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2018年度 SCOOPプロジェクト最終報告

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SCOOPプロジェクト5チームの活動状況を報告いたします。

TEAM AMR
旭川市における学際連携によるフレイル対策チーム
全国大規模データを用いたジェネリック医薬品の使用促進因子の探求 - 多変量回帰分析 -
Choosing Wisely 医学生×薬学生×一般市民で考える "賢い医療の選択"
教育×医療

TEAM AMR

項目 内容
アブストラクト     薬剤耐性菌(antibiotic resistance 以下略してAMR)をご存知でしょうか?
AMRとは、今まで効果があった抗生物質という薬が効かなくなった菌のことをいいます。
この、国際的に考えないといけないAMRの問題を、私達は、エビデンスとなる論文が比較的豊富なタイで取り組みました。
タイでは薬局で処方箋なしで抗生物質が購入できること、そもそも医師を利用しない文化にあること、抗生物質をよく投与される疾患が下痢であることなどの課題がリサーチからわかり、タイ市民が使える下痢の自動診断のプロダクトとして、自分の症状を入力すると下痢の起因菌、抗生物質の必要性を教えてくれるアプリをつくりました。
実際にタイに持って行き、公園、お寺、駅の待合室、大学などでデモ機を使ってもらい、プロダクトのインタビューを行いました。
そこでプロダクトの課題が見えてきました。
抗菌薬を利用している人は昔からの伝統を信じる高齢者、教育レベルの低い方である一方、プロダクトを使いたいと言う人は、自分の健康に関心がある程に教育レベルが高い方であり、作っていたプロダクトの需要とヘルスケアの課題の解決が乖離してしまいました。
このプロダクトではAMRの問題を解決できないとチームで判断し、
現在、下痢の自動診断ボットを、目的を別にしたサービス"日本人が海外で下痢になったときに症状、治療法について教えてくれるアプリ"として進めています。
2019年1月以降の取組・方法     作ったプロダクトをもって、旅行医学会にて日本人向けの旅行中の下痢自動診断のプロダクトについてポスター発表を行いました。
→2018年12月 中間報告はこちら
結果 プロセス   私達のAMRプロジェクトでは、論文を読み課題を特定した後に、その課題の解決策をチームメンバー全員で200個ブレインストーミングをしてアイデアを出し合い、チーム内での投票によって決まりました。
当該課題を解決することができるタイ国民向けの下痢の自動診断ボットを作りました。
そのアイデアでハッカソンや他コンペティションで受賞、助成金などをいただけましたが、実際にタイに持っていき市民に使用してもらうと需要が無いことがわかり、このアイデアでのAMRの課題解決は諦めました。
下痢の自動診断ボットは、目的を別にしたサービス"日本人が海外で下痢になったときに症状、治療法について教えてくれるアプリ"として利用しました。
受賞歴や学会等での発表経歴としては、Angel Hack Osaka 2018 最優秀賞、LINE BOOT AWARDS final出場、旅行医学会での演題発表、ポスター展示などがあります。
全体考察・提言    今回のプロジェクトでは解決策の設定のプロセスに対して、大きな学びがありました。良い解決策には「課題を解決できること」とは別に「その解決策が世界に爆発的に広がるための工夫」を含める必要があるということです。ヘルスケアの課題解決を行う時、課題を解決する技術があると分かればその技術の開発に飛びつきがちですが、一度立ち止まって、その解決策が爆発的に広がるのかニーズを調査する、もしくは、爆発的に広げるための仕組みを作ってから開発を進めなければ、作っただけでおしまい、となってしまいます。技術的な面だけを見て作られても、広がっていかない例は多くあるということを勉強しました。
2018年1年間のプロジェクトではAMRの問題解決に手が届きませんでしたが、私個人としてAMRは人生の挑戦すべき目標として課題解決を続けていきたい所存です。

