プログラム概要
臨床試験や臨床研究の計画や報告に関わっている方々は、その試験や研究でそもそも何を推定したいのかを表す「エスティマンド(Estimand)」という言葉を聞かれたことがあるのではないでしょうか。2019年に承認されたICH E9(R1)で明示されたものであり、このガイドラインの日本版がつい先日公開されたばかりです。この概念を理解した上で、試験や研究の対象となる患者集団の定義(組み入れ基準、症例定義など)、介入方法の定義、中間事象の取り扱い方、評価方法の定義など、実施計画書にエスティマンドを取り入れるために統計家と相談する機会は増えるものと思います。また、従来通り、試験や研究のデザイン、必要症例数、治療の割付けやマッチング、バイアスを最小化するための方策、検定の多重性、試験や研究結果の解釈など、統計家と相談する場面は多いでしょう。
試験計画時以外でも、開発早期に次の段階に投資できるかの企業内の意思決定、アカデミアが創出した医薬品や医療機器の導出先候補となる企業への売り込み(当該企業のお買い上げの意思決定)などの場面でメッセージをまとめる際にも、統計は関わってきます。製造販売承認の申請や審査、適正使用につなげるための研究(安全性監視を含む)という段になれば、何が検証されていて、何がどのくらい不確実なのか、更には、得られているデータや情報から一般の患者集団に何が外挿できそうかという難しい評価が必要で、ここでも統計や疫学が科学的思な思考の土台になっています。
一方、医療に従事する方々は、添付文書、広告資材、インタビューフォーム、論文などの形で、これらの情報に接することになります。その製品がどのような患者に使用できるか、使用できないのか、使用した際にどのような留意が必要かを知るためです。情報をきちんと理解するためには統計的なセンスがある程度必要です。しかし、すべての医療従事者の方々に対して情報リテラシーを前提にすることはできないので、情報を提供する側には、もう一段のわかりやすい説明をする配慮が求められます。ここにも統計的なセンスが利いてきます。
本ワークショップは、産官学の第一線で活躍されている統計家たちの支援の下、臨床試験・臨床研究に関わる「生物統計を専門としない方」を対象に、統計的コンセプトをご理解頂くためのコンテンツを12回にわたりお届けしてきました。今回は、これまで参加された皆様からのフィードバックを踏まえて対象を広げ、アカデミアで医薬品・医療機器の創出~開発(あるいは企業への導出)に関わる方々、市販後の育薬(安全性監視を含む)に関わる方々、これらを支援する組織や企業の方々にも有益なワークショップにしようと準備を進めています。
1日目は、ちょっと自信のない方向けに、統計学の基礎的内容を説明する基礎コースを開催いたします。
ここでは「最新版医薬統計ポケット資料集 第4部:初学者のための医薬統計講座」で示されている内容に沿って基礎知識を丁寧に説明いたします。このポケット資料集は電子版を教材として参加者全員に配布し、2-3日目でも取り上げる予定です。
2日目は、本ワークショップの目的や骨格を理解するための講演(「エビデンス構築と統計が貢献できること」)を皮切りに、医薬品評価での基本的な統計の原理、試験デザインやEstimand、検定などの多重性について解説し、モンテカルロシミュレーションで検定結果の意味を体感していただきます。
3日目は、PMDAの立場から医薬品の承認審査の際に考慮される臨床試験のデザインと結果の考察について解説します。また、グループワークでは、本ワークショップの内容を踏まえた具体的な事例を紹介し、その事例に沿った試験の計画や結果の解釈に関する課題を数名のグループで議論していただきます。各グループには講師陣の1人がファシリテーターとして、皆様の議論をサポートいたします。講師陣のアドバイスを受けながら、グループ内でいろいろと意見交換することで、本ワークショップの内容をより深く理解することができますので、参加された皆様が、臨床試験の計画を立案し、論文等で公表されている臨床試験データを解釈する際に大変役立つ内容となっています。
今年も昨年に引き続き会場開催を予定しており、2日目の講義後は情報交換会も行います。生物統計の知識は必要だけれども、なかなか学ぶ機会がない、独学だけではどうにも理解が進まない方は、ぜひご参加ください。
講師陣を質問攻めにしていただけると本望です。なお、本ワークショップは日本語のみで行います。
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24308.pdf日時:2024年9月8日(日)13:00-17:30 基礎コース 9月9日(月)※情報交換会あり、10日(火)9:30-17:30予定
詳細・参加申込(外部サイトが開きます)
※早期割引受付中!(2024年8月16日まで)
プログラム
参加費
※プログラムをご参照ください。
定員
※70名程度を想定
主催
一般社団法人 ディー・アイ・エー・ジャパン