Menu

イベントレポート

第9回 LINK-J ネットワーキング・ナイト WITH SUPPORTERS~東大発スタートアップを世界に送り込む舞台裏~

  • twitter
  • Facebook
  • LINE

10月2日(月)、日本橋ライフサイエンスビルディングにて「第9回 LINK-J ネットワーキング・ナイト WITH SUPPORTERS」を開催しました。テーマは「東大発スタートアップを世界に送り込む舞台裏」。大学発スタートアップの創出において国内で圧倒的な数を誇ると言われる東京大学のスタートアップ支援についてお話いただきました。前半は東京大学産学協創推進本部助教インキュベーション・マネージャーである菅原岳人氏ら5名のプレゼンテーション、後半はパネルディスカッションを行いました。

最初に登壇した菅原岳人氏(東京大学 産学協創推進本部 助教 インキュベーション・マネージャー)は「東大の起業家育成プログラムの全貌」と題し、東京大学の育成・支援プログラムについてご紹介いただきました。

IMG_2367.JPG

東京大学では2005年ごろからライフサイエンスの実験も可能なインキュベーション施設を運営しています。単一ではなく段階に応じた複数のプログラムを走らせることにより、これまでに60社強のスタートアップベンチャーを輩出しました。菅原氏は卒業してスタートアップを起業した卒業生が学生・研究者向けの育成プログラムに指導者として戻り、後進を指導するという良い循環が出来てきていると述べました。

次に登壇した下川俊成氏(Organizer of Todai To Texas)は「世界をめざそう! Todai To Texas プロジェクト」と題して東京大学のプロジェクトの一つである"Todai To Texas Project"の詳細について講演いただきました。

IMG_2376.JPG

Todai To Texasは米国テキサスにて1年に1度行われるSouth by Southwest(SXSW; サウス・バイ・サウスウエスト)に東京大学関連のスタートアップ企業を出展することを目的としたプロジェクトです。South by Southwestは毎年3月前半におこなわれ、数万〜数十万人が参加するイベントで、その歴史と現地の様子をご紹介いただきました。

開催されるオースティンという街は「"Weird"=何でも受け入れてくれる街」。スタートアップ企業には最高のリリース場所なので、ぜひ挑戦してほしい、と呼びかけました。

続いて登壇した孫小軍氏(東京大学情報理工学系研究科知能機械情報学博士課程 2年生)と菅井文仁氏(東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 特任助教)は「BionicMの紹介と今後の展開」と題し、2017年3月のSXSWにて日本のチームで初めてSXSW Interactive Innovation AwardsのStudent Innovation部門でアワードを受賞したBionicMの紹介とSXSW参加の様子について講演いただきました。

IMG_2423.JPG

チームリーダーである孫氏は、現在は義足で生活していますが、2009年に中国から交換留学生として来日するまで松葉杖で生活していました。日本では念願の義足での生活でしたがエンジニアとしての能力を活かし、より良い義足が作れないか考えるようになったと言います。

BionicMのビジョンは「ロボティクス技術と人間の体を融合させ、できなかったことをできるようにする」。

開発している義足は内部に搭載されているモーターが使用者の動きを検知することにより歩きやすく、転びにくい、身体に負担のかかりにくい設計になっています。ユーザーに明るい人生を送ってもらいたいという願いをこめてSukneeと名付けました。

2018年には起業し、2019年に商品化、そして2020年東京パラリンピックと同時にスイスで開催されるCybathlon (サイバスロン)への出場を目指していきたいと今後の展望を示しました。

菅井氏は、Todai To Texasのデモの1カ月前にBionicMに加わりました。菅井氏のミッションは3週間で義足にモーターを取り込んで電動で動くようにすること。デモとして分かりやすいものを、と立ち上がり支援をできるように制作しました。

その後TTTで賞を受賞し、SXSWに向けてさらに完成度を上げることが必要になりました。過去の経験を活かし取り組んだものの、非常にタイトなスケジュールだったため、なんと出発前夜に完成したとのこと。現地で最終調整して臨み、途中で義足の部品が壊れてしまうなどのハプニングもありましたが、実際に義足を使用している方など幅広い方に体験していただき、開発者として貴重な体験だったと述べました。

最後に登壇した高萩昭範氏(株式会社Moff 代表取締役 )は「IoTヘルスケアで高齢化社会の課題に挑戦」と題して、2014年2015年に参加したSXSWでもデモンストレーションをおこなったウェアラブル端末「Moff Band」の特徴と今後の事業展開について講演いただきました。

IMG_2436.JPG

「Moff Band」は3Dモーション認識技術を使用し、Moff Bandを身体に巻き付けるだけで人間の可動域や柔軟性を定量評価することができます。ゲーム分野のIoT技術を基にヘルスケアへの応用をしています。

第一弾としてMoffが進めているのが介護向け事業。2025年には介護従事者の不足が深刻化することが懸念されており、より効率的に身体的な自立支援をおこなうために開発された「モフトレ」というアプリと3Dモーションセンサーになるサービスについて紹介いただきました。

「子どもからお年寄りまで幅広く支援できる製品を作りたい」と今後の展望を述べました。

パネルディスカッション
続いて行われたパネルディスカッションでは、鎌田富久氏(TomyK Ltd. 代表)をモデレーターとし、「テクノロジー・スタートアップをもっと増やすには」をテーマに議論がおこなわれました。

NWN9panel.jpg

起業前、起業後にほしいものは何かというテーマには「メンター」や「資金」、「仲間」「ユーザー」などの声が上がりました。

菅原氏は「起業にはすべて必要。資金も必要だが、調達するためには使用するユーザーが必要になる。」と述べました。
実際に起業した高萩氏は「起業前にはメンターが欲しかった。メンターがいれば解決することが多いと感じた。起業後には資金とユーザーが必要だと感じた」と、起業前と起業後で必要なものが変化したといいます。また、「大企業に期待すること、お願いしたいこと」というテーマでは、鎌田氏は「失敗をすることを許容すること」を上げ、他の登壇者からも同意の声があがりました。

菅原氏は高専を例にとり、座学は後からの努力で身につけられるので、若いうちから手を動かすことは大きな武器になるとお話頂きました。
またデザイン性の高い商品を開発するため東京藝術大学や慶応義塾大学SFC等と連携を取り、チームに組み込むことで多方面の分野の学生たちが集まってスタートアップをしている現状をお話頂きました。

講演の後は10階ラウンジにてネットワーキングタイム。季節に合わせたハロウィン仕様の食事を囲み、賑やかな交流の場となりました。

NWN9.jpg

次回は11/2(木)、第10回 LINK-J ネットワーキング・ナイト WITH SUPPORTERS~英国における産官学連携とバイオベンチャーの成功事例~です。奮ってご参加ください。

pagetop