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イベントレポート

第12回ネットワーキング・ナイト~ドクターとAIの協力がもたらす医療現場の革新~を開催(4/20)

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4月20日(金)、日本橋ライフサイエンスハブにて「第12回ネットワーキング・ナイト」を開催いたしました。(主催:LINK-J)本イベントは、AIと医療をテーマとして、最先端のハードウェア、サービス、そして医師の方々のネットワーキングを目的とし、講演とネットワーキングを行いました。

挨拶:曽山 明彦 一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)理事
座長:津田 真吾 株式会社インディージャパン 代表取締役 テクニカルディレクター
登壇者①:山田 泰永 エヌビディア合同会社 エンタープライズ事業部 マネージャー メディカル・ライフサイエンス ビジネス責任者 兼スタートアップ・技術パートナー支援担当
登壇者②:阿部 吉倫 Ubie 株式会社 共同代表取締役 医師
登壇者③:目々澤 肇 東京都医師会 理事(医療情報担当)/目々澤醫院 院長(脳神経内科医)/日本医科大学 非常勤講師(神経・脳血管内科、医学博士)

最初にご講演いただいた山田氏(エヌビディア合同会社)は「医師と共存するAI」と題し、現状のAIの定義と社会での活用例ついてご紹介いただきました。中でも医療分野への応用と可能性について解説いただきました。

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山田泰永 氏(エヌビディア合同会社)

エヌビディアのGPUは大量データの並列計算を得意とし、ロボット、建設業界、自動車、医療など様々な分野で使われています。

ディープラーニングとは最適化のアルゴリズムであり、タスクに対して最適な運用パターンをデータに応じて導き出すことが出来るため、自動で最適な特徴の抽出が可能となります。CNN(畳み込みニューラルネットワーク)では、AIが得意とする画像認識を行い、幅広い分野に応用されています。
医療における具体的なAIの活用方法としては、腫瘍、病変の検出による、医師の診断支援等が挙げられます。また、放射線治療での線量のコントロールや、臓器のセグメンテーション、RNN(時系列データ)を活用した、患者の予後予測などにも可能性があると考えています。

課題も次の通り紹介され、①AIの手法を立てられる人材が少ない ②膨大なデータの量と質が必要とされる ③投資判断が難しく、リスクで先行投資してもリターンを予測できない、といった点をご指摘されました。

次にご登壇いただいた阿部氏(Ubie 株式会社)からは「AI問診で医療をredesignする」と題し、実際にAI問診により医療現場での作業効率化を目指した「AI問診Ubie」、およびUbie社の新たな取り込みについてご紹介いただきました。

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阿部吉倫 氏(Ubie 株式会社)

「AI問診Ubie」は、現在、40以上の病院に導入しています。疾患と症状のデータベースを元にタブレットで「はい・いいえ」の選択により患者の病状を把握・収集することができます。
新たな取り組みとして、画像認識によるお薬手帳の内容の把握を行うプロジェクトにも取り組んでいます。これを利用することで、お薬手帳を撮影するだけでどの薬をどの容量で使用したかをテキスト化できるようになります。

阿部氏は「医療現場での無駄を減らし、医師のリソースを患者と向き合う時間として長く使えるようにするためにAIを活用していきたい」と主張されました。

最後にご登壇いただいた目々澤先生(東京都医師会/目々澤醫院/日本医科大学)には、「将来、診療所のデスクトップでAIが役立てることはあるか?」と題し、Ubie社の電子カルテを使用している医師としてご講演いただきました。

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目々澤肇 氏(東京都医師会)

東京都医師会では医療へのICT活用の推進、電子カルテによる医療連携(東京総合医療ネットワーク:IHE規格によるPICS連携)、SNSによる医療介護連携や医学生の啓発などを主業務としておられます。

神経内科の診療では慢性頭痛の患者に要する問診時間は最低15分かかり、半日で50人以上を診察するため、一人当たりの問診にじっくり時間を裂くことが難しく、診療時間後も事務作業に追われるという課題がありました。頭痛の診断は症状よりも病歴と随伴症状で診断が決まるため、Ubie社のAI問診を採用しております。タブレット端末で患者が選択肢を選ぶと問診情報が収集できるようになり、結果として問診時間を7-8分に削減することができました。

目々澤先生はAIを活用することによってPCと向き合ったままの医者をなくすことは非常に大切であると強調されました。今後、東京医師会としては、「医療介護連携で開かれる関係者のケア会議の遠隔参加を目指したテレビ電話ツール」「慢性期病院の空床情報と急性期病院で退院が間近に迫った患者のマッチングツール」「医療介護連携のSNSのベンダーを超えたポータル」を検討しており、協力者を募集していると語り、講演をしめくくりました。

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津田真吾氏(株式会社インディージャパン)によるモデレーターでパネルディスカッションを展開

続いて行われたパネルディスカッションでは、AIを医療に導入することで予想される様々な課題、例えば「AI問診をベースとすることで、10年後、20年後の医者の問診スキルが失われるのでは?」という参加者からの質問などを中心に、津田真吾氏(株式会社インディージャパン)をモデレーターとして議論が展開されました。

目々澤氏からは「医師の判断にAIを使用する場合、現時点ではAIの出す結論が医師の判断にどれだけ近づけることができるのかが重要である。そこから医師の働き方が少しでも変わることができれば」と回答されました。続いて阿部氏は「医師or AIではなく、医師and AIであるべき。そこから医療をどうredesignするかが重要」とコメントされました。山田氏からは「AIを活用することで技術が先行することはなく、並行して現在の職業や技術も変わっていく、更には社会の変容により高度化されていくと思う。技術の発展と共にツールを使う側も変わっていくと思う」と主張されました。

参加者からは「医療系のアプリを開発しているが医師のような国家資格はない。法律上どう兼ね合いをとれば良いか」「入力した情報の不確かさはないのか」「AI問診を行い、2つの病気にかかっている可能性があるときはどう診断されるのか」等の質問が挙げられました。

講演の後はラウンジにて懇親会が行われました。
当日は医師の方、製薬企業、大学関係者など幅広い層の方からご参加いただきました。

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次回、6月に鶴岡サイエンスパークとのネットワーキングナイトとして7月2日、第13回ネットワーキングナイトは、7月6日を予定しています。

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