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イベントレポート

「L x T bridge ライフサイエンスxDMM.make AKIBA~人のつながりで革新を~」を開催(9/3)

L x T bridgeシリーズの第4回目は、DMM.make AKIBAとのコラボレーション企画として、『スタンフォード池野先生と行く秋葉原ディープテックツアー』と題し、DMM.make AKIBAの施設見学を兼ねたイベントを2019年9月3日(火)開催いたしました。(主催:LINK-J、協力:厚生労働省)

17時すぎから、富士ソフト秋葉原ビル4階に集合した20名は、2チームに分かれて、DMMの方に案内して頂きました。

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10階スタジオでは、3Dプリンターや切削機、レーザーカッターなどの工作機械が設置されたワークスペースや、安全規格確認のためのX線や高電圧といった衝撃試験を行えるスペースなど、各種プロトタイプの加工やハードウェア製品の開発に必要な機材が整備されているフロアを見学しました。機材を利用するためには、会員になることで利用できるほか、トレーニングが受けられたり、テクニカルサポートを受けながら使用できたりするものなど、多岐のサービスが用意されていました。

12階のオフィススペースBaseでは、下記登壇者による講演およびショートプレゼンテーションを行いました。

[講演]
池野 文昭氏(Stanford Biodesign, Stanford University Program Director (U.S) Japan Biodesign, MedVenture Partners取締役)

[ショートプレゼンテーション]
ダニエル・マグス氏(Bisu, Inc.共同創始者兼CEO)
田中 彩諭理氏(株式会社HERBIO代表取締役)
菊川 裕也氏(株式会社no new folk studio代表)
多田 興平氏(株式会社Piezo Sonic代表取締役)
奥出 えりか氏(しっぽコール代表)
関口 哲平氏(BionicM株式会社経営管理部長)
柳瀬 陽一氏(株式会社wkwk代表取締役)

[モデレーター]
本荘 修二(本荘事務所代表、厚生労働省医療系ベンチャー振興推進会議座長)
曽山 明彦(LINK-J理事兼事務局長、厚生労働省医療系ベンチャー振興推進会議構成員)

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開会挨拶として、DMM.comの上村コミュニティマネージャー様よりDMM.make AKIBAについて、ハードウェアをつくるシェアファクトリーとコワーキングの概要をご説明頂きました。スタートアップだけでなく、事業会社も含めた多くの「創り手」のためのプラットフォームを用意していることをPR頂きました。

「医療系ベンチャーの面白さと難しさ」

スタンフォード大学の池野先生から、医療関連ビジネスの現状について、医療機器と医薬品市場の違いや開発における留意点など、国内外の状況も踏まえながら解説いただきました。

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「国内の医療機器市場は、世界市場の約9パーセントといわれており、2.7兆円です。自動車メーカーの売上にも匹敵していないので、この市場からユニコーン(未上場で時価総額1000億を越える急成長スタートアップ)を出すのは難しい」と池野先生は語ります。

国内医療機器市場のうち、半分が治療機器(約53%)で、次いで血液診断(約17%)、CTやMRI、内視鏡などの設置型診断機器は約9.6%ながら、富士フィルム、キャノン、オリンパス社の開発製品をはじめ国際競争力のある領域だと説明されました。

医療分野に参入することの注意点として、池野先生は「ニーズがあってもテクノロジーやサイエンス、「科学的エビデンス」が見えていないと、成功しない」と強調します。医療ビジネスには、「規制をクリアすること」、「自分がユーザになることや、プロトタイプとして試すことができず」、「現場観察が簡単にできない」などのハードルがあり、何より医療の専門知識を必要とします。
但し、医薬品の開発においては成功確率3万分の1、平均して12年の開発期間があるのに対し、医療機器の場合は平均6年と短いが、これは、あくまでも平均であり、実際は、リスクによって分類されたClassにより、低リスク(Class I)のものは、開発期間は短く、逆に、ハイリスクな(Class IV)なものは、製薬と同じくらい開発期間がながいという特徴を示す。また、製薬と違い競合が特許を回避しやすいというのも、医療機器の特徴でプロダクトライフサイクルが短く市販されても次から次へと改良していかないといけないという特長があることも解説されました。

ノーベル医学・生理学賞を受賞した例の中で唯一、「カテーテル法」の発見は患者を救いたいという想いから始まって成功したケースであり、「ニーズは現場にある」ことを示した具体例でもありました。
池野先生は「イノベーションはスポーツである」とし、医療系ビジネスには、ものづくりができる人、ビジネスができる人に加えて、「医療ができる人」が必須であるとしました。
「平成の30年でGAFAを代表とする時価総額世界のトップ企業はモノを作らない会社ばかりとなったが、これからは医療ビジネスである。令和の時代が日本の勝負。医療従事者を巻き込んだ挑戦を期待したい」と締めくくられました。

IMG_0066.png体温ウェアラブルデバイス「picot」(株式会社HERBIO)

代表の田中氏より、深部体温を測定する「picot」についてご紹介いただきました。他のウェアラブルデバイスにあるような、モニタリングや正確性、違和感といった問題点を解決。汗腺がなく、体幹部であるおへそで体温を測定することで
、外環境や汗に影響されないといったメリットや、学術的なエビデンスがあることを解説されました。今後は体調データを軸に、看病や体調管理まで行えるような製品にしていきたいと述べました。

IMG_0071.pngスマート尿検査装置「Bisu」で生活習慣病予防(Bisu, Inc.)

