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インタビュー・コラム

【News Letter vol.30】LINK-Jシンポジウム「創薬のフロンティア2025」開催!


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※冊子はLINK-J関連施設にも設置してありますのでお持ち帰りいただけます

Pick up! LINK-J’s Events

最先端モダリティをテーマに講演、角膜再生医療から 腸内細菌製剤まで多岐にわたる話題を提供

創薬研究の第一人者が一堂に集い、話題の創薬モダリティについて語り合う「創薬のフロンティア」も今年で5回目。過去4回の開催は、いずれも産業界やアカデミアから素晴らしいゲストの皆様にご参加いただき、最新の創薬をめぐるホットな話題を提供していただきました。第5回となる今回のシンポジウムも、角膜再生医療から腸内細菌製剤に至るまで、いま注目を集める創薬モダリティの開発に取り組む、産学を代表する関係者の皆様にご登壇いただきました。開会の挨拶では、岡野栄之先生(LINK-J理事長/慶應義塾大学再生医療リサーチセンター・センター長/慶應義塾大学教授)より、今年のシンポジウムも、最新の創薬モダリティをテーマに、各領域の第一人者が登壇し豪華な内容となったこと、シンポジウム終了後には、ライフサイエンス企業との懇親を深める場も用意していることを紹介した上で、「去年のシンポジウムでは、わたし自身も懇親会をきっかけに共同研究を始めることができました。今日もどんな出会いが待っているかわからないので、ぜひご参加下さい」と呼びかけました。本誌では、今年も大盛況で幕を閉じたシンポジウムの内容をダイジェストでご紹介します。

講演

角膜再生医療の実用化にむけて

西田幸二 先生 大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学主任教授/
大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点(WPI-PRIMe)拠点長

再生医療や遺伝子治療が急速に進歩する中、西田先生はiPS細胞を用いた角膜再生医療に挑戦しています。臨床研究で4例全てに視力向上が確認され、今年から治験も開始予定です。さらに、大阪大学の新たな取り組み「デジタルツイン技術」で疾患モデルを仮想空間に再現し、薬効評価や予防医療に活用する「ヒューマン・メタバース医療」実現にも意欲を示しました。

本邦におけるヒト由来腸内細菌製剤開発の最前線

中原 拓 氏 メタジェンセラピューティクス株式会社代表取締役社長CEO

メタジェン社はヒト腸内細菌の医療応用に挑む日本発バイオテックです。糞便移植は潰瘍性大腸炎のみならず、免疫チェックポイント阻害薬との併用で悪性黒色腫の寛解率向上も期待されます。現在カプセル製剤を開発中で、来年から日米でP1試験を開始予定です。中原氏は便提供者確保や患者の受容可否の課題は障壁にならないとし、「腸内細菌製剤を世界の患者へ届けるべく、一切妥協なく事業を推進していきたい」と述べました。

アカデミア発のイノベーションを社会実装する試み

金子 新 先生 京都大学iPS細胞研究所教授/筑波大学医学医療系教授

金子先生は、「Tリンパ球」を利用したがん治療技術を開発中です。腫瘍細胞は防御機構を回避するため、わずかなTリンパ球もいずれは疲弊し攻撃性を喪失します。そこで腫瘍細胞を攻撃中のTリンパ球を採取・初期化し、再分化させることで腫瘍細胞を異物として認識する能力を維持したまま、Tリンパ球を「若返らせる」技術を開発。実験では再生Tリンパ球が腫瘍スフェロイドを強力に攻撃することが確認され、事業化にも挑戦中です。

