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北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター 教授
後藤 貴文 先生の講演をお送りします。
放牧肥育する黒毛和牛における初期栄養による
代謝プログラミング機構に関する研究
= 要 旨 =
これまでに私たちは、初期成長期に高栄養を与えることで、植物資源(牧草)で肥育した場合に成長および筋肉内脂肪(IMF、いわゆるサシ)が増加することを報告してきた。本研究では、この肉質形成機構を多角的に解明することを目的とし、IMF 脂肪新生、脂質代謝、筋線維特性、第一胃発酵、ならびにエピジェネティック制御について包括的に検討した。とくに代謝のエピジェネティック調節は、代謝物解析、遺伝子発現解析、DNA メチル化解析を統合したマルチオミクス手法により解析した。黒毛和牛去勢牛を、標準量のミルク代用乳を3カ月齢まで給与し、4~10カ月齢は粗飼料のみとした群(ER, n=11)と、標準の3倍量のミルク代用乳を3カ月齢まで、4~10カ月齢には高濃度飼料を給与した群(EHN, n=12)に区分した。11~31か月齢では両群とも牧草(放牧あるいは乾草)のみを給与した。その結果、最終体重および胸最長筋のIMF含量は、いずれも EHN 群で高値を示した。EHN 群では、肥育初期から仕上げ期にかけて脂肪細胞が大きく、脂肪新生関連遺伝子の発現が高かった。仕上げ期には、EHN 群の脂肪組織で一価不飽和脂肪酸が多く、胸最長筋では酸化型よりも解糖型筋線維が多かった。さらに、EHN 群では高栄養期および肥育後期において、第一胃内プロピオン酸割合が高く、酢酸/プロピオン酸比は低下した。さらにマルチオミクス解析により、胸最長筋におけるミトコンドリアのβ酸化および生合成の低下が、エピジェネティックに制御される候補代謝として同定された。これは、9-アシルカルニチンの蓄積、および関連遺伝子群の発現低下により支持され、いずれもDNAメチル化変動領域を有していた。このように、胸最長筋におけるIMF増加は、初期成長期の脂肪細胞増殖、第一胃プログラミングによるプロピオン酸供給の増大、さらにミトコンドリア機能低下を介した代謝のエピジェネティック制御により、脂質利用の少ない筋線維へのシフトが誘導された結果である可能性が示唆された。
申込締切
参加費
無料
定員
500名 ※ご参加には事前登録が必要です。先着順となりますのでご了承ください。
主催
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
お問い合わせ先
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社 セミナー窓口 hmt_seminar@humanmetabolome.com