2026年6月10日(水)に、「LINK-J x DIA Japan 共創セミナー【CMC開発 ~SU先駆者から学ぶ~】」を201大会議室とオンラインにて開催いたしました。(主催:LINK-J、DIA Japan)

本イベントは、LINK-JとDIA Japanによるコラボレーションイベント第2弾として開催され、創薬スタートアップが開発初期から押さえておくべきCMC開発や薬事・製造(CDMO活用)の考え方をテーマにご講演いただきました。
LINK-JのYouTubeチャンネルで、アーカイブ動画を公開しています。ぜひご覧ください。
オープニング:LINK-J事務局長 高橋 俊一
DIA Japan 紹介、Introduction talk:DIA Japan, 代表理事:新美 満洋氏
CDMO講演1:低分子医薬品のCMC開発における重要ポイント
シミックCMO株式会社技術推進部長 友田 寛氏
友田氏は医薬品の研究開発において、開発を円滑に進めるために理解しておく必要があるCMC領域について、低分子医薬品を中心にポイントを解説しました。そのなかで、今回はCDMOへ処方開発からPhase-1用治験薬製造までを依頼する場合の一般的な流れや薬事的な視点に着目し、具体的な事例を盛り込み紹介しました。特に依頼者側とミスマッチが生じやすい点あるいはミスマッチを起こさないための施策についても紹介されました。
コスト・スピードに優れたCMC開発(低分子化合物)
スペラファーマ株式会社大阪研究センター センター長 米山 修司氏
低分子化合物のCMC開発は成熟した分野であるため、低コスト化と高速化が進んでいますが、実際には、様々な要因でコストアップや開発遅延が生じることがあります。
このような問題が生じる原因として、「過剰な検討の実施」や「不必要な高機能の付加」といったことが考えられます。これらを回避するには、CMC開発に着手する前の段階で、なるべく早期にCDMOにコンタクトいただき、最適なCMC開発プランをCDMOと共に策定いただくことが有効です。
また、別の原因として、「失敗によるやり直し」が考えられます。この問題の回避策としては、過去の失敗から学び、失敗を回避する対策を先回りして実施しておくこおとが必要です。この点について、CDMOにおいては非常に多くの経験とそれに基づくノウハウを有しており、このノウハウを活用いただくことが失敗回避には有効です。
以上のことから、コスト・スピードに優れたCMC開発を行うためには、開発の早い段階でCDMOにコンタクトいただき、CDMOの持つノウハウを活用して、CMC開発を計画・実行していくことが重要となると語りました。
CDMO講演2:バイオ医薬品のCMC開発を進める上での留意点(バイオCDMOの視点から)
富士フイルム富山化学株式会社富山研究開発センター CMC研究部 DDSグループ グループ長 長遠 裕介 氏
近年,mRNA医薬品や抗体医薬品などのバイオ医薬品開発が加速する中,初回臨床試験(FIH)までを迅速に進めるためには、開発初期からのCMC戦略構築が重要となります。本講演では,CDMOの視点から,バイオ医薬品におけるCMC開発の基礎と,開発初期に留意すべきポイントについて解説しました。プロセス開発,品質システム,技術移転,治験薬製造など,バイオ医薬品のCMC開発に必要な要素及び課題を整理するとともに,ICHガイドラインや無菌保証など,考慮すべき規制要求について概説しました。さらに,mRNA-LNP医薬品をモデルとして,初回臨床試験用製剤製造までの開発タイムラインや主要な必要実施項目を紹介し,CDMO活用による効率的な開発戦略について解説しました。
SUトーク
ベンチャーの視点: スタートアップから見たCMC研究開発
シノビセラピューティクス株式会社Vice President, CMC and Manufacturing 前田 瑛起氏
前田氏からは、スタートアップ視点でのCMC開発とCDMO活用について講演しました。ベンチャー企業は、CMC開発に対して「何をすべきかわからない」「難しそう」といった不安や、CDMOに対する知財流出・コスト増・製造失敗への懸念を抱きやすいですが、実際にはCMC開発は一定程度定型化されており、本質は「毎回同じ品質の製品を再現性高く製造すること」にあります。Phase 1開始には製造法、分析、安定性、安全性評価などが必要であり、複数ロットのデータ取得も求められます。iPS細胞由来製品では“Process is Product”の考え方が重要で、現場ノウハウの継承が品質に直結します。そのためCDMOは単なる委託先ではなく、柔軟性、適切な品質水準の提案、プロアクティブな支援を行う開発パートナーとして活用すべきであり、委託者側も共通言語を身につけながらCMC理解を深める必要があると解説しました。
アカデミア創薬スタートアップにおけるCMC開発の実際 - CDMOとの連携を中心に
株式会社FerroptoCure 代表取締役 大槻 雄士 氏
創薬スタートアップにとって、CMCは開発の早い段階から向き合うべき課題でありながら、限られたリソースや専門知識の制約から、どうしても優先順位が下がりがちな領域でもあります。一方で、CMCへの対応が開発スピードや規制対応、さらには資金調達の文脈にまで影響を及ぼすことは、実際に開発を進める中で初めて実感できることも多くあります。
FerroptoCureは、フェロトーシス誘導型がん治療薬の開発において、国内での治験を経て、今年よりオーストラリアでの臨床試験開始を予定しています。CDMOとの連携や複数の規制当局への薬事対応を重ねる中で、開発戦略におけるCMCの位置づけについて、多くのことを実践的に学んできました。
大槻氏からは、そうした経験をもとに、アカデミア発スタートアップならではの視点から、CMC開発にまつわるリアルな実践知をお伝えしました。
パネルディスカッション
ご講演後にはDIA Japan, Contents Committee Chair:松山 琴音氏(国立成育医療研究センター臨床研究センター センター長)がモデレーターを務め、パネルディスカッションを行いました。会場でのLive感のある議論で講演は大いに盛り上がりました。
本イベントは会場・オンライン合わせて約220名の参加者のみなさまにご参加いただきました。パネルディスカッションの後、会場ではネットワーキングタイムを設け、みなさまの交流の時間となりました。
ご参加いただいた皆様からは、「CMC開発においてCDMOサイドとSU側、両方からの見解が分かり興味深かったです。」「自プロジェクトにも活かせる示唆が多く,有意義なセミナーであった」などの感想をいただきました。ご参加いただいたみなさまありがとうございました。


