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イベントレポート

「第30回LINK-Jネットワーキング・ナイト WITH SUPPORTERS東京女子医大×早稲田大学 ~TWInsに見るライフサイエンスのコマーシャリゼ―ション」を開催(5/23)

5月23日、日本橋ライフサイエンスビルディング2階にて「第30回LINK-Jネットワーキング・ナイト WITH SUPPORTERS東京女子医大×早稲田大学 ~TWInsに見るライフサイエンスのコマーシャリゼ―ション」を開催しました。本イベントは、「早稲田大学発スタートアップ企業育成の舞台裏(1/17開催)」に次ぐ、2回目のネットワーキング・ナイトとなります。今回は、東京女子医大学および早稲田大学の両大学が同じ空間で医工連携に取り組んでいるTWIns(早稲田大学 先端生命医科学センター)での研究内容に関し、女性研究者からの発表を行いました。

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【挨拶】
樋原伸彦(早稲田大学ビジネススクール 准教授)
【講演】
柴田重信(早稲田大学 先端生命医科学センター長 理工学術院 先進理工学部 電気・情報生命工学科 教授)
竹山春子(早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 生命医科学科 教授)
【プレゼンテーション】
関谷佐智子(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 代用臓器学分野 助教 薬学博士)
堀瀬友貴(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 先端工学外科学分野 特任助教 博士(工学))
楠田佳緒(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 先端工学外科学分野 特任助教 理学博士)
足立ちひろ(株式会社ビジネスバンクグループ Researchable事業部、早稲田大学 生命医科学専攻 博士課程2年)
【講演・パネルディスカッション】
笠原博徳(早稲田大学 副総長【研究推進、情報化推進担当】、理工学術院 基幹理工学部 情報理工学科 教授)
清水達也(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 所長・教授/早稲田大学理工学術院 大学院 先進理工学研究科 客員教授)
モデレーター:朝日透(早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 生命医科学科 教授 グローバル科学知融合研究所 所長)

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まず、LINK-Jの曽山よりLINK-Jの紹介をさせていただき、サポーターの樋原氏より本イベント開催の経緯と概要をお話しいただきました。

体内時計の食・運動への応用研究と社会実装

TWInsのセンター長である柴田先生からは、まず設立10周年となったTWInsが医工連携を担う人材育成の拠点であることをご紹介いただき、時間栄養学に関するご自身の研究内容についてご講演いただきました。

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体内時計はすべての細胞内にあると考えられており、その調整には光と朝の食事(インスリン)が必要であるとされています。インスリンの働きが悪い糖尿病患者では、タンパク質(IGF-1)によって体内時計が調整されていることを発見しました。菊芋パウダー(水溶性食物繊維)を利用した摂取時間による比較では、便秘評価尺度・腸内細菌叢、血糖抑制はいずれも朝摂取が有効であることを示しました。さらに、タンパク摂取量に対する筋肉量や握力の研究では、夜よりも朝に摂取することが好ましいという結果が得られており、朝のタンパク質摂取が時計合わせ、筋維持のいずれにも有効であることが示されました。

「未知生物資源の利活用への挑戦」技術開発から生命開発へ

竹山先生からは、微生物資源の可能性、微生物を有用化するための手段として新しい技術開発に関する取り組みについてご講演いただきました。

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微生物研究はシーケンシング技術の向上と伴にゲノム配列を調べることで、生物体のデザインというステージに入るまでに発展してきました。糞便移植などの微生物製剤としての利用も米国では日常となり、食品や植物における微生物の働きも注目されています。農業の面では、より安全でおいしい農作物をつくるための取り組みもスタートしました。竹山先生は、研究室に所属されている安藤正浩氏と細川正人氏の研究を取り上げ、未知微生物の中から、ラマン分光法やシングルセル解析を用いた技術でスクリーニングを行い、より新しい微生物知見を得るための研究を進められていることを紹介頂きました。


***

TWIns研究者によるショートピッチ

TWInsで研究開発されている女性研究者に焦点を当てて、下記4名の方に5分間の発表を頂きました。

「細胞シートによる新規腎治療法開発研究」

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東京女子医科大学の関谷さんは、慢性腎臓病(CKD)の新たな治療方法の研究として、HGF (Hepatocyte growth factor)発現細胞シートによる腎線維化抑制効果の検討に取り組まれています。小動物を用いた実験では、血管からの投与と比べて持続性が高く、治療効果が高いという結果が得られていることを発表されました。ただ、侵襲性が高いという課題があるため、デバイスを用いたシートの運搬によって解決していきたいと意欲を語られました。