カイオム社での多重特異性抗体の展開
~独自フォーマットTribody®と二重特異性抗体細胞表面ディスプレイ技術DoppeLibTM~

小池正道 氏 株式会社カイオム・バイオサイエンス代表取締役社長

カイオム社の代表技術の一つ「Tribody®」は、多重特異性抗体のフォーマット技術で、自社開発や導出候補を含む複数プロジェクトが進行中です。がん治療用抗体(国内P1試験中)は二種のタンパク質を同時に捉え、高い治療効果と選択性が期待されます。さらに、二重特異性抗体の開発難度を劇的に下げる可能性を秘めた技術「DoppeLibTM」も紹介され、小池氏は「我々の技術に興味があればぜひご連絡下さい」と呼びかけました。

RNA合成生物学による創薬展望

齊藤博英 先生 東京大学定量生命科学研究所教授/京都大学iPS細胞研究所教授

mRNA医薬は、合成mRNAにより標的タンパク質発現を誘導する技術で、ワクチン、再生医療、がん治療などに応用可能である一方で、実用的な課題も抱えています。齊藤先生は、非特異的タンパク質発現による副作用を抑えるため、miRNAで遺伝子発現を制御するスイッチ技術を開発。開発と同時に社会実装にも挑戦中で、今後の臨床展開が期待されます。

[ 特別講演 ] 抗体エンジニアリング技術を活用した創薬

井川智之 氏 中外製薬株式会社 執行役員 研究本部長

中外製薬は技術ドリブン創薬を推進し、アクテムラやヘムライブラなど革新的抗体薬を創出してきました。疾患領域の選定前に技術を磨き、最高品質の候補物が得られるまで治験に移行しない方針を貫いています。二重特異性抗体の改良や、低投与量で効果を狙うリサイクリング抗体など独自技術を展開し、改良や新たな疾患への応用を探求し続けており、その姿勢が同社の開発力を支えていると述べました。

パネルディスカッション

パネルディスカッションの司会は岡野先生、パネリストには、これまで登壇した6名の登壇者が参加しました。来場者やオンライン視聴者から寄せられた質問を岡野先生が厳選し、登壇者が回答するというスタイルで進行。質問の内容は、「デジタルツイン(疾患などをサイバー空間上に再現する技術)の実現を目指す上で何が障害になっているのか」、「バイオ後続品の市場拡大は新規抗体薬の開発に影響をもたらすか」、「ドナーごとの腸内細菌叢の個人差は、腸内細菌製剤の開発リスクにはならないのか」、「製薬企業はアカデミアにどんな役割を求めているのか」など多岐にわたり、登壇者はそれぞれの専門的視点から見解を示しました。


 イベントの舞台裏 
例年日本橋で開催していた『創薬』をテーマとした本シンポジウムは、今回初めて八重洲カンファレンスでの開催となりました。近年、創薬技術の多様化が進んでおり、最新研究及び実用化の状況も様々です。今回は抗体エンジニアリング技術、角膜再生医療、イノベーションを社会実装する試み、多重特異性抗体の展開、RNA合成生物学、ヒト由来腸内細菌製剤開発など、今注目のトピックを取り上げました。当日はディスカッションも大いに盛り上がり、懇親会では参加者から「毎年面白いよね、来年も絶対参加するから面白い企画にしてね」との声をいただき、大きな喜びでした。来年以降もご期待に応えるべく、充実したプログラムを企画してまいります。(LINK-J 原 明弘)

ネットワーキング

LINK-J Meet UPブース

会場内に設置された「Meet UPブース」では、20社のLINK-J特別会員企業が出展し、各社の事業内容、取り組みを発信しました。各ブース多くの参加者・出展者同士の様々な交流が行われ、非常に賑わいました。 
参加者からは、「現在注目されている分野のお話を聞けて良かったです」、「最先端の技術が知れる良い機会でした」、「話題は非常に興味深く、新しい動向を幅広に知ることができてよかった」といった声を頂きました。

参加者の声

◇現在注目されている分野のお話を聞けて良かったです
◇最先端の技術が知れる良い機会でした
◇話題は非常に興味深く、新しい動向を幅広に知ることができてよかった

ブース出展者の声

◇自社をシンポジウム参加者にアピールする良い機会となりました
◇当社のブースは今回のセミナーテーマや他の参加企業ブースと毛色が違ったが、逆に『このブースはどういったことをしているのか?』との声を多数かけていただき、当社的には有意義であったと感じました

