイオリアクター」技術は、目的とする有用なタンパク質を大量に生産させるようにゲノム編集した特殊なニワトリを用いて、その卵白中にタンパク質を発現させる革新的な製造技術です。従来のタンパク質製造技術(大腸菌、酵母、哺乳動物細胞などを利用)と比べ、以下の優位性を持ちます。
・大量かつ安定した製造が可能
・低コストでの製造を実現
・ニワトリの飼育は一般的な飼育方法
・機能維持のための正しい立体構造の保持(高等生物を用いた発現系であるため、複雑な立体構造を持つ機能性タンパク質の製造に適している)
この技術は、ブラゼインのような複雑な立体構造を持つ機能性タンパク質について、市場競争力のある低コストでの大量生産という最大の課題を克服しうるものとなります。


4.今後の展開と市場目標
ブラゼインの市場は、世界的な健康志向の高まりと砂糖代替の需要増加により、今後も堅調な成長が見込まれています。調査レポートによると、ブラゼインの世界市場は2024年に1.2億米ドルと評価されており、2033年までに3.5億米ドルの市場に到達すると予測されています。
現在、世界でブラゼインの商用化を達成している企業は少なく、また「鶏卵バイオリアクター」での製造に着手している企業は他にはありません。ニワトリの飼育において養鶏業界との連携も視野に入れ、圧倒的なコスト競争力を活かし、当社は食品・飲料メーカーとの協業を加速させ、ブラゼインを安価で安定的に提供できるサプライチェーンをグローバルに構築します。
さらに、この度、「鶏卵バイオリアクター」技術が小さなサイズのタンパク質の製造にも適していることを立証することができ、今後はタンパク質に限らずペプチドなどの小さな分子の製造事業にも着手してまいります。

以上 

お問い合わせ先

コスモ・バイオ株式会社 広報担当

メールアドレス:ir-contact@cosmobio.co.jp

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