旭川市における学際連携によるフレイル対策チーム

項目 内容
アブストラクト     本プロジェクトは、社会人経験を経て旭川医科大学に入学した4名とフレイルを専門とする研究者1名で立ち上げたもので、旭川市における分野横断的フレイル対策を、市民の方々とともに検討してきた。"フレイル"という言葉は多くの人から関心を持たれ、医療や介護といった直接関連する領域だけでなく、行政・教育関係者や様々な企業、メディアなど、活動を続けていくなかで関係が広がっていった。特に年間4回開催した勉強会には、年代も所属も異なる人々が集まって、"地域における暮らしの課題"をざっくばらんに話し合う場を作ることができた。医学生が開催主体となることで特定の利害関係に囚われることなく、自由な発想での議論が行われた。また、専門家と市民の両方の視点を有する立場として、両者をつなぎ議論を活性化する話題提供を心掛けた。それらの試みは「市のために何かをしようという前向きさが良い」といった参加者の評価にも表れ、医学生が中心となり地域のフレイル対策を進めることに手ごたえを感じた。一方、事業を進めるなかで近隣市町村や企業関係者から共同事業を進める提案もいくつか受けたが、幅広い可能性が見えるほどに、どこを目指していくべきかプロジェクトの舵取りに悩み、医学生として学びながらプロジェクトを進めることに難しさを感じた。2019年度は"コーヒーショップ×フレイル"をテーマに活動を続ける。
2019年1月以降の取組・方法     2019年1月15日 「社会的フレイル」をテーマに第3回勉強会を開催した(参加者22名、うち学生16名・社会人6名)。
2019年3月21日 それまでの勉強会のまとめの会として、第4回勉強会を開催した(参加者20名、うち学生5人・社会人15名)。開催の様子が、北海道新聞旭川版に掲載された(3月22日)。
 全4回開催した勉強会の成果を年度内にまとめ、市内に報告することを目指していたが、作業が難航し、年度を跨いで現在も作業中である。
→2018年12月 中間報告はこちら
結果 プロセス   年度内に4回の勉強会を開催し、医療・介護といった従来から介護予防に関わっていた分野に限らず、まちづくり・教育など幅広い分野の方々に参加してもらえたことで、フレイル予防に向けた活発な議論が行われた。
また、活動の様子をFacebookページや新聞・ラジオなどのメディアを通じて発信してきたことで、"フレイル"という概念や、当プロジェクトに関する普及が進んだ。

プロジェクトメンバーにとっても、これまでの専門分野で培ってきた能力を活かしながら、異なる分野の方々、旭川市の地域で活動されてきた方々と関わることで、見聞が広がり、地域に則したフレイル対策について考えることができた。また、医療の専門家ではないが、現在進行形で医療を学ぶ医学生としての立場から地域での活動に関わる意義を各自が認識し、今後の活動に向けたヒントを得た。

全体考察・提言    当初目指していた、「分野を横断してフレイル対策を話し合う場の創出」という目的はある程度達成することができたと考える。フレイルという言葉を目指してプロジェクトの活動に参加してくださった方が一定数おり、その方々の発信力を通じてこの言葉を知らなかった方々にも普及が進んだ。
 そして、1年間の活動を通じて、フレイルをともに考える地域の方々とのネットワークが形成され、このつながりを活かした活動を今後も進めていきたい。ただし医学生が地域で活動することの意義と限界を感じた1年であり、限られた時間・メンバーで継続可能な活動の形を模索している。
 プロジェクトの活動は現在も継続しているため、本報告では「プロジェクトの立ち上げとネットワーク形成」に関する提言に留める。医学部という閉じられたコミュニティの中から出て、地域でネットワークを形成することは容易ではないが、"Facebookページ・広告の活用""地域のイベントでの直接的な人とのつながり""ローカルメディアへの協力依頼"など、学生でも可能な有効な手法はあると考える。自らが主体的に地域の方々とつながり、それぞれの役割を認識し、同じ目線で話す場を自ら作ることは将来的に地域で多職種の方々と連携して働くことに大いに役立つと思われる。そのような機会の創出に、より多くの医学生に挑戦してもらいたい。