ダニエル・マグス氏より個人が自分で尿検査を気軽に行える「Bisu」についてご紹介いただきました。製品は検査スティックと本体からなっており、スティックでサンプルを採取して本体に差し込んだ後検査工程を自動化し、2分で結果を表示。中にはマイクロ流体チップが内蔵されており、カリウムやナトリウム値、尿酸値や尿pHなどを調べることで、食事バランスが分かります。デバイス以外のデータ(血糖値、運動量、年齢、性別、BMI等)も考慮されています。低コストでハードを提供するだけでなく、サービスも提供していきたいと抱負を語りました。

IMG_0077.JPGPowering Mobility for ALL(BionicM株式会社)

関口氏は「片足で椅子から立ってみてください」と、義足の人が日々感じている感覚を参加者に体感させました。30秒に1人の割合で糖尿病が原因で足を失っている人が多いこと、ロボットがバク転をできる時代に義足技術が向上していないことなどを取り上げ、「義足技術に変化をもたらしたい」と語りました。「これまではユーザが義足に合わせてきたが。これからは義足がユーザに合わせる時代だ」とし、今年の10月に開催される第17回国際義肢装具協会(ISPO)で新たな発表をすることを公表しました。

IMG_0084.JPG足元から世界を変えるスマートフットウェア(株式会社no new folk studio)

代表の菊川氏は、開発製品であるスマートシューズを履いて登場し、モニター上にセンシングした靴の動きをCGで表示させました。「スポーツ医学、予防医学など医療の周辺領域で貢献していきたい」と述べられ、現在はアスリート用のシューズを開発しており、今後は見守りやエンタープライズ、建設業や運送業の人への安全性の提供などに広げていきたいとしました。独自の衝撃にも耐えうるセンサーモジュールによってデータを収集することができるため、データ活用のプラットフォームづくりにも着手。アシックス社と一緒に1000足のシューズを開発していることを紹介されました。

IMG_0090.JPG製造設備を持たない「ファブレス」モータメーカーpiezo Sonic(株式会社Piezo Sonic)

代表の多田氏より、事業紹介およびコア技術となる超音波モータについて、ご説明いただきました。Piezo Sonic社は開発から設計、検査、出荷、営業までのプロデュース全般を行い、ハードソフトに関しては外部メーカーに委託しながら事業を行われています。主力製品となる超音波モータは、駆動力に磁力やコイルを利用せず、周波数によって伸縮させ摩擦力を利用して駆動することを特徴としています。これによりMRI内の搬送用モータや強放射線環境用モータとして活用されています。今後は、カスタム機器の受託開発を行い、医療現場でのロボット製品の開発や、農業支援としての走行ロボットなどにも展開していきたいと述べられました。

IMG_0097.png「個育て」から「co-育て」へ(株式会社wkwk)

代表の柳瀬氏より、子供の見守りサービスについてご紹介頂きました。「一人で抱える子育てを変える」をミッションに、デバイスを使って保育者と保護者間で子供の状況に関するモニタリングデータを提供します。子供の状況だけでなく、寝姿勢の自動検知や自動記録、呼吸や体動の有無など、異常を検知するための機能を備えています。現在、約50台の運用を開始し、デバイスの利用者を拡大していき、シッター事業者への導入へ拡大していきたいと述べられました。

IMG_0102.png帰り道の安全を見守るIoT防犯バッグチャーム「しっぽコール」

夜道のひとり歩きの不安と被害状況に着目し、デバイスを用いて大人が安心して歩くことのできるサービスについて、代表の奥出氏よりご紹介いただきました。
「しっぽコール」は、握ることでスマホから着信音を鳴らすことができる機能と、しっぽを引き抜くことで、友人等のLINEグループへ位置情報を送るという機能があります。握った場所は不安マップとして登録され、地域やコミュニティに役立てるためのデータ集積を行います。販売戦略として、本体貸し出しと管理システムを導入するB to B向け製品としての戦略と、B to C向けファッションアイテムとしての製品販売を目指しています。

モデレーターの本荘氏および曽山氏と、池野先生の3名によるディスカッションを行いました。

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池野先生は、起業家たちのプレゼンテーションを聴講した感想として、「生き様が美しい」とコメントし、「ニーズや欲求を持っていそうな人の目にさらすこと。簡潔な言葉で説明できること」などアドバイスを頂きました。また、「医療機器はシリコンバレーかミネソタ。バイオならばボストン。医薬品はサンディエゴ、ボストンなど集積地に行くのが良い」と述べられ、「日本の産業を強くしたい。そのために、皆の協力が必要です」と日本の起業家たちへ応援とエールを送られました。

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講演後は、DMMの起業家の皆さんと参加者、登壇者を含めたネットワーキングが行われました。
当日は約70名の方にご参加いただきました。多数のご参加、誠にありがとうございました。参加者からは「秋葉原と日本橋の架け橋となる企画だ」「続編を望む」などの声を多数いただき、盛況な会となりました。


次回は、10月10日(木)12:45~14:45にパシフィコ横浜ハーバーラウンジにて、この企画のきっかけとなったジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット2019のJHVSミートアップにおいて、ライフサイエンスxテクノロジーの機会とスタートアップの創り方を議論し、パネルセッションを行います。ぜひご参加ください。

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