2025年4月17日(木)、一般社団法人クロスユーとLINK-J共催、JAXA協力のセミナーをGLOBAL LIFESCIENCE HUBおよびオンラインで開催しました。
産学官連携による宇宙(地球低軌道・無重力環境)利用、国際宇宙ステーション(ISS)での民間事業者による利用・JAXAによる支援機能などをテーマに、文科省、アカデミア、スタートアップなど様々な視点からご講演いただきました。
当日は会場とオンラインを合わせて200名を超える方が参加され、宇宙分野への関心の高さがうかがえました。
開会挨拶
LINK-J事務局長 高橋 俊一

開会挨拶
cross U 代表理事 中須賀 真一氏

クロスユーの活動や宇宙関連ビジネスについてご説明いただきました。これまで人工衛星開発や宇宙政策に携わる中で、宇宙産業の発展には「民間コミュニティの形成」と「異業種連携」が不可欠であること、また、日本橋を拠点に非宇宙企業・団体と宇宙産業の接点を創出するために、クロスユーが行っている様々な活動についてご紹介いただきました。
インプットセッション
文部科学省 研究開発局 研究開発戦略官 (宇宙利用・国際宇宙探査担当)(当時)
(現:日本医療研究開発機構 再生・細胞医療・遺伝子治療事業部長) 原田 大地氏

ISSは2030年頃に退役予定で、以降は民間主導の宇宙ステーションが構想されており、文科省はJAXAとともに、研究力強化・参画拡大と商業化・基盤整備の3本柱で政策推進を企図していること、これまでの宇宙利用の成果や課題、特にライフサイエンス分野が有望視されていること、今後の方策についてお話しいただきました。
インプットセッション
JAXA 有人宇宙技術部門 宇宙環境利用推進センター センター長 白川 正輝氏

JAXAが行う、微小重力や放射線環境など宇宙特有の条件を活かしたライフサイエンス研究の推進について説明いただきました。特に「きぼう」実験棟では、遠心機や顕微鏡、冷蔵設備などを活用し、細胞・動物実験やタンパク質結晶化など多様な研究が行われています。これらは健康長寿や創薬、材料開発に貢献し、民間利用も拡大しており、2030年のISS退役後も、成果を継続・発展させるための戦略的準備が進められています。
講演
群馬大学 重粒子線医学研究センター生物学部門・教授 髙橋 昭久氏

商業利用拡大に向けたアカデミアの活用についてお話しいただきました。宇宙は未開拓の「ホワイトスペース」であり、企業にとっては新たなビジネスチャンスです。一方のアカデミアは宇宙生物科学会などを通じて研究基盤を提供し、産官学連携の重要性を訴える。ライフサイエンス分野では、宇宙放射線によるDNA損傷や筋萎縮などの研究が進み、地上の健康福祉にも貢献しています。また、ポストISSに向けて、研究テーマの継続的な育成と柔軟な支援体制の構築が必要であると締めくくられました。
講演
Space BD株式会社 ISS船内プラットフォーム事業ユニット 事業ユニット長 山崎 秀司氏

Space BD社は「宇宙×産業」の事業開発を推進するスタートアップで、衛星打ち上げ支援からライフサイエンス分野への応用まで展開されています。地上とは異なる微小重力下での現象として結晶の高品質化、均一性の向上、成長因子の増加などが挙げられます。それを活かしたこれまでの実験や今後期待される活用例、また、2028年頃の軌道上実証などについてご紹介いただきました。
講演
有人宇宙システム株式会社(JAMSS)宇宙システム開発ユニット利用サービスグループ 兼 営業・事業統括部新事業開発課 中手 直哉氏

JAMSS社は「きぼう」運用支援を担う企業として30年以上の有人宇宙活動の知見を活かし、ISS退役後の地球低軌道民間ビジネスに向けた事業展開を推進されています。高品質タンパク質結晶生成サービス「Kirara」や、細胞老化を加速させる宇宙環境を活用した生体模倣システム(MPS)を開発中です。また、民間宇宙ステーション「Haven-1」の打ち上げ予定など、今後の展開についてもお話しいただきました。
イベント終了後はラウンジに会場を移し、ネットワーキングが行われました。
皆様、登壇者をはじめとした多くの方とお話をされており、非常に盛り上がりました。


参加頂いた皆様からは「宇宙が既にビジネスチャンスを創出し始めていることを改めて強く認識できました」「産官学の登壇者から違った目線で宇宙×ライフサイエンスの最先端を包括的に聞ことができ、非常に勉強になりました」と多くの感想が寄せられました。
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イベントにご参加いただいた皆様、ご登壇者の皆様、誠にありがとうございました。