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イベントレポート

脳は人工的につくれるのか?〜 脳の情報処理のフロンティアに挑む(9/27)

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2021927日(月)、LINK-Jは「脳は人工的につくれるのか?〜 脳の情報処理のフロンティアに挑む」をオンラインにて開催しました。
本ウェビナーは大変好評につき、アーカイブ化もしております。ご興味がございましたら下記よりご登録の上ご視聴ください。

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ウェビナーアーカイブ視聴申込はこちらから (申込期限221010日(月))

近年脳のメカニズムの解明の研究は、脳と外部のデバイスをつなぐBMI(ブレイン・マシン・インタフェース)や、脳の情報処理を模したAIによるシミュレーション、神経細胞を人工的に構造化してその振舞いを解析するなど、工学的なアプローチやコンピュータ・サイエンスを駆使して、新たな局面を迎えています。では、実際に工学的なアプローチではどのような取り組みが行われ、何が明らかとなっているのでしょうか。こうした最先端の脳研究の取り組みを、脳の疾患の解明や創薬というライフサイエンス分野に繋げることはできるのでしょうか。

今回LINK-Jネットワーキング・トークの第17回目として、TomyK代表、東京大学大学院情報理工学系研究科特任教授であり、LINK-Jサポーターの鎌田富久様をモデレータにお迎えし、東京大学大学院 工学系研究科 准教授の渡辺正峰先生と、同じく東京大学 生産技術研究所 准教授の池内与志穂先生にご講演頂き、パネルディスカッションを行いました。

まず渡辺先生よりご講演頂きました。渡辺先生は電気信号をやり取りする物質にすぎない脳に、なぜ意識が宿るのか、物理的な機械(人工脳)にも意識は宿るのか、という問題に対し工学的なアプローチで研究を行っています。ご講演では意識とは何か、という定義の話から始まり、意識が宿ると証明するためには客観的なテストでは評価ができないこと、そのため、左右で人の脳の意識がそれぞれ完結しているという特性を生かしBMIを作ることで主観的に意識は宿っていると証明したいことをお話し、最後に現在作製中のBMIが完成すると、死を介することなくシームレスに意識を機械にアップロードできるのではないかという展望を述べました。

次に、ヒトiPS細胞で神経経路組織を作製し脳を理解する試みをなさる池内先生より、その取り組みについてお話頂きました。近年のオルガノイド研究の発展により、脳の部位毎に様々オルガノイドは作られているが、軸索の束はまだ作られていません。脳の複雑さの鍵は軸索の機能によると考える池内先生は、実際に脳の領域間の繋がりを模した、軸索で繋がれた両端が球状の神経組織を作り、電極を通して反応を見ることで、脳の神経回路の仕組みを一般化する取り組みを行っています。ご講演の終盤には扱う内容が複雑な脳であるためにどこまで単純化するかという研究バランス問題や、現在世界で進行中の生命科学とコンピュータの研究の先に、どのような社会や未来があるのかといったパースペクティブをご説明頂き、ご講演を終えました。

続いて行われたパネルディスカッションでは、「医薬品の開発にどのように結びつくのか」といった製薬との繋がりへの質問や「脳は古典コンピューターで出来るのでしょうか、あるいは量子コンピューターの様なものになるのでしょうか」といった人工脳のシステムについての深掘りの質問に加え、「本日の報道で「サムスンとハーバード大学の研究者らは、ヒトの脳の仕組みを半導体チップ上で模倣するための新しい方法に関する研究を発表」とありますが、どう受け止められたか」といった時事に関する質問に至るまで、多種多様な質問が視聴者から多く寄せられました。質問から派生した「大脳が左右にあることの意味」についても鎌田様含め熱いディスカッションが展開され、盛況のうちにイベントは終了いたしました。

ご登壇いただいたの鎌田様、渡辺先生、池内先生には深く感謝申し上げます。

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