全国大規模データを用いたジェネリック医薬品の使用促進因子の探求 - 多変量回帰分析 -

項目 内容
アブストラクト     私たちのチームは、データベース研究の勉強会での小さなアイデアがきっかけとなり、プロジェクトを始動しました。当初は京都大学のオンサイトセンターにて、ナショナルデータベースを用いることで、ジェネリック医薬品の使用要因分析を行おうとしていました。しかし、開始早々で先行した研究内容が学会で発表され、テーマ変更を余儀なくされました。

そこで私たちはいったんデータから離れて生の情報を成果にこだわることにし、プロジェクトを一から練り直しました。そしてチーム内での対話と議論を経て、タイ王国チェンマイ市での薬剤耐性菌問題に関する意識調査を行い、これを学会発表しました。
本内容では、市民と薬局でのアンケート調査に基づく啓発レベルの向上を提言するものになります。これをもとに、さらなる研究についての計画を組み立て、「タイ王国における薬剤耐性菌問題の解決に向けて」という研究題目が、2019 年度 KDDI 財団調査研究助成に大学院生として採択されました。

プロジェクトを進める過程で、LINK-J SANDBOX はじめ、関係者の皆様からは多大なご支援をいただきましたこと、御礼申し上げます。私たちは引き続きこの、薬剤耐性菌問題の研究プロジェクトを続けていく予定です。
今後もどうぞ応援の程、よろしくお願いいたします。
2019年1月以降の取組・方法     2019 年 1 月 これまで行ってきたタイへのフィールドトリップ・学会の振り返り
2019 年 2 月 2019 年度 KDDI 財団調査研究助成採択・採択後の事務資料作成
2019 年 3 月 2019 年度 KDDI 財団調査研究助成受賞式典への参加
2019 年 4 月 新年度計画の作成 (財団から採択された研究内容の深堀り)
2019 年 5 月 研究計画書や倫理審査に必要な書類の作成
2019 年 6 月 最終報告会にあたってのメンタリング・資料作成等
→2018年12月 中間報告はこちら
結果 プロセス     • 本助成採択直後にテーマ変更を迫られ、18 年の夏ごろまでは当初のジェネリック医薬品に関するテーマの検討と、新規テーマ模索との両軸でプロジェクトを動かした。
• 綿密な検討の結果、18 年 8 月に、テーマを変更する決断を行った。
• 11 月にかけて新たなテーマを下記の二軸で同時進行した。
 o 医薬品安全性情報と企業株式に関するデータベース研究
 o 薬剤耐性菌の調査研究
• 成果が表れた薬剤耐性菌の問題に今後取り組むことを決断した。
 →8 月末にタイへフィールドトリップし、簡単な調査研究をおこなう。
  11 月に学会発表、翌 19 年 1 月に調査研究助成採択(100 万円)などの成果を創出。
• 19 年から本格的に薬剤耐性菌問題の研究テーマを進行中である
全体考察・提言    • 度重なるテーマ変更やプロジェクトの路線変更に迫られながらも、一年間を通して何とか形にすることができた。立てた計画の変更は起こるものだと思い、勢いよくチャレンジングな意思決定をすることで、最後は成果を残すことができた。
• 我々が最終的に行った薬剤耐性菌に関するプロジェクトでは、タイ現地へフィールド調査に赴き、下痢症に対する抗生物質の処方を調査した。既存文献で報告されていたように、若者の旅行者に対してもやはり安易に抗生物質が処方される傾向にある可能性があることがわかった。
• モビリティの障壁低下に伴うボーダレス社会を迎える今後において、旅行者の下痢症に対する薬剤耐性菌問題の更なる調査研究を進めていくことに意義があると思われる。私たちもそのような研究を進めていく。

Choosing Wisely 医学生×薬学生×一般市民で考える "賢い医療の選択"