「ナノミセル製剤と超音波を組み合わせた国産がん治療」

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東京女子医科大学の堀瀬さんは、ナノミセル製剤と高密度集束超音波を組み合わせた新しいがん治療への研究について説明いただきました。ペット犬を対象とした治療例では、治療1週間後に劇的な改善があったことが示されました。これまでに4頭のペット犬治療で安全性を確認し、世界で初めてヒトへの臨床研究も行われました。既に共同研究者や協力企業と知財を取得されており、今後は、膵臓癌をはじめとする難治性がんへの治療や、獣医分野への貢献をしていきたいと述べられました。



「医療の質のボトムアップを目指したAI予後予測モデルの開発」

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東京女子医科大学の楠田さんは、脳神経外科で使用する術中MRIによる残存脳腫瘍同定とナビゲーションによる摘出支援を実施されています。脳腫瘍の場合、正常組織と腫瘍組織の区別や、機能部位と非機能部位を見分けるのが困難なことから、電子カルテ等のデータを用いて予後予測モデルを開発し、最適な手術方針の選択や、最大限に腫瘍摘出へ効果を高めます。手術中に術前の患者情報と分析結果を表示し、AIによる予測値を算出することを検討されています。今後は、協力者と伴にAIモデルの精度向上やアプリケーション開発等を進めていくと述べられました。



「研究者が研究者らしい仕事に専念することができる社会を目指して」

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(株)ビジネスバンクグループResearchable事業部の代表であり、早稲田大学の学生でもある足立さんは、研究者がより本質的な研究に専念することができるようにと考え、「プロトコル映像化サービス」および「電子プロトコルライブラリ Pro-Log」という2つのサービスを展開されています。
一つめのサービスは実験の再現性を担保するためのもので、動画として実験の様子を記録することで、新人教育への利用や実験手技の伝承も可能にするというもの。二つめは、実験者のプロトコルを一元管理し、探す手間や時間を省きます。今後は2つのサービスを統合することで、閲覧数や動画再生回数に応じた報酬など、評価システムを検討していきたいと述べました。


パネルディスカッション~先端医療開発拠点のさらなる発展に向けて~

早稲田大学の笠原副総長と東京女子医科大学の清水先生から、各大学の産学連携に関する取り組みについてご紹介頂きました。

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笠原副総長からは、「早稲田オープン・イノベーション・バレー構想」および、2020年に竣工する研究開発センターのご紹介をいただきました。ここでは、産学連携のワンストップ窓口をはじめ、研究の事業化に向けた支援を統合していくと解説されました。

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清水先生からは、東京女子医科大学で実施されている社会人教育、バイオメディカルカリキュラム(BMC)が50周年となり、幅広い領域の方が受講されていることや、細胞シートを使用した再生医療への取り組み、培養食肉や宇宙空間での食料研究に関してもご紹介頂きました。

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パネルディスカッションでは、早稲田大学の朝日先生をモデレーターとし、会場からの質問を受けながら、6名に各々回答頂きました。

早稲田大学と女子医科大学が同じ場所で事業化に向けた研究に取り組むことで、どんなメリットがあるか、TWInsの特徴について教えてほしいという質問に対し、
「早稲田大学の情報工学系の技術と、東京女子医科大学の医学、臨床部分を組み合わせることで、より新しいイノベーションを生み出せる(笠原氏)」
「同じ場所で、企業の人や医師が集まって取り組めること。TWInsが設立して10年経ったことで、これからもっと素晴らしいものが出てくると思う(清水氏)」
「バイオや医学といった観点だけでなく、工学系の人がいることで、理解の深め方や幅が広がり、エネルギッシュな研究ができていると感じている(関谷氏)」
両社の強み弱みを活かしている発言を頂きました。
他にも、女性研究者に向けた今後の展望に対するエールや早稲田大学のオープン・イノベーション・バレー構想をはじめとする今後の展開に、期待を寄せる質問と回答を頂きました。

当日は約100名の方にご参加いただき、懇親会では両大学の関係者をはじめ、製薬企業からアカデミアまで多くの方が交流されました。参加者からは「一つの目的に向かって枠を越えて協力していくところが大変素晴らしく感じました。」「TWInsの取り組みがよく理解できた。研究者のアイデアをビジネスにつなげていってほしい。」「シリーズ化して何回かに分けてもいいと思いました。」といったご意見ご感想を頂きました。
早稲田大学との次回のネットワーキング・ナイトは、12月12日(木)を予定しています。奮ってご参加ください。

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