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【2021年度 SCOOPプロジェクト最終報告】旭川フレイルプロジェクト

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旭川フレイルプロジェクト

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リモートインタビュー.jpgのサムネイル画像

項目 内容
アブストラクト     コロナ禍におけるフレイル対策を、対面を伴わない活動により行うため、「リモートインタビューの実施とフリーペーパーの発行」という事業を企画し実行しました。フリーペーパーを通じて、地域の方の趣味を共有することで、閉じこもりがちな方々に外に出るきっかけづくりに働きかけました。その後感染状況が落ち着いてきた際には、感染対策を行った上で「弦楽器によるコンサートイベント」を実施し、直接的な外出のきっかけづくりとともに、地域に向けたフレイル対策のメッセージ発信を行いました。1年を通じて、感染状況に合わせた地域のフレイル対策に取り組みました。
2021年8月以降の取組・方法     コロナ禍における地域高齢者の閉じこもり・活動低下とそれによるフレイルの進行に対して、高齢者の生活に身近であり、手元に残ることで繰り返し読める「フリーペーパーの発行」と、それに向けた「リモートインタビューの実施」を計画し、プロジェクトをスタートさせました。
まず「リモートインタビュー」について、感染防止に配慮しつつ、電子機器等の扱いに不慣れな高齢者の方々の参加のハードルを下げるための試みであり、地域の活動拠点である緑ヶ丘地域活動センター・グリンパルの会議室を借りて実施することとしました。事前のテストを経て、パソコン・モニター・スピーカーなどの必要物品を揃え、会議アプリを用いて会場と各メンバーの自宅をつなぐ形式を整えました。イベントの広報は地域の公共施設において行い、また地域包括支援センターにも協力を依頼しました。雑誌発行のための情報収集のみならず、高齢者の方の外出や楽しみの機会に繋げたいと考えて、事業名を「聞かせて!あなたの宝物」とし、趣味や食事など生活における楽しみを聞き取るインタビューを各回30分~1時間程度実施しました。
以上のインタビューを経て得られた情報をフリーペーパーにまとめました。語っていただいた趣味などの内容を掲載し、手に取って読んでくれた方が自分自身も何か取り組んでみようと思えるような内容を心掛けました。また作成した冊子の配布方法についても、より広く地域に広まるよう検討しました。
計画では、年に2、3回のフリーペーパー発行を行う予定でしたが、2022年4月頃から感染状況が比較的落ち着いてきていたため、感染対策を行った上で実施可能な対面のイベントの企画を検討しました。外出したくなる楽しみの機会を提供するため、弦楽器が主の室内合奏コンサートであれば、マスクの着用やソーシャルディスタンスを保ちつつ地域の方と交流ができると考えました。そこで旭川医科大学室内合奏団に演奏協力を依頼し、また弦楽器演奏の間にフレイルについての講和を交え、フレイルの危険性や具体的な予防策を知ってもらいました。感染対策方針は、大学課外活動・弦楽器によるコンサートイベント・施設が設ける感染対策基準に則って作成し、事前申込制により参加者の管理を行いました。
結果 
プロセス 
 
① リモートインタビュー
実施時期は2021年12月20日(月), 22日(水)のそれぞれ13:00~17:00でした。計6名の地域高齢者(年齢69~89歳)の方へのインタビューを行いました。
 インタビュー時に実施したアンケートでは、リモートでの会話が「初めて」という方が4名、「1,2回やったことがある」方が2名と各参加者にとって慣れない形であったものの、全員が「話しやすかった」と回答しており、「直接出なくても身近に感じた」「とても話しやすく楽しい一時でした」といった回答が得られました。
② フリーペーパーの発行
上記インタビューにより得られた情報をA4表裏の用紙にまとめ、フリーペーパーとして発行しました。発行部数は1,000部であり、地域の公共施設に設置してもらった他、地域の回覧板に掲出してもらい(5地区68町内会)、6,000世帯を超える地域の方々に届けることができました。
③ コンサートイベントの実施
実施時期は6月26日(日)の13:00~15:00であり、緑ヶ丘地域活動センター・グリンパルにて開催しました。地域へのチラシ配布・掲出を行ったほか、北海道新聞地域版にて告知記事を掲出してもらいました。参加者は11名でした。当日行ったアンケートの結果、満足度について全員が「非常に良かった」と回答し、「生で弦楽器の演奏を聴けたのが良かった」といったコンサートの面での評価と、「食生活の大切さ、日々の意識が重要と分かった」「演奏とフレイルの話を聞くことができて良かった」といった講演も含めた評価がありました。また活動後には、北海道新聞地域版にて事業の様子が報道記事として掲載され、より広く地域にメッセージを発信することができました。
全体考察・
提言
   
〇成果
プロジェクトスタート当初は感染状況も厳しく、対面を避けた上で実施可能な事業形態を検討し、リモートインタビューやフリーペーパーといった形で地域との交流を始めました。そして年度が替わり、感染状況が落ち着いてきた中で、弦楽器によるコンサートと講演というイベントを実施しました。感染状況に合わせて柔軟に実施可能な事業を継続できたことは一つの成果と考えます。
現在、リモートワークやインターネットを通じたコミュニケーションが積極的に取り入れられる中、そういったことに苦手意識を感じる高齢者の方々に、リモートインタビューという形で経験してもらえ、そういった交流の形があることを知ってもらえたことは今後に向けて意義あることと考えます。一方でフリーペーパーの配布に際しては、回覧板という昔ながらの広報手段を取り入れ、多くの世帯にアプローチすることができました。高齢者の方々との交流に向けて、様々な情報発信・交流の手段を検討し実施してきたことはメンバーにとっても視野を広げる良い機会となりました。
当初の活動目的には、「高齢者の方々の地域での活動実態に迫り、コロナ禍での趣味や団体活動における課題が明らかになること」を掲げていました。インタビューやコンサート、また高齢者支援に関わる地域の方々とのやり取りを通じて、未だに高齢者の方々にとって人の集まる場所に行くことがリスクと考える傾向が強いことを実感し、引き続き、「感染対策をした上で、外に出て人と関わることでフレイルを予防する」というメッセージを発信し続けることが重要であると分かりました。
〇課題
当初の予定ではフリーペーパーの発行を複数回行う予定であったが、対面イベントを行う方向性に切り替えてコンサートを開催したため、フリーペーパーを通じて地域の反応を得る、という新たな交流の形は構築できませんでした。フリーペーパーの一部を料金後納郵便の形にし、切り取って送ってもらえるようにする、といったアイディアはあったものの、実行に移すことができなかったため、フリーペーパーに限らず地域に向けた情報発信を行う際の、今後の課題として残されました。

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