項目 内容
アブストラクト     Choosing Wiselyは過剰医療の適正化を入り口に、患者さんと医療者の対話促進を目的として、2012年に米国で始まったもの。米国では、500以上もの「差し控えることを検討すべき医療行為」のリストが公開されており、日本でも2016年にChoosing Wisely Japanが立ち上がった。しかしまだ一般向け周知はほとんどされていない。私たちのチームでは、Choosing Wiselyで紹介されているEBMを医学生と薬学生と専門が異なる医療系学生で共に学び、会社訪問をし、①Choosing Wiselyの紹介と②医療に接する市民の生の声(Choosing Wiselyの一般周知へのハードルを知る)を聞くことを目的として活動を行った
2019年1月以降の取組・方法     2019年3月5日に、リコージャパン㈱仙台支店を訪問し、セルフメディケーションと健康管理をテーマにした発表を行った。同社の産業医である五十嵐侑先生にお願いをして、業務時間中40分間を頂戴することでこの機会が実現した。

発表の内容
1.Choosing Wiselyキャンペーンの紹介
Choosing Wiselyはアメリカで始まった医療キャンペーンで、必要な医療と必要でない医療が適切に選別されて、患者さんにとってベストな医療が選択されること、そのために、医療者と患者さん、市民の対話が重要であることが説かれている。このキャンペーンは、日本の展開も始まっているが、まだ一般向け周知はほとんどされていない。

2.私たちのチームの活動目的の紹介
Choosing Wiselyキャンペーンで挙げられているEBMの内容を医学生と薬学生とで学ぶこと、一般市民に紹介すること、Choosing Wiselyの考えを実現するために、どんなハードルがあるのか一般市民と医療系学生とで議論すること。

3.セルフメディケーションと健康管理
例えば風邪は病院に行って治るものではなく、病院では、鼻水や咳などの症状緩和の薬を出すことしかできない。このような場合、病院に行かなくともセルフメディケーション(自主服薬)をすることで、お金、時間、手間の面でメリットがある。しかし、セルフメディケーションを行うには、正しい医療の知識が必要である。

薬は意外と正しく使われていないのでは?以下の内容について、質問形式で社員の皆さんのお薬との接し方についてお話いただいた。
・目薬はどうやってさしているか?
・頭が痛いから頭痛薬を飲んだが、効かなかった場合はいつまで我慢したらいい?病院へ行くか?市販薬で対処するか?
・健康食品やサプリメントと薬の飲み合わせで気を付けるべきことは?
・余った処方薬、3ヶ月後また同じ症状が出たときに飲んでいいのか?

4.正しい医療情報を入手する方法。
ネット情報は玉石混合。正し医療情報を入手するのは、とても難しい。できるだけ公的機関のホームページなどを参照してほしい。分からない場合は、医療者や薬剤師にぜひ聞いてほしい。

5.Choosing Wiselyの実現のために
社員の皆さん、患者さんは、医療に接したときに疑問に思ったこと、不安に思ったことをぜひ医療者に恐れず問いかけ、打ち明けてほしい。そこからよりよい医療選択のための対話が始まる。一方、私たち医療系学生は、将来医療者になったときに、患者さんにとって本当に適切な医療を提供できるよう、患者さんが安心して医療にかかることができるよう、プロとして専門知識を学び続け、患者さんと対話をするという意識を持つ努力をしていく。

上記、仙台での発表に続いて、旭川市で産業医のいる企業を訪問し、発表をすることを目標とし、旭川医大の先生方にコンタクト先などの相談を行っていたが、旭川市では産業医が必要となる規模の会社はほとんどなく、検討している間に、プロジェクト期間が終了した。