立食懇親会(名刺交換・ビジネスネットワーキング)

イベント終了後、登壇者と来場者が一斉に介する立食懇親会が開催されました。会場には、ライフサイエンス業界で活躍する大小さまざまな企業が、自社の技術や事業などを紹介する案内ブースを出展し、担当者が笑顔で参加者を出迎えました。和やかな雰囲気の中、来場者と登壇者、来場者同士、また来場者と企業の担当者が、飲み物を片手に交流を深めました。

 イベントの舞台裏 
ネットワーキング会場では、年々人気が高まっているLINK-J特別会員企業の事業内容や先進的な取り組みを広く発信する「Meet UPブース」を設置し、今回は20社の会員企業にご出展いただきました。参加者との交流はもちろん、出展企業同士の間にも新たなつながりが生まれ、非常に活発なコミュニケーションが展開されました。各社の専門性や強みを共有することで、ライフサイエンス分野における連携の可能性が広がる事に期待しています!
Meet UPブースを通じて、LINK-J特別会員企業の魅力を効果的に発信できたこと、そして参加者・出展者同士の交流が自然に生まれたことを、担当者として大変嬉しく思っております。 (LINK-J 小関智子)

活用していますか? LINK-Jの会員サービス

海外2拠点を新たに提供開始!
ボストンとニューヨークのラウンジスペースが利用可能に

LINK-Jはこれまで米国ニューヨークとサンディエゴで会員向け拠点を提供してきましたが、この度、新たに2か所のラウンジスペースを提供開始し、海外拠点は計4か所となりました。
1か所目は、ボストンのTufts Launchpad内ラウンジスペースです。Tufts LaunchpadはBioLabs社が運営するバイオテック系スタートアップ向けコワーキング&シェアラボスペースで、LINK-J会員は施設内のオープンラウンジを利用できます。
2か所目は、2025年4月に開設した三井不動産が展開する多拠点型サテライトオフィス「ワークスタイリング」初の海外拠点、ニューヨーク・マンハッタンのオフィスビル「1251 Avenue of the Americas」内ラウンジスペースです。予約は「ワークスタイリング」会員サイトから可能です。
※2024年4月より、LINK-J会員は登録申込(無料)する ことで「ワークスタイリング」を特別優待料金にて ご利用いただけることとなりました。

● 対象会員:特別会員A・B
● サービス内容:LINK-Jが提携する海外拠点の利用が可能
● サービス利用方法:LINK-J HPをご覧いただくか、メールにてお問い合わせください。

会員交流イベントシリーズ『LINK-J Member's Meetup』
LINK-J会員企業の事業紹介、新規会員のエレベーターピッチも実施

2022年に開始した「LINK-J Member’s Meetup」は、今年で4年目を迎える会員企業間の交流イベントです。年間4~5回開催され、各回のテーマ(創薬・再生医療、スタートアップ支援、アカデミア・産学連携、医療アプリ・医療機器等)に関連する会員企業が登壇し、事業内容や取組みを発表いただきます。
同日には、直近に入会した会員によるエレベーターピッチや、参加者の知見を深める講演・ディスカッションも実施。会場参加は特別会員限定で、ネットワーキングタイムでは登壇者と参加者が交流でき、毎回好評をいただいています。
次回は2025年11月と12月に予定しているため、発表や登壇をご希望の企業担当者様は、お気軽に事務局までご相談ください。

● 対象会員:特別会員A・B(会場参加および発表・登壇エントリー)
● サービス内容:会員交流イベント「LINK-J Member's Meetup」への参加および発表・登壇企業の募集
● サービス利用方法:LINK-J HPをご覧いただくか、メールにてお問い合わせください。

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