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イベントレポート

第19回 LINK-Jネットワーキング・ナイト「慶應義塾大学発 医療系ベンチャーの現状」を開催(10/24)

10月24日、日本橋ライフサイエンスハブにて、第19回目となるLINK-Jネットワーキング・ナイト「慶應義塾大学発 医療系ベンチャーの現状」を開催しました。
前半は、岡野栄之氏と坪田一男氏より、慶應義塾大学における医療系ベンチャーの現状についてご紹介いただき、後半は、医学部主催のビジネスコンテスト「健康医療ベンチャー大賞」の出場者より、事業の取り組みについてプレゼンテーションを行いました。

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【講演・座長】
岡野 栄之 氏(慶應義塾大学医学部教授/慶應義塾大学大学院医学研究科委員長/LINK-J理事長)
【講演】
坪田 一男 氏(慶應義塾大学医学部眼科学教室教授/日本抗加齢医学会理事/日本再生医療学会理事)
【プレゼンテーション】
小田喜 雅彦 氏(山口大学工学部機械工学科4年)
西嶌 暁生 氏(東京慈恵会医科大学熱帯医学講座 研究員/新東京病院 形成外科 医師)
明田 直彦 氏(株式会社OUI 代表取締役)
清水 映輔 氏(株式会社OUI 取締役)
矢津 啓之 氏(株式会社OUI 取締役)
東 和彦 氏(株式会社LTaste 代表取締役社長)

中枢神経系再生を目指したバイオベンチャー起業~脳神経再生細胞薬のグローバル臨床開発とその事業化に向けて~

岡野栄之先生は、1998年に成人脳にも神経幹細胞が存在することを明らかにされ、ヒト脳の再生医療に関する研究に携われています。
2001年に、現サンバイオ(株)の代表取締役社長の森敬太氏と代表取締役会長の川西徹氏が訪ねてこられたことをきっかけに、再生細胞医薬品の事業を本格的にスタートし、シリコンバレーでSanBio, Inc.を設立しました。先生は創業科学者として同社に関わり、米国での開発を推進しています。

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サンバイオ社は、2015年に東証マザーズに上場し、時価総額は1900億円となるバイオベンチャーにまで成長しました。
同社の主力製品であるSB623は現在臨床研究中で、脳梗塞、外傷性脳損傷といった根治治療法がない疾患をターゲットとしたフェーズ1/2a試験において有効性を示しています。例えば、脳梗塞発症後、半年以上経過したあらゆる治療に抵抗のある患者さんへの劇的な改善が確認されています。

一方で先生は、2016年に(株)ケイファーマも設立されました。同社は、慶應医学部の研究成果を活用し、医療分野での社会貢献を果たすことを目的とした、再生医療とiPS細胞を使った創薬企業となります。湘南アイパーク内に入居され、事業を展開しています。現在は抗ALS候補薬の実用化を目指しています。先生は再生医療における、「グローバルリーダーを目指したい」と意気込みを語られました。

大学発ベンチャーの挑戦

坪田一男先生から慶應義塾大学のオープンイノベーション事業の全体像と、株式会社坪田ラボの事業についてご紹介いただきました。
慶應義塾大学医学部からは、これまで9社のベンチャーが設立され、そのうち4社(坪田ラボ(2012年)、セル―ジョン(2015年)、レストアビジョン(2016年)、OUI(2016年))が眼科から輩出されています。先生はイノベーションには2つのファクター「サイエンス」×「ビジネス化」が必要であるとし、特にビジネス化が重要であると述べられました。

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坪田ラボでは、「近視」、「老眼」、「ドライアイ」に革新的なイノベーションを起こすことをビジョンに掲げています。世界の近視は激増しており、60年前と比較し4倍に増えていることが背景にあります。さらに、大人になっても近視が進行し、高度近視では失明につながる可能性もあるとされています。先生の研究成果から、太陽光に含まれるバイオレットライトが近視進行を抑制することを発見されました。

バイオレットライトを浴びると、眼内(網膜)の遺伝子EGR1の発現が増大し、眼軸長の異常な伸展が抑制されることで、近視進行が抑制されると考えられています。そこで、EGR1の発現を増加するクロセチンというカロテノイド(天然色素)をスクリーニングによって発見し、ロート製薬とクロセチンを含有するサプリメントの販売を開始しました。サプリメントを摂取した試験では、近視度数に有意差がつくという結果も得られています。

同社の主力製品は、近視予防のための眼鏡「バイオグラス」です。現在、研究開発を進められており、2022年の実用化を目指しています。先生は、大学発ベンチャーはどれだけ社会貢献できるかが重要であると力説し、今後この製品のグローバル化を目指したいと語りました。

健康医療ベンチャー大賞で受賞された4社のベンチャーによるプレゼンテーション

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Medical-e「がん新治療"IRE"実用化への経過と展望」

山口大学機械工学科4年の小田喜氏は、がんの治療法として、IRE(不可逆電気穿孔法)の改良方法を紹介されました。がん組織に高圧電流をかけることで細胞膜に穴を空け、がんを治療する方法です。切除手術が困難なすい臓がんなど、手術をしない治療法となります。高圧電流による心臓への負担などの問題点を解決するため、感電防止方法として、交流を利用しました。ミジンコを利用した生体実験に成功し、動物実験を開始しています。

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プロジェクトM「新規医療用マゴットによる下肢救済!~開発・臨床の現場とその後の取組」

東京慈恵会医科大学の西嶌氏は、形成外科にて難治性の傷の治療に関わられてきました。国内でも足潰瘍患者数は700万人、足切断数は2万肢/年に上るといわれています。今回、開発されたマゴットセラピーでは、ヒト細胞を餌とした嗜好性の強いうじ虫を選別・系統化し治療法としての効果を高めています。また、マゴットエキスとして、生理活性物質の抽出を行い製品化も検討されています。今後の展開として、効果の高い医療用マゴットの提供や、難治性慢性潰瘍に対する臨床試験を始めています。

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OUI Inc.「OUI Inc.とSmart Eye Camera」

株式会社OUIの明田氏、清水氏、矢津氏は、慶應義塾大学の眼科医3名で起業されました。眼科診療の問題点として、眼球の前側(前眼部)と後ろ側(眼底)とで、2台の高価な診察機器が必要であり、1台で診察が完了しないということが挙げられます。開発されたSmart Eye Cameraは、スマートフォンのカメラと光源を活用し、安価で持ち運びができることでこの問題を解決します。自撮りデータでの画像診断をAIで行い、緊急性の高い診察ができるよう、次世代の診療モデルケースをつくっていきたいと語られました。

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LTaste「減塩技術の新潮流"ソルトチップ"による美味しい健康」

株式会社LTasteの東氏は、減塩食品である「ソルトチップ」を製造・販売する会社を、昨年の5月に設立しました。ソルトチップは、前歯の裏に張り付けることで、約5分間、塩分を感じられるというもの。塩味は、舌に触れるわずかな塩分のみで、食品に含まれる多くの塩分を認識していないことから、ソルトチップに含まれる0.08gの塩のみで、減塩対策ができるという仕組みです。現在は、病院の売店で販売を開始し、来年4月から量産体制を整えて販売をする準備を進めています。

慶應義塾大学のシーズを社会実装するためのオープンイノベーション

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その後、岡野先生の司会進行で、パネルディスカッションと質疑応答が行われました。プレゼンテーション4社に対し、2017年1月、2018年1月に開催された慶應義塾大学健康医療ベンチャー大賞の受賞後の進捗について質問が投げかけられ、各登壇者は今後の展望について意気込みを語り、岡野先生と坪田先生からは、的確なアドバイスや応援メッセージが送られました。
参加者からの質問では、「特許戦略について」「競合他社とどのように戦っていくのか?」「資金調達の進捗について」などが挙げられました。
また、会場に来られていた、慶應義塾大学 研究連携推進本部の杉山直人氏より、大学のオープンイノベーション事業について、大学シーズを社会実装するためのプロジェクトを進めていく方針が語られました。「この事業が大学運営を含めて、エコシステムをつくる第一歩になれば」と述べられました。

講演後は、日本橋ライフサイエンスハブラウンジにて、ネットワーキングが行われました。
当日参加者は約90名の方にご参加いただき、参加者からは、「若い方々の力を感じた」、「岡野先生、坪田先生が突っ込んだ話をされていて面白かった」、「ベンチャーの方々のお話が予想以上に面白かった」、「ベンチャー100社を目指すところが慶應らしい」、「プロダクトの見えているプロジェクトが多く非常に面白かった」、などのご意見をいただきました。
ご参加いただいた皆様、ご登壇いただいた皆様、ありがとうございました。

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来たる12月2日(日)に、「日本橋ライフサイエンスハブ」で慶應義塾大学主催第3回健康医療ベンチャー大賞を開催いたします。のべ100を超えるプランの応募があり(歴代最高の応募数)、AIやVRなど新技術から、基礎研究を基にした創薬まで多岐にわたったビジネスプランが出場します。観覧者の皆様の投票をもとに決定するオーディエンス賞もあります。ぜひ奮ってご参加ください。
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