→2018年12月 中間報告はこちら

結果 プロセス     医学、薬学を学んでいる私たちですら、正しい薬の使い方を知っていても、面倒だったり忘れてしまったりして不適切な薬の利用をしてしまうことがある。社員の皆さんもおそらく正しい使い方をしていない方が多いのではないか?と事前に予想して発表に挑んだが、想像に反して社員の皆さんは正しい使い方をされている方が多かった。
 一方で、発表内容に対して以下のようなご質問やご意見、さらには発表した内容以外にも時間を超えて多くのご質問を頂いた。
(例)
<医療の知識に関わるもの>
・こんな場合はどうしたらいいか(例えば、アルコールを飲んだ場合、薬は飛ばすべきか?)
<医療者とのかかわりに関すること>
・医者は忙しそうだから、質問することをためらってしまう。
全体考察・提言    2018年8月の発表では、検診についてEBMに基づく推奨、2019年3月の発表では、薬の正しい使い方の紹介を行った。これはすでに知っているというものから、どうしてもっと正しい情報を周知してくれないのか?という声まで、診察の場では触れられない市民の方々の声を聴くことができた。

発表を通して、学生である私たちは、社員の皆さんがどのように医療に接しているのか、医療に対する感情、知識のレベル、医療者に求めることを知ることができた。一方、社員の皆さんに対しては、Choosing Wiselyというキャンペーンの周知、考え方について紹介することができた。
今回発表の場として企業を選択したのは、一般市民として不特定多数の方を募集するよりも、ある程度同じ志のもと、日々を過ごしている方々の集まりで発表するほうが、対話をしやすい環境となるのではないか、発表後も社内での雑談のネタにしてもらえるのではないかと考えたからである。
また産業医の先生にもご協力いただくことで、産業医の先生の定期企業訪問の際にもChoosing Wiselyを再度紹介してもらい、より一層Choosing Wiselyを印象付けられるのではないかという思いもあった。企業に勤める有志社員の方々以外の集団に対しての発表を行っていないので、比較はできないが、活発な議論が生まれたことで、社員に対して発表を行うという方法は成功していると考える。
プロジェクトでは、2回の企業訪問に留まってしまったが、このような対話を続けていくことで、草の根レベルではあるが、Choosing Wiselyの機運が高まっていくと考える。私たち以外にもChoosing Wiselyをテーマに活動をしている学生は全国にいるので、Choosing Wiselyを学び、周知していく1つの方法として、紹介したい。

教育×医療

項目 内容
アブストラクト     チーム『医療×教育』は、医療現場と教育現場の相互連携を深めることで、貧困や虐待、いじめ、うつといったトラブルを抱える中高生へのサポートを強化し、社会的ドロップを防ぐことを目標に1年間活動を行った。まず上記の問いをより具体化したいと考え、フィールドワークも行ったが、現在の中高生が抱える問題は複合的であり個別化が難しいことがわかった。
 そこで中高生の抱える問題の特定ではなく、それらを抱えた結果起こり得るメンタルヘルスの問題へのアプローチに切り替え、WEBアンケート調査により健康診断でのメンタルヘルス分野のスクリーニング検査の導入と学校医の機能強化というアイデアの可能性を探った。中高生の子供を持つ保護者を対象にアンケート調査を行った結果、約半数の保護者が健康診断にうつ病や発達障害のスクリーニング検査が導入されることに賛成し、検査結果で自身の子供に問題があった場合、約8割の保護者が小児科や内科、精神科のいずれ診療科であっても、医師に勧められた診療科へ受診させるとの回答を得た。この結果より、健康診断へのメンタルヘルス分野のスクリーニング検査の導入と学校医の機能強化が中高生のメンタルヘルス問題の早期発見と早期介入に繋がる可能性が示唆された。
2019年1月以降の取組・方法     ・2019年1月26日 メンバーミーティング 今後の方針について話し合いを行う。焦点を中学生・高校生に絞った。

・2019年3月13日 第1回WEBアンケート調査
WEBアンケート調査を行える「アンとケイト」において、10代〜20代前半の学生対象に「困っていることに関するアンケート」を行う。252の回答を得た。

