子牛の下痢症は一般的な疾病で、抗菌薬の投与などで治療を行いますが、それだけでは効果が見られないケースもあります。
こうした「難治性下痢症」は子牛の死につながるとともに、畜産業界に対する経済的な影響も大きく、下痢による経済損失は年間10億円とも言われています。
また、抗菌薬を多く利用することで薬剤耐性菌の出現も問題となることから、抗菌薬を用いない下痢症の制御技術が必要とされています。
そのような状況の中で、「糞便移植」により難治性下痢症の症状に劇的な改善がみられることがわかりました。
今回のHMT無料ウェビナーでは、糞便移植による下痢症改善のメカニズムを科学的に明らかにする研究に取り組まれている
東北大学大学院 農学研究科
教授 野地 智法 先生
に、有用な腸内微生物を活用した次世代型畜産を構築するための微生物学的戦略について講演いただきます。
プログラム
子牛の腸内微生物の秘めたるチカラ
~難治性下痢症制御を可能にする糞便移植の生物学的意義とは~
= 要 旨 =
腸内に生息する微生物は、個体の健全性を保つ上で重要な役割を有していることが、近年の研究から次々と明らかにされています。我々は、難治性に至った下痢症を発症するレシピエント牛に対し、健常ドナー牛より採取した糞便を移植することで、その症状を劇的に緩和させることが可能であることを実証しました。加えて、子牛の下痢症制御を目的とした糞便移植が効果的である理由を、ドナーとレシピエントの糞便を用いた細菌叢解析(メタゲノム解析)および代謝物解析(メタボローム解析)により解明し、有効性に関わる細菌および代謝物を探索することに成功しました。本セミナーでは、子牛の腸内微生物の秘めたるチカラを明確化するための基礎研究成果を紹介することで、有用な腸内微生物を活用した次世代型畜産を構築するため微生物学的戦略を提案したいと思います。
参加費
無料
定員
300名 ※ご参加には事前登録が必要です。先着順となりますのでご了承ください。
主催
お問い合わせ先
hmt_seminar@humanmetabolome.com