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【2020年度 SCOOPプロジェクト中間報告】東の大和

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東の大和

項目 内容
プロジェクトの目的     COVID19によりリモートワークがほとんどの事業団体に導入されましたが、その便利さゆえに空間的・時間的共感覚が得られず、対面コミュニケーションでのみ察知できるお互いの「些細な変化」が蔑ろにされているのが現状です。「部下に仕事を振りたいけど、今どれだけ手元にタスクがあり、忙しくしているかが見えないからやりづらい」「上司に相談したいことがあるけど、前風邪から治ったばかりらしいだから、気軽に相談しちゃっていいのかな」と、細かい配慮が難しい状態が想定されます。こういった現場のペインに応えるために、私たちは「社内コミュニケーションツールと連携して従業員の状態を分かりやすく可視化し、電波を超えた気遣いを可能にするプログラム」の開発に取り組みたいと考えています。
当初の計画     近年において、目の動きや脳波の計測を用いた集中力や疲労度の推定の研究は行われており、一定の精度が実証されている。ただ、これらの指標や主観的評価を複合的に用い、脳の疲労や集中に関する指標は存在せず、より多くの指標を用いることでより精度の高い、人間の感覚に近い評価指標が作成できるのではないか、と考えている。また、使用しやすいモデルを構築することで、SaMD(仮)等として、実用的な形に応用できると考えている。そのため、ハードウェアからソフトウェアまでの開発を考えている。
また、実際に我々が考えている課題が実在するかどうかを確かめるために、簡易的なプログラムを使って事業団体の中で実証実験を行おうと考えている。
2021年3月までの取組

■ニーズ検証パート

脳波などを用いることの有用性、限界などについてBMI(brain machine interface)の専門家(医師、東京大学大学院)にインタビューしました。また、脳と関連したテクノロジーの有用な応用先についてビジネスの専門家(医師、三菱商事)に相談しました。その結果、疲労度の検出はなるべく脳波を避けて、ユーザーが毎日使っているであろうデバイスで取れる情報をまず用いることにしました。
また、リサーチを進めている中、類似したサービス「心温計」を発見し、その開発者とコンタクトが取れ、疲労度予測が技術的に可能である確信を得たと同時に、ソースコードをシェアしていただけることになりました。
そして、実証実験を行う前段階として、実施計画書を元に学生団体inochi wakazo projectの了承を得て、2021年3月中旬よりデータ取得・アプリケーション導入を開始し、4月中に運用を本格的に開始する予定です。また、ユースケースがある程度確立した時点で、link-j様にも実験のお願いをする予定です。

■研究開発パート

研究開発パートでは、主に「社内コミュニケーションツールと連携して従業員の状態を分かりやすく可視化し、電波を超えた気遣いを可能にするプログラム」を技術的に実現することを目標としています。当初予定していた研究計画がスマートウォッチ等の利用を前提としており、必要以上に複雑化していたため、検討し直し、研究計画を練り直しました。
その結果として、企業や団体等でテレワークをする際によく使用されている、Zoom・Slack・PC本体から取得できる情報を中心に用い、「わかりやすい、使いやすい可視化ツール」の開発に取り組むことに決定しました。
そのため、現在はSlackやPC本体から取得できる情報の選定(以下記載)を終え、それらを利用しやすい・セキュリティー(秘匿情報)が守られる形で取得できるAPIの開発を行っており、近日中に終えられると考えています。
以下、取得予定の情報になります。(太字を最優先に開発を進めています)

■slack
・稼働時間
・返信速度
・メッセージの受送信数
・テキスト内容
・スタンプ
・人数
■Zoom
・音声
・音量
・音色
・声の高さ
・画面
 ・表情
 ・画面をonにしている時間
■PC本体
・スクリーンタイム
・キーボード利用回数・速度

振り返り    

■チーム面
 今の課題点を整理する:
- 現メンバーが時間的リソースを投下できる仕組みづくりが足りない
- 新しいメンバーをどういった基準でhireしていくかの検討が足りない

■プロジェクト面
 今の課題点を整理する:
- そもそもどういうアウトカムが意義あるのかが実証できていない
- 従業員のsubjective wellbeing?
- 従業員の生産性?
- 今解こうとしている課題「電波を超えた気遣いがない」は真に大事な課題なのか検証できていない
- 企業が導入するメリットは果たしてあるのかが検証できていない
- バイアウト先の選定など含めて、出口戦略の検討が足りない

今後の計画   

■チームパート
技術アドバイザーの立場にあたる人材を早急に確保する(週3時間程度のコミット)
pythonによるプロトタイプが完成次第、実証先確保に向けて動けるメンバーを確保する(週10時間程度のコミット)

■ニーズ検証パート

bitmeの導入決定者としては、企業の人事担当(場合によって産業医)になると考えられるので、従業員のsubjective wellbeing の向上による健康経営の増進を最終的なゴールにしつつ、人事担当のKPIの延長上にあるアウトカム設定が肝になると考えられる。そのため、①人事担当のKPIを含めてロジックモデルの把握 ②人事担当が抱える一般的な課題についての把握 が大事な話になってくると思います。そこに向けた情報収集を行う必要があります。
また、今解こうとしている課題の重要さの検証として、①疲労度 ②メンタル健康度 ③話しかけて欲しい度 など、どの値を見せることが従業員のsujective wellbeingにつながるかを実証実験の試行錯誤を通して行いたいと考えます。
出口戦略に関しては、引き続き類似サービスの開発を行っている企業へのインタビューを通して練っていきたいと考えます。

■研究開発パート

各種APIを用い、情報が取得できるようなツールを作成した後に、それらの情報を使い、疲労度・精神的な健康度合い等を可視化できるようなプログラムの開発を予定しています。当初は機械学習を用いることを予定していましたが、学習データが少なく、個人によってばらつきが多い(個人・役職によってPC・Slackの使用頻度が大きく異なること等)データの中で質の良い機械学習モデルの開発がかなり困難であると判断し、まずは統計解析を用いて可視化することを試みる予定です。使用していただくユーザーに約1週間まずは記録期間を取っていただき、使用傾向を掴み、その後Slackの返信時間が長い、PCの利用時間が短い等、平常時より大きく使用状況が異なる場合に、疲労度が特に高いと判断できるのではないか、と考えています。

その中でデータを踏まえ、機械学習を導入することが適切だと判断した場合には開発を検討しつつ、ユーザーテストでの統計解析の精度を検証していきたいと考えています。

活動の様子  

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プロダクト作動イメージ

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