・2019年4月20日 一般社団法人Colabo主催「夜の街歩きスタディツアー」に参加
実際に若者支援を行なっている支援者と話しながら、性風俗業に若者が取り込まれる過程や貧困の度合いについて説明を受ける。スタディツアー後、メンバーミーティングを行い、今後は学校でできる支援について焦点を絞ることを確認する。

・2019年5月19日 高校教諭と勉強会
高校で教鞭をとった経験のある現役教師と医学生で情報共有を行う。現在、高校で起きている問題について教えてもらい、医学的な介入は可能かについて検討を行う。学校現場では保護者の力も大きく、教師でもコントロールができないという現状や学校医の機能について話し合い、健康診断への介入の可能性を見出した。

・2019年6月13日 京都民医連あすかい病院 「貧困」勉強会に参加
貧困を含め、複合的な問題を抱える人への医療現場での対応と連携の現状について学ぶ。

・2019年6月18日 第2回WEBアンケート調査 スクリーニング
WEBアンケート調査を行える「アンとケイト」において、中学生または高校生の子供を持つ保護者2000人をスクリーニングする。48080人の回答者からのスクリーニングにより2409人の対象保護者をピックアップした。

・2019年6月20日 第2回WEBアンケート調査 本調査
WEBアンケート調査を行える「アンとケイト」において、スクリーニング結果の対象者に「子供の健康診断に関するアンケート」を配信する。360人の保護者からの回答を得た。

・2019年6月27日 学内報告会
滋賀医科大学メンタルヘルス研究会にて活動概要、成果について報告する。

→2018年12月 中間報告はこちら
結果 プロセス     結果
・約半数の保護者が、中学・高校の健康診断でうつ病や発達障害のスクリーニング検査に賛成である。
・約35%の保護者が、中学・高校の学校医と子供の心の健康や発達に関する相談の機会があれば利用したいと考える。
・約81%の保護者が、自分の子供に心の健康や発達に関する問題があれば、精神科や小児科・内科のうち、勧められた診療科を受診したいと考える。
プロセス
 中学・高校生において、保護者の影響力が強いことを現役教諭との勉強会で知り、第2回WEBアンケート調査は中高生の子供を持つ保護者を対象に行った。回答数360、有効回答数319であった。
全体考察・提言    中高生の健康診断にメンタルヘルスと発達障害のスクリーニング検査の導入を
中学生・高校生が進級・進学・就職をせず、社会的にドロップする過程において、貧困や虐待といった家庭内の問題にせよ、いじめや学習困難といった学校内の問題にせよ、発達障害やうつ病の発症がその増悪因子となっている事例は多い。よって学校で皆が受診する健康診断で発達障害やうつ病のスクリーニング検査を行うことで、発達障害の発見が発見されれば進学・就職に対して手厚いサポートを、うつ病が発見されれば発症に至った背景因子の探索と解決に学校と学校医が早期に乗り出すことで、中学生・高校生の登校中断や進級・進学・就職の失敗を減らせないかと考えた。第2回WEBアンケート調査結果より、健康診断項目の拡張と学校医の機能拡張は、中学生・高校生のメンタルヘルス関連の諸問題の早期発見・早期介入に繋がる可能性を示唆しており、ひいてはそれらが社会的ドロップの防止に繋がることが期待される。
再受験生・編入生以外の医学生にもっとチャンスを
6月22日の成果報告会に出席し、第1回のプロジェクトに採用されているグループのほとんどが再受験生・編入生が主たるチームメンバーであると感じた。一度大学を卒業して(中には社会人も経験してから)医学生をしている学生とそれ以外の学生が作成する企画書のクオリティーに差があるのは当然であると考える。また企画書から具体案の提示も求められていたが、過去の職場や大学に伝手がある再受験生・編入組とそれ以外の医学生では、頼りにできる人脈も大きく異なり、思い描ける活動案の具体性も異なるであろう。それを考えると、企画書作成段階で、特に高校からのストレートな医学生にはもっと援助が必要なのではないかと